WRC2025年シーズンがいよいよ開幕! 知っておくべき6つのポイントをチェック!

19日に行われたオープニングセレモニーでの集合写真(Photo:REDBULL CONTENT POOL)
WRCの2025年シーズンがいよいよ今週1月23日(木)にモンテカルロで開幕する。
今年の変更点をはじめ6つの見どころを予習しておこう。
1)トップカテゴリー3ワークスは開幕戦に合計10台をエントリー
2)カレンダーは14戦に。サウジアラビア、カナリア諸島、パラグアイが新規開催
3)タイヤはハンコックのワンメイクに
4)ポイントシステムが大幅に変更され、1ラウンド最大35ポイントを獲得
5)ハイブリッドユニットが廃止に
6)WRC2の戦いにも注目! 「FORUM8 WRC2 Most Stage Wins Award」も継続
モンテカルロでは開幕に向けたプログラムがすでにスタート。(photo:REDBULL CONTENT POOL)

いよいよWRC2025シーズン開幕戦ラリー・モンテカルロが開幕する。22日水曜日にセレモニアルスタートが行なわれると、木曜日からはいよいよSS1がスタートする。レッキはすでに始まっており、SNSなどで続々と現地の情報が届いている。
選手の移籍やカレンダーの変更、ハイブリッドの廃止など話題豊富な2025年シーズン。開幕前に情報を整理しておこう。

1)トップカテゴリー3ワークスは開幕戦に合計10台をエントリー!

WRC2025年シーズンは、昨年の最終戦で逆転コンストラクターズチャンピオンを獲得したTOYOTA GAZOO Racing WORLD RALLY TEAM(TGR)、ティエリー・ヌービル選手が初のドライバーズチャンピオンとなったHYUNDAI SHELL MOBIS WORLD RALLY TEAM 、そしてM-SPORTS FORD WORLD RALLY TEAM(Mスポーツ)の3ワークスチームがRally1マシンを走らせる。

注目したいのはTGRに新加入となったサミ・パヤリ選手、そしてMスポーツに移籍したアドリアン・フルモー選手。サミ・パヤリは昨年のラリー・フィンランドでTGRのラリー1マシンに乗り4位に入っている。2025年のレギュラー参戦で大化けの予感。アドリアン・フルモー選手は戦闘力の高いHYUNDAIのマシンを手にしてどれだけ上位に食い込めるか楽しみ。

そして、カッレ・ロバンペラ選手がフル参戦復帰する。当然チャンピオン候補ナンバーワンと考えるが、2024年に念願のドライバーズチャンピオンに輝いたティエリー・ヌービル選手もその座を簡単には譲るはずがない。両者のプライドを賭けた戦いを見たい。
もちろん、勝田貴元選手には一番大きな声援を送りたい!

■開幕戦モンテカルロラリー エントリーリスト(Rally1のみ)

No.ドライバー/コ・ドライバーチーム
1ティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグHYUNDAI
33エルフィン・エバンス/スコット・マーティンTGR
8オット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤHYUNDAI
17セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデTGR
16アドリアン・フルモー/アレクサンドル・コリアHYUNDAI
18勝田貴元/アーロン・ジョンストンTGR
69カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネンTGR
13グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカM-SPORT
5サミ・パヤリ/マルコ・サルミネンTGR
55ジョシュ・マッカーリーン/エオイン・トレイシーM-SPORT

2)カレンダーは14戦に。サウジアラビア、カナリア諸島、パラグアイが新規開催地に!

2025年から最終戦としてサウジアラビアが加わり、全14戦で実施される。
アフリカ大陸モロッコの西にあるスペイン領カナリア諸島では、これまでヨーロッパラリー選手権が開催されており、ここでラリーの実績を積み、WRCに昇格した。
また、パラグアイも新規開催地として加わり、チリとともに南米ラウンドが2戦となった。
これは近い将来に開催があるのではと噂されている北米ラウンド実施に向けた布石か? というのは深読みすぎるだろうか。

