目次

いよいよWRC2025シーズン開幕戦ラリー・モンテカルロが開幕する。22日水曜日にセレモニアルスタートが行なわれると、木曜日からはいよいよSS1がスタートする。レッキはすでに始まっており、SNSなどで続々と現地の情報が届いている。
選手の移籍やカレンダーの変更、ハイブリッドの廃止など話題豊富な2025年シーズン。開幕前に情報を整理しておこう。
1)トップカテゴリー3ワークスは開幕戦に合計10台をエントリー!
WRC2025年シーズンは、昨年の最終戦で逆転コンストラクターズチャンピオンを獲得したTOYOTA GAZOO Racing WORLD RALLY TEAM(TGR)、ティエリー・ヌービル選手が初のドライバーズチャンピオンとなったHYUNDAI SHELL MOBIS WORLD RALLY TEAM 、そしてM-SPORTS FORD WORLD RALLY TEAM(Mスポーツ)の3ワークスチームがRally1マシンを走らせる。
注目したいのはTGRに新加入となったサミ・パヤリ選手、そしてMスポーツに移籍したアドリアン・フルモー選手。サミ・パヤリは昨年のラリー・フィンランドでTGRのラリー1マシンに乗り4位に入っている。2025年のレギュラー参戦で大化けの予感。アドリアン・フルモー選手は戦闘力の高いHYUNDAIのマシンを手にしてどれだけ上位に食い込めるか楽しみ。
そして、カッレ・ロバンペラ選手がフル参戦復帰する。当然チャンピオン候補ナンバーワンと考えるが、2024年に念願のドライバーズチャンピオンに輝いたティエリー・ヌービル選手もその座を簡単には譲るはずがない。両者のプライドを賭けた戦いを見たい。
もちろん、勝田貴元選手には一番大きな声援を送りたい!
■開幕戦モンテカルロラリー エントリーリスト(Rally1のみ)
No. | ドライバー/コ・ドライバー | チーム |
1 | ティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダグ | HYUNDAI |
33 | エルフィン・エバンス/スコット・マーティン | TGR |
8 | オット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ | HYUNDAI |
17 | セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ | TGR |
16 | アドリアン・フルモー/アレクサンドル・コリア | HYUNDAI |
18 | 勝田貴元/アーロン・ジョンストン | TGR |
69 | カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン | TGR |
13 | グレゴワール・ミュンスター/ルイス・ルッカ | M-SPORT |
5 | サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン | TGR |
55 | ジョシュ・マッカーリーン/エオイン・トレイシー | M-SPORT |
2)カレンダーは14戦に。サウジアラビア、カナリア諸島、パラグアイが新規開催地に!
2025年から最終戦としてサウジアラビアが加わり、全14戦で実施される。
アフリカ大陸モロッコの西にあるスペイン領カナリア諸島では、これまでヨーロッパラリー選手権が開催されており、ここでラリーの実績を積み、WRCに昇格した。
また、パラグアイも新規開催地として加わり、チリとともに南米ラウンドが2戦となった。
これは近い将来に開催があるのではと噂されている北米ラウンド実施に向けた布石か? というのは深読みすぎるだろうか。
ラウンド | ラリー名 | 日程 |
1 | Rallye Monte-Carlo | 1/23~26 |
2 | Rally Sweden | 2/13~16 |
3 | Safari Rally Kenya | 3/20~23 |
4 | Rally Islas Canarias | 4/24~27 |
5 | Vodafone Rally de Portugal | 5/15~18 |
6 | Rally Italia Sardegna | 6/5~8 |
7 | EKO Acropolis Rally Greece | 6/26~29 |
8 | Delfi Rally Estonia | 7/17~20 |
9 | Secto Rally Finland | 7/31~8/3 |
10 | Rally del Paraguay | 8/28~31 |
11 | Rally Chile Bio Bío | 9/11~14 |
12 | Central European Rally | 10/16~19 |
13 | FORUM8 Rally Japan | 11/6~9 |
14 | Rally Saudi Arabia | 11/27~30 |
3)ハンコックタイヤがワンメイクタイヤに

2021年から継続されていたピレリタイヤのワンメイク供給が終了し、ハンコックタイヤが2025年から2027年までWRCのラリー1、そしてWRC2、WRC3、ジュニアWRCといった下位カテゴリーにも供給される。ハンコックタイヤは2024年シーズンはFIAフォーミュラE世界選手権やERCヨーロッパ・ラリー選手権のジュニアERCカテゴリーへの供給を実施している。
4)ポイントシステムが大幅に変更され、1ラウンド最大35ポイントを獲得
2024年シーズンで物議をかもしていた土曜日時点での暫定ポイントが廃止された。
新シーズンは、まずは従来通り最終日までの総合順位に基づいて、1~10位まで25-17-15-12-10-8-6-4-2-1ポイントが配分される。さらに、2025年からは日曜日のみの総合順位に対し、1~5位までに5-4-3-2-1ポイントが付与される。そして、最終SS(スペシャルステージ)は『パワーステージ』となり、上位5番点まで5-4-3-2-1ポイントが加算される。
これにより、2024年は最大獲得ポイントが30だったところが、2025年は最大35ポイントとなる。まさしく「日曜日まで走り切って勝つ」ということが重視されることになる。
5)ハイブリッドユニットが廃止に
開発コストなどを理由に廃止と継続が延々と議論され続けてきたラリー1マシンのハイブリッドユニット論争がようやく終結。プラグインハイブリッドユニットは2025年シーズンは使用されない。一方、ハイブリッドユニットがなくなることで生じるパワーのロスは、車両最低重量を1260kgから1180kgに引き下げることと同時に、吸気エアリストリクターのサイズを36mmから35mmに縮小することで、従来と同等のパワーウエイトレシオを維持するよう調整された。サービスパークや一部リエゾンで、モーターのみの駆動時に「ピヨピヨピヨ」や「キーン」といった、ラリー1おなじみの電子音は聞かれなくなる。

6)WRC2の戦いにも注目! 最速のWRC2ドライバーに贈られる「FORUM8 WRC2 Most Stage Wins Award」は継続
トップカテゴリーのシートを虎視眈々と狙うドライバーが鎬をけずるカテゴリーWRC2にもぜひ注目を。
スバルWRCの伝説的ドライバーであるペター・ソルベルグの息子オリバー・ソルベルグはマシンをGR YARIS Rally2にスイッチして継続参戦する。また、フォーラムエイト・ラリージャパン2024ではイニシャルDカラーを纏ったシトロエンC3 ラリー2でみごと勝利を飾ったニコライ・グリアジンは、シュコダ・ファビアRSにスイッチしてチャンピオンを狙う。
さらに、TGR WRCチャレンジプログラム2期生として2年目のWRC2参戦となる小暮ひかる選手と山本雄紀選手は勝負となるシーズンだ。フィンランドで修行を続けるふたりの進化を見たい。
そんなWRC2ドライバーのなかでも特別に速さを魅せたドライバーに贈られる「FORUM8 WRC2 Most Stage Wins Award」は2025年も継続される。WRC2クラスの新しいスピードキング登場に期待したい。