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10回目を迎えた『オートモビルカウンシル2025』
2025年4月11日(金)~13日(土)にかけて千葉市の幕張メッセを会場に『オートモビル・カウンシル2025』が開催された。このイベントの特色は全国のプロショップがレストア済みのヘリテージカーを持ち込み、展示するだけでなく、その場で商談ができるところにある。

また、テーマに沿った企画展やメーカーやインポーターによる特別展示なども実施される。ほかにもコンサートやトークショー、ミニカーや書籍、カタログなどの自動車関連グッズを販売するマルシェもあるので、クルマの購入予定がない人でも楽しめる内容となっている。

記念すべき10回目を迎えた今回のテーマは「クルマを超えて、クルマを楽しむ Classic Meets Modern and Future(クラシック・ミーツ・モダン・アンド・フューチャー)」だ。

主催者テーマ展示は「Giorgetto Giugiaro(ジョルジェット・ジウジアーロ)展『世界を変えたマエストロ』」とスポーツカー「THE GOLDEN AGE OF RALLY IN JAPAN」だ。前者はアルファロメオ・ジュリア・スプリントGTAからバンディーニ・ドーラまで9台が展示され、後者は1966年のモンテカルロラリーと1967年のフィンランド1000湖ラリーに参戦した1966年型BMCモーリス・ミニクーパーSを筆頭に実戦で活躍した6台のラリー車が展示された。

メーカーやインポーターのうちトヨタや三菱、マツダなどの国内メーカーの特別展示は、自社が所有するヘリテージコレクションから往年のコンセプトカーを出展。トヨタ4500GTや三菱HSR-II、マツダ・ルーチェのプロトタイプとなったS8Pが展示され、来場者の注目を集めていた。なお、これらの主催者テーマ展示と国内メーカーの特別展示については次回以降に改めて紹介する。

日本国内で2度目の展示となったストラトス・ゼロ

CCCJ(The Classic Car Club of Japan)のブースでは、2025年3月15日(土)~3月16日(日)にかけて、奈良の名刹・薬師寺で開催された『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025』にアメリカからエントリーしていたストラトス・ゼロと、フランスのデカダンスを感じさせる戦前の超高級車・1924年型ドラージュD1トルペードスポーツが展示された。


とくにストラトス・ゼロは以前の記事でも紹介した通り、1970年代のWRCを制覇した究極のラリーウェポンとも言えるランチア・ストラトスを生み出したコンセプトカーであり、関東での公開は初めてということで、会期中CCCJのブースは終日人だかりができていた。

筆者がこのクルマを見るとは『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025』に続いて2度目だが、車高は838.2mmと低く、ボディは限界までコンパクトにまとめられており、楔型そのもののスタイリングは改めて見てもインパクトがある。
そして、フロントヘッドランプストリップは全幅いっぱいに10個の55W電球を並べてヘッドランプを構成し、コーダトロンカ処理されたリヤはメッシュグリルの縁全体を84個以上の小さな電球を並べてリボンテールランプとして処理するなど、たしかにディティールの処理こそ鬼面人を威すところはあるものの、よくよく見れば面構成はシンプルかつクリーンだ。無駄なものが一切備わらないスタイリングはとても美しい。

それに加えてパッケージングの秀逸さが光る。大人ふたりを乗せるのに無駄を徹底的に削ぎ落とした設計がなされており、キャビンは極限まで前進させた上で、乗員に寝そべるような姿勢を強要。その背後にはランチア・フルヴィア用1.6L V型4気筒SOHCエンジンを縦置きに搭載する。さすがは「パッケージングの魔術師」と呼ばれるマルチェロ・ガンディーニの手腕である。

「20世紀最大の嘘」とまで呼ばれたベルトーネが提案したコンセプトカーの資質を見抜き、新生ランチアの象徴とすべく、ストラトス・ゼロのコンセプトに沿った競技専用車に近いロードカーを量産し、それをもってFIA公認を受けてラリー制覇を目論んだランチアワークス監督のチェザーレ・フィオリオと社長のエール・ウーゴ・ゴッバートはやはり彗眼だったといえるだろう。

雨に祟られた前回のコンクール・デレガンスと違い、今回はインドアショーだ。フリップオープン式のフロントスクリーンとカウルフードは開け放たれ、奈良では叶わなかったインテリアとエンジンルームをじっくりにられたのは僥倖だった。
GT40Pにコブラ、フェラーリ、ポルシェ……幕張メッセに博物館級のマシンが一堂に介す
『オートモビルカウンシル2025』の見所はもちろんそれだけではない。この日のために全国のプロショップの出展車は、主催者テーマ展示やメーカー展示にも負けず劣らずの素晴らしいクルマばかりで見応えが充分だ。

例えば、イギリス車やイタリア車を中心にクラシックカーや輸入車の販売・整備を手がける「CORGY’S(コーギーズ)」は、1966年型フォードGT40P(♯1035)と1965年型シェルビー・コブラ427コンペティション(CSX3005)、フィアット・アバルト1000ビアルベーロ(♯858582)、ローラT212(21)、ブラバムBT5などの博物館級のマシンを展示していた。




綺羅星の如き名車たちを一気に写真で紹介!
ここからはプロショップが出展した車両を中心に会場で出会った魅力的なマシンを一気に紹介する。
















