ストラトス・ゼロの中身も見られた!スーパーカーにクラシックカーなど『オートモビルカウンシル』の展示車両を一気に見せます!

幕張メッセを会場として2025年4月11日(金)に開幕した『オートモビル・カウンシル2025』は、ヘリテージカーを中心にしたモーターショー&展示即売会だ。2016年に第1回が開催されたこのイベントも今回で10回目。国内外の希少なマシンが一堂に介しただけでなく、スペシャルゲストにイタリアからジョルジェット・ジウジアーロ氏を招いてのトークショー、アーティストを招いてのライブコンサートなどが開催された。そんな会場の様子を写真を中心に紹介しよう。
REPORT&PHOTO:山崎 龍(YAMAZAKI Ryu)

10回目を迎えた『オートモビルカウンシル2025』

2025年4月11日(金)~13日(土)にかけて千葉市の幕張メッセを会場に『オートモビル・カウンシル2025』が開催された。このイベントの特色は全国のプロショップがレストア済みのヘリテージカーを持ち込み、展示するだけでなく、その場で商談ができるところにある。

また、テーマに沿った企画展やメーカーやインポーターによる特別展示なども実施される。ほかにもコンサートやトークショー、ミニカーや書籍、カタログなどの自動車関連グッズを販売するマルシェもあるので、クルマの購入予定がない人でも楽しめる内容となっている。

1967年型フェラーリ330GT。

記念すべき10回目を迎えた今回のテーマは「クルマを超えて、クルマを楽しむ Classic Meets Modern and Future(クラシック・ミーツ・モダン・アンド・フューチャー)」だ。

1936年型フィアットSIATA。

主催者テーマ展示は「Giorgetto Giugiaro(ジョルジェット・ジウジアーロ)展『世界を変えたマエストロ』」とスポーツカー「THE GOLDEN AGE OF RALLY IN JAPAN」だ。前者はアルファロメオ・ジュリア・スプリントGTAからバンディーニ・ドーラまで9台が展示され、後者は1966年のモンテカルロラリーと1967年のフィンランド1000湖ラリーに参戦した1966年型BMCモーリス・ミニクーパーSを筆頭に実戦で活躍した6台のラリー車が展示された。

1977年型ロータス・エスプリS1。

メーカーやインポーターのうちトヨタや三菱、マツダなどの国内メーカーの特別展示は、自社が所有するヘリテージコレクションから往年のコンセプトカーを出展。トヨタ4500GTや三菱HSR-II、マツダ・ルーチェのプロトタイプとなったS8Pが展示され、来場者の注目を集めていた。なお、これらの主催者テーマ展示と国内メーカーの特別展示については次回以降に改めて紹介する。

1957年型シボレー 210ハンディマンワゴン(ベルエア仕様)。

日本国内で2度目の展示となったストラトス・ゼロ

ストラトス・ゼロ(手前)と1924年型ドラージュD1トルペードスポーツ(奥)。

CCCJ(The Classic Car Club of Japan)のブースでは、2025年3月15日(土)~3月16日(日)にかけて、奈良の名刹・薬師寺で開催された『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025』にアメリカからエントリーしていたストラトス・ゼロと、フランスのデカダンスを感じさせる戦前の超高級車・1924年型ドラージュD1トルペードスポーツが展示された。

1924年型ドラージュD1トルペードスポーツ。
ドラージュD1トルペードスポーツのリヤビュー。リアルウッドによるボートテールボディがなんとも美しい。さぞ腕のある職人がボディワークを手掛けたのだろう。
ドラージュD1トルペードスポーツのインテリア。
なんとも艶かしいドラージュD1トルペードスポーツのラジエターグリル上にあるマスコット。

とくにストラトス・ゼロは以前の記事でも紹介した通り、1970年代のWRCを制覇した究極のラリーウェポンとも言えるランチア・ストラトスを生み出したコンセプトカーであり、関東での公開は初めてということで、会期中CCCJのブースは終日人だかりができていた。

ランチア・ストラトス・ゼロ。

筆者がこのクルマを見るとは『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025』に続いて2度目だが、車高は838.2mmと低く、ボディは限界までコンパクトにまとめられており、楔型そのもののスタイリングは改めて見てもインパクトがある。

ランチアのコンセプトカー「ストラトス・ゼロ」は如何にしてラリーマシン「ストラトスHF」となりWRCを席巻するに至ったのか?