ラウンドラリー名日程
1Rallye Monte-Carlo1/23~26
2Rally Sweden2/13~16
3Safari Rally Kenya3/20~23
4Rally Islas Canarias4/24~27
5Vodafone Rally de Portugal5/15~18
6Rally Italia Sardegna6/5~8
7EKO Acropolis Rally Greece6/26~29
8Delfi Rally Estonia7/17~20
9Secto Rally Finland7/31~8/3
10Rally del Paraguay8/28~31
11Rally Chile Bio Bío9/11~14
12Central European Rally10/16~19
13FORUM8 Rally Japan11/6~9
14Rally Saudi Arabia11/27~30

3)ハンコックタイヤがワンメイクタイヤに

フロントバンパーにハンコックのステッカーが輝く(photo:TOYOTA GAZOO Racing)

2021年から継続されていたピレリタイヤのワンメイク供給が終了し、ハンコックタイヤが2025年から2027年までWRCのラリー1、そしてWRC2WRC3、ジュニアWRCといった下位カテゴリーにも供給される。ハンコックタイヤは2024年シーズンはFIAフォーミュラE世界選手権やERCヨーロッパ・ラリー選手権のジュニアERCカテゴリーへの供給を実施している。

4)ポイントシステムが大幅に変更され、1ラウンド最大35ポイントを獲得

2024年シーズンで物議をかもしていた土曜日時点での暫定ポイントが廃止された。
新シーズンは、まずは従来通り最終日までの総合順位に基づいて、1~10位まで25-17-15-12-10-8-6-4-2-1ポイントが配分される。さらに、2025年からは日曜日のみの総合順位に対し、1~5位までに5-4-3-2-1ポイントが付与される。そして、最終SS(スペシャルステージ)は『パワーステージ』となり、上位5番点まで5-4-3-2-1ポイントが加算される。
これにより、2024年は最大獲得ポイントが30だったところが、2025年は最大35ポイントとなる。まさしく「日曜日まで走り切って勝つ」ということが重視されることになる。

5)ハイブリッドユニットが廃止に

開発コストなどを理由に廃止と継続が延々と議論され続けてきたラリー1マシンのハイブリッドユニット論争がようやく終結。プラグインハイブリッドユニットは2025年シーズンは使用されない。一方、ハイブリッドユニットがなくなることで生じるパワーのロスは、車両最低重量を1260kgから1180kgに引き下げることと同時に、吸気エアリストリクターのサイズを36mmから35mmに縮小することで、従来と同等のパワーウエイトレシオを維持するよう調整された。サービスパークや一部リエゾンで、モーターのみの駆動時に「ピヨピヨピヨ」や「キーン」といった、ラリー1おなじみの電子音は聞かれなくなる。

マシンに触っても安全であることを示すグリーンのライト。サービスでの整備中にはルーフにグリーンのコーンが置かれていたラリー1マシン。これらは昨年のラリージャパンが見納めだった。

6)WRC2の戦いにも注目! 最速のWRC2ドライバーに贈られる「FORUM8 WRC2 Most Stage Wins Award」は継続

トップカテゴリーのシートを虎視眈々と狙うドライバーが鎬をけずるカテゴリーWRC2にもぜひ注目を。
スバルWRCの伝説的ドライバーであるペター・ソルベルグの息子オリバー・ソルベルグはマシンをGR YARIS Rally2にスイッチして継続参戦する。また、フォーラムエイト・ラリージャパン2024ではイニシャルDカラーを纏ったシトロエンC3 ラリー2でみごと勝利を飾ったニコライ・グリアジンは、シュコダ・ファビアRSにスイッチしてチャンピオンを狙う。
さらに、TGR WRCチャレンジプログラム2期生として2年目のWRC2参戦となる小暮ひかる選手と山本雄紀選手は勝負となるシーズンだ。フィンランドで修行を続けるふたりの進化を見たい。
そんなWRC2ドライバーのなかでも特別に速さを魅せたドライバーに贈られる「FORUM8 WRC2 Most Stage Wins Award」は2025年も継続される。WRC2クラスの新しいスピードキング登場に期待したい。

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著者プロフィール

渡辺 文緒 近影

渡辺 文緒

渡辺文緒
1970年東京生まれ。1996年にオートスポーツ編集部、その後、オプション編集部、 F1速報誌AS+F編…