精鋭レスキュー隊の最新車両を配備しよう!!

トミカ × リアルカー オールカタログ / No.32 堺市消防局 特別高度救助工作車

発売から50年以上、半世紀を超えて支持される国産ダイキャストミニカーのスタンダードである『トミカ』と、自動車メディアとして戦前からの長い歴史を持つ『モーターファン』とのコラボレーションでお届けするトミカと実車の連載オールカタログ。あの『トミカ』の実車はどんなクルマ?
No.32 堺市消防局 特別高度救助工作車 (ブーム可動 希望小売価格550円・税込)

全国の消防本部には、河川や山間部で起こる事故、自然災害、化学災害などの特殊な災害にいたるまで、どんなに困難な現場でも駆け付ける、救助隊(レスキュー隊)と呼ばれる救助のスペシャリスト部隊があります。救助工作車(あるいは救助車、レスキュー車)とは、事故や災害など様々な現場に対応できるよう、多くの救助資機材を積載し、助けを必要とする現場に駆け付ける救助隊の必需品とも言うべき車両です。

テイセン(帝国繊維) 救助工作車 HX艤装(日野レンジャー5代目6.4ℓ FD系ベース)実車フロントビュー(『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)(PHOTO:帝国繊維)
テイセン(帝国繊維) 救助工作車 HX艤装(日野レンジャー5代目6.4ℓ FD系ベース)実車リヤビュー(『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)(PHOTO:帝国繊維)

救助工作車は一見すると消防車のように見えますが、消防車と違って救助や救急を目的に活動するため、どんな現場でも対応できるよう、ウインチ、照明装置、クレーンなど多数の救助資機材を積載しているのが特徴です。車体のサイズは多くの場合は中型トラック程度で、大抵はフロントにウインチを装備するために、バンパーが他の消防車両に比べて大きく張り出している車両がよく見られます。また、大抵は側面がシャッター仕様になっており、資機材の出し入れが容易にできるよう工夫されています。

現在、現場で活用されている救助工作車にはさまざまな種類がありますが、車両の大きさや装備する資機材によってⅠ型~Ⅳ型の大きく4つに分けられます。

最も小さなⅠ型(1型)は、主に2~3トンクラスのトラックのシャシーをベースにしたものです。一般的には、道路の幅が狭く車両の交通に不便な地域や、険しい山道などがある地域の消防署に配備されています。

Ⅱ型(2型)は5~7トンクラスのトラックがベースになり、一般的にはクレーンと照明装置を装備しています。最も多くの自治体で採用されている車両ですが、自治体によっては、ポンプを装備して消火も行なえるタイプもあります。また、地域の事情により通常の救助資機材に加えて、水難救助用の資機材を充実させている例も見られます。また、バス型と呼ばれる、トラックの天井を高くしたうえで座席を増やしてマイクロバスのように改造した車両などもあり、地域によってバリエーションは様々です。

帝国繊維HX型の艤装の特長。広い空間と収納力の豊富さがポイントだ。(PHOTO:帝国繊維)
帝国繊維HX型艤装を施した車内。“働くクルマ”らしい機能的なコクピットでありながらもゆとりの広さを誇る。(PHOTO:帝国繊維)
帝国繊維HX型艤装を施した車内。こちらの隊員席部分も広いスペースを持つ。(PHOTO:帝国繊維)

Ⅲ型(3型)は、1995年の阪神・淡路大震災の教訓をもとに生まれた震災対応救助車両です。7~10トンクラスの4輪駆動のトラックに、Ⅱ型と同様の一般的な救助資機材のほか、より高度な技術を必要とする救助活動に使われる資機材が搭載されています。シャシーが4輪駆動車でクレーンを装備し、高度救助資機材を搭載していない(あるいは搭載できない)場合にはⅢ型扱いにならず、Ⅱ型扱いになります。

Ⅳ型(4型)も同じく、阪神・淡路大震災の教訓をもとに誕生した4輪駆動の震災用救助車両です。Ⅳ型は大規模災害発生の際の他地域への派遣時に、自衛隊所有のC-130型あるいはC-2型輸送機に搭載できるようコンパクトボディ――主に2トンクラスのトラックシャシーが使用される――になっており、2台1組となって使用されるのが大きな特徴です。

さて、これらの救助工作車は前述のように救助隊によって使用されますが、この救助隊も4レベルに分かれています。その頂点に位置するのが政令指定都市および東京都の消防に配置される特別高度救助隊、その次に位置するのが中核市もしくは消防庁長官が指定するそれと同等規模もしくは中核市を有しない県の代表都市を管轄する消防本部に配置される高度救助隊です。これらの救助隊は一般に“ハイパーレスキュー”あるいは“スーパーレスキュー”や“スーパーレンジャー”などの愛称で呼ばれている精鋭レスキュー・チームです。Ⅲ型救助工作車は、これら精鋭チームが使用する専用車両なのです。

堺市消防局 特別高度救助工作車の実車。(PHOTO:堺市消防局)
訓練に出動した堺市消防局 特別高度救助工作車。(PHOTO:堺市消防局)

『トミカ』の『No.32 堺市消防局 特別高度救助工作車』は、大阪府、堺市消防局の“フェニックス レスキュー”のニックネームで知られる特別高度救助隊が使用している最新型のⅢ型救助工作車です。“フェニックス レスキュー”は全国的にもファンの多いレスキュー隊としても知られています。

このⅢ型救助工作車は救助工作車のパイオニアとして知られる帝国繊維が、ワイドシングルハイルーフキャブのトラックをベースに艤装するHX型(あるいはHX型ニューキャビン)と呼ばれる型式のもので、ボディ前方に隊員席を設けた広々とした空間と収納力の豊富さを誇る新方式ハイルーフキャビンを採用しているのが特徴です。『トミカ』になった堺市消防局の車両は、日野自動車の最新6代目の日野レンジャーをベース車両としています。

『トミカ』の『No.32 堺市消防局 特別高度救助工作車』は側面シャッター部の“フェニックス レスキュー”のロゴなど貴重な実車をよく再現してあり、特徴的なブームも可動します。消防コレクションにぜひ加えたい1台でしょう。

■テイセン(帝国繊維) 救助工作車 HX艤装(日野レンジャー5代目6.4ℓ FD系ベース) 主要諸元 (『トミカ』モデル車種と同一規格ではありません)

全長×全幅×全高(mm/各部寸法は概算):8220×2320×3300

ホイールベース(mm):4250

トレッド(前/後・mm) :1800/1660

エンジン: J07E-Ⅹ型直列6気筒

排気量(cc):6403

最高出力: 191kW(260ps)/2500rpm

最大トルク:794Nm(81.0kgm)/1500rpm

トランスミッション:6速MT

サスペンション(前後):リーフリジッド

ブレーキ(前後) :ドラム

タイヤ:(前後)225/80R17.5

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