ボッシュ:ドレスデンの新ウエハ製造工場の開所に向けたマイルストーンを達成
- 2021/03/10
- Motor Fan illustrated編集部

ボッシュはドレスデンの新たな半導体製造工場において、シリコンウエハが完全自動製造プロセスを初めて通過するという、未来の半導体チップ工場に至るマイルストーンを達成した。
これは、2021年後半に予定されている量産開始に向けた重要なステップでもある。なお、この完全にデジタル化され、高度にネットワーク化された半導体製造工場では、主に自動車用マイクロチップを製造する。
「未来のモビリティソリューション向け、そしてより安全な交通をつかさどるチップの製造を、まもなくドレスデンで開始します。未来のチップ工場の開所は、年内となる見込みです」と、ロバート・ボッシュGmbH取締役会メンバーのハラルド・クローガー氏は述べている。
ボッシュはすでに、シュトゥットガルト近郊のロイトリンゲンで半導体工場を稼働させている。ドレスデンの新しいウエハ製造工場は、ボッシュが半導体の急激な需要増に対応するとともに、ドイツをハイテク拠点にするための取り組みへの姿勢を改めて表している。ボッシュは、世界で最も先進的なウエハ製造工場のひとつとなるこのハイテクな製造工場に、約10億ユーロを投資している。さらに、新工場建設のためにドイツ政府、具体的にはドイツ連邦経済・エネルギー省から助成金も付与されている。なお、ウエハ製造工場の正式な開所は2021年6月を予定している。
プロトタイプの製造がすでに進行中
ボッシュは、2021年1月からドレスデンの製造プロセスで第一弾となるウエハの製造を開始した。ボッシュはこれをもとに、電気自動車やハイブリッド車に搭載するDC/DCコンバーターなどの用途で用いられるパワー半導体の製造を進める予定。
ウエハは、完全に自動化した約250の工程を経て6週間かけて製造し、ここでは寸法が1µm(マイクロメートル)の数分の1という微細な構造をウエハ上に集積させる工程も含んでいる。現在では、このマイクロチップのプロトタイプを電子部品に組み込んでテストできる段階にまで進んでいる。
ボッシュは、非常に複雑な集積回路の初回量産を今年3月にスタートさせた。ウエハを半導体チップの完成品にするためには約700の処理工程が必要で、完成までに10週間以上かかる。

300mmウエハ
ボッシュの新しいドレスデン工場の中核を担う技術は、1枚のウエハのチップ収量が3万1000に上る300mmウエハ。従来タイプの150mmウエハや200mmウエハと比べて、300mmウエハはより大きなスケールメリットをもたらし、半導体製造における競争力の向上に貢献する。さらに、ドレスデン工場の製造工程はすべて完全に自動化され、マシン間のデータもリアルタイムでやりとりされるため、チップの製造が非常に効率的に進む。「ボッシュの新しいウエハ製造工場は、自動化、デジタル化、そしてネットワーク化における基準を打ち立てています」と、クローガー氏は述べている。
工場の建設は2018年6月から始まり、敷地面積は約10万平方メートル(サッカー場約14面分相当)に上る。同工場は、欧州のシリコンバレーとも呼ばれるドイツ南東部の都市ドレスデンのシリコン・サクソニー(Silicon Saxony)に位置し、2019年後半に延べ床面積約7.2万平方メートルの建物が完成した。その後、内装工事、クリーンルームへの製造装置の第一号機の設置と続き、2020年11月には、高度な製造技術を必要とするウエハが一通りの自動製造サイクルで初回製造された。工事が最終段階に進めば、ドレスデン工場で最大700人のスタッフが製造を管理・監視し、機械の保守を行うことになる。

ウエハからチップへ
半導体は、IoT(モノのインターネット化)や未来のモビリティなど、ますます多くの用途に用いられるようになっている。半導体の製造プロセスは、ウエハと呼ばれるシリコンの丸いディスクから始まる。ボッシュのドレスデン工場で扱うウエハは、直径が300mm、厚さはわずか60µmで、ヒトの毛髪の太さにも満たないサイズ。需要の高い半導体チップを製造するために、未処理のウエハ(ベアダイ)が数週間をかけて処理される。そして、完成した半導体が例えば車載の特定用途向け集積回路(ASIC)に用いられると、車両の頭脳として機能する。つまり、これらがセンサーからの情報を処理し、例えば超高速メッセージをエアバッグに送信して、即時に展開するよう指示を出すなど、さらなる動作を引き起こすことになる。
シリコンチップはわずか数平方ミリメートルというサイズながら複雑な回路が集積され、数百万もの電子機能が実装されることもある。

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