2025年3月15日(土)~3月16日(日)にかけて、奈良の名刹・薬師寺を会場としてアジア地域唯一のコンクール・デレガンス『コンコルソ・デレガンツァ・ジャパン2025』が開催された。6年ぶり4回目となる今回の目玉は、このイベントのためにアメリカからエントリーしたストラトス・ゼロだ。今回は究極のラリーウェポンの原点であり、伝説の始まりとなったこのコンセプトカーの誕生とラリー参戦、ストラダーレの生産までの経緯を実車の写真を交えて解説する。

そして、フロントヘッドランプストリップは全幅いっぱいに10個の55W電球を並べてヘッドランプを構成し、コーダトロンカ処理されたリヤはメッシュグリルの縁全体を84個以上の小さな電球を並べてリボンテールランプとして処理するなど、たしかにディティールの処理こそ鬼面人を威すところはあるものの、よくよく見れば面構成はシンプルかつクリーンだ。無駄なものが一切備わらないスタイリングはとても美しい。

ストラトス・ゼロの時折フリップオープン式のフロントスクリーンが解放され、キャビンが見えるように展示された。

それに加えてパッケージングの秀逸さが光る。大人ふたりを乗せるのに無駄を徹底的に削ぎ落とした設計がなされており、キャビンは極限まで前進させた上で、乗員に寝そべるような姿勢を強要。その背後にはランチア・フルヴィア用1.6L V型4気筒SOHCエンジンを縦置きに搭載する。さすがは「パッケージングの魔術師」と呼ばれるマルチェロ・ガンディーニの手腕である。

カウルフードが開けられ、エンジンルーム内がよく見える。パワーユニットはランチア・フルヴィア用1.6L V型4気筒SOHCエンジンを縦置きで搭載される。

「20世紀最大の嘘」とまで呼ばれたベルトーネが提案したコンセプトカーの資質を見抜き、新生ランチアの象徴とすべく、ストラトス・ゼロのコンセプトに沿った競技専用車に近いロードカーを量産し、それをもってFIA公認を受けてラリー制覇を目論んだランチアワークス監督のチェザーレ・フィオリオと社長のエール・ウーゴ・ゴッバートはやはり彗眼だったといえるだろう。

CCCJの会員が記念撮影をする際に、ボディ側面のサイドウィンドウが開けられていたのを見つけてすかさず撮影。側方の視界は極めて悪く、わずかな景色が見えるだけだろう。

雨に祟られた前回のコンクール・デレガンスと違い、今回はインドアショーだ。フリップオープン式のフロントスクリーンとカウルフードは開け放たれ、奈良では叶わなかったインテリアとエンジンルームをじっくりにられたのは僥倖だった。

GT40Pにコブラ、フェラーリ、ポルシェ……幕張メッセに博物館級のマシンが一堂に介す

『オートモビルカウンシル2025』の見所はもちろんそれだけではない。この日のために全国のプロショップの出展車は、主催者テーマ展示やメーカー展示にも負けず劣らずの素晴らしいクルマばかりで見応えが充分だ。

1965年型シェルビー・コブラ427コンペティション(CSX3005)。わずか23台のみが生産されたコンペティション・スペックで、1966年にシャシー、アクスル、ホイールのみの状態で実業家の藤本軍次氏が輸入。それ以来、国内に留まる。
シェルビー・コブラ427コンペティションのリヤビュー。長らくスクラップヤードのコンテナに眠っていたが、「ミニマルヤマ」代表の丸山和夫さんが出荷当時の状態にレストアした。
シェルビー・コブラ427コンペティションのインテリア。

例えば、イギリス車やイタリア車を中心にクラシックカーや輸入車の販売・整備を手がける「CORGY’S(コーギーズ)」は、1966年型フォードGT40P(♯1035)と1965年型シェルビー・コブラ427コンペティション(CSX3005)、フィアット・アバルト1000ビアルベーロ(♯858582)、ローラT212(21)、ブラバムBT5などの博物館級のマシンを展示していた。

1966年型フォードGT40P(♯1035)。シェルビー・アメリカンがレーススペック&エンジンレスで製造した4台のうちの1台で、主にキャンペーンのデモ車両として使用された。
フォードGT40Pのリヤビュー。
1971年型ローラT212コスワースFVC。
1960年型フィアット・アバルト1000ビアルベーロ(♯858582)。

綺羅星の如き名車たちを一気に写真で紹介!

ここからはプロショップが出展した車両を中心に会場で出会った魅力的なマシンを一気に紹介する。

ジェームス・ディーンも愛用したポルシェ初のレーシングカー・550の忠実なレプリカ、ベック550スパイダー。大阪のBECK JAPANが輸入・販売を手掛けておるマシンだ。
ベック550スパイダーのリヤビュー。かつてはブラジル工場で製造していたが、現在は旧工場を引き払いアメリカで製造されているそうだ。車両のクオリティは以前よりも上がっている。
ベック550スパイダーのインテリア。
展示車両はスバル製水平対向エンジン(EJ25)を搭載。ほかにVWタイプIのエンジンもセレクト可能。
ポルシェ・カレラGTS(904)のレプリカ、ベックGTSサーキット仕様。
1981年型フェラーリ512BBi
1955年型メルセデス・ベンツ180コンビ(W120)。珍しい180のステーションワゴンだ。
メルセデス・ベンツ180コンビのリヤビュー。
VWタイプIIコンビ・ラストエディション。2013年にブラジル工場で生産を終了したVWタイプIIの最終生産型で、200台生産されたうちの1台。1998年以前とは異なり水冷エンジンを搭載する。フロントマスクの黒い樹脂製グリルの奥にラジエターを備える。
VWタイプIIコンビ・ラストエディションのリヤビュー。新車当時、大阪のGAKUYAが輸入・販売したうちの1台だろう。
1974年型ディーノ246GTS
1969年型ランチア・フラヴィアクーペ
1979~1990年まで製造されたマセラティの高級車クワトロポルテIII
1959年型サンビーム・レイピア・シリーズ2
1998年型ロータス・スーパーセブン40周年アニバーサリー1.7
タミヤブースに展示されていたタイレル(ティレル)P34シックスホイーラー
記念すべき第10回開催のスペシャルゲストは「マエストロ」ことジョルジェット・ジウジアーロ氏。11日(金)と12日(土)に開催されたトークショーには大勢の来場者を集めた。
『オートモビルカウンシル2025』のステージでは「MUSIC MEETS CARS」と銘打ちライブイベントを充実させていた。写真は13日(日)に開催された歌手の森山良子さんのトーク&ライブの様子。ほかにも佐野優子さんのピアノライブ、小野リサさんのプレシャスライブ、ピーター・バラカンさんのトーク&レコードコンサートが開催された。
ウルフレーシングジャパン(本社:東京都墨田区)が展示していたジュリア・スプリントをモチーフにしたソファ。アルフィスタならずとも欲しくなる逸品。
「プジョーの駆け込み寺」として知られる原工房(東京都江戸川区)が販売していたオランダ製のバーベキューグリル。ガーデンバーベキューに使うとオシャレなアイテムだ。
フィアットなどのコンパクトカーの名店・ピッコロカーズ(東京都江戸川区)が販売、原工房でも取り扱う「JOYカート」。折りたたみ式の電動カートで1回の充電で8kmの航続距離を誇る。当日は原代表が会場の散策に利用していた。
折りたたんだ状態の「JOYカート」。重量はバッテリー込みで30kgほどなので車に積んで持ち運び可能。法律的にはシニアカーに分類されるので、ナンバー不要で歩道を含む公道走行が可能だ。
会場で美味しいコーヒーを提供するALPHA COFFEE(長野県軽井沢町)の店舗。
ALPHA COFFEEの傍にはオーナー所有のアルファロメオ1750GTVが展示されていた。
オーダーメイドでパーツを1個から製作するSqueeze Works(大阪府東大阪市)のブース。
Squeeze Worksが製作したパーツの数々。金属部品はもちろん、ゴム部品なども製作可能。旧車の部品で困っている人は一度相談してみることをオススメする。
上質工具の販売でお馴染みファクトリーギアのブース。厳選した工具のほか出張ツールバー も展開。なおファクトリーギアでは来る4月26日に工具好きの祭典「ギアフェスタ2025」を天王洲アイルで開催するので、工具付きは忘れずにカレンダーをチェックしておこう。

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著者プロフィール

山崎 龍 近影

山崎 龍

フリーライター。1973年東京生まれ。自動車雑誌編集者を経てフリーに。クルマやバイクが一応の専門だが、…