FR&直6の本格派で東京都内から鈴鹿峠・関宿までの往復約900kmを走り、高速道路・ワインディング・一般道での実力を検証 【新型トヨタ・スープラRZ:900km試乗】その高いGT性能に陰りなし! ピュアスポーツの走りも兼ね備えた“ドライビングマシーン”
- 2019/12/10
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遠藤正賢
2019年5月に17年ぶりの復活を果たしたトヨタのハイパワーFRスポーツカー・スープラ。その中から、歴代スープラが伝統的に搭載してきた直6エンジンを搭載する最上級グレード「RZ」に乗り、東京都内から三重県と滋賀県に跨がる鈴鹿峠&関宿に至る往復約900kmのルートを走行した。ピュアスポーツ路線を強めた新型のGT性能とワインディングでの走りはいかに?
REPORT●遠藤正賢(ENDO Masakatsu)
PHOTO●平野陽(HIRANO Akio)/トヨタ自動車
新型スープラはBMW Z4と多くのコンポーネンツを共用するため全長が140mm短くなり(全幅は55mm、全高は15mm拡大)、これまでの2+2から完全2シーターに。ホイールベースは70mm、86に対しては100mm短い2470mmとされ、ホイールベース/トレッド比1.55という回頭性重視のパッケージングが与えられている。
これを聞いた私は、実際に試乗するまで、ひとつの大きな懸念を抱いていた。「歴代スープラが持ち味としていたGT性能が、大幅に損なわれているのではないか」と。
私はかつて、先代A80型スープラ中期型(1996年式)の、3.0L直6ターボ+6速MTを搭載する最上級グレード「RZ」を約3年間所有していたのだが、穏やかかつリニアで扱いやすいエンジンおよびハンドリング特性に加え、路面の凹凸をしなやかにいなすサスペンションと、見た目だけではなく効果も絶大なエアロパーツによって、望外に快適な乗り心地と直進安定性の高さを兼ね備えていた。またレカロ製セミバケットシートが装着され、室内も特に幅方向にゆとりのある空間となっていたため、長距離長時間でも疲れ知らずで走り切れたことを良く覚えている。
それだけに、ピュアスポーツ路線を強めた新型スープラに対しては、率直に言って期待よりも不安の方が大きかったのだが、実際に走らせたその瞬間、そうした心配は杞憂に終わった。
今回は日産フェアレディZ 50thアニバーサリーを常に伴っての走行だった(両者の実燃費は下記記事参照)ため、往路は新東名高速道路の清水PAでMotor-Fan小泉編集長と車両を交換。東名阪自動車道・亀山ICまでの高速道路区間を試乗したが、新静岡IC~森掛川ICの制限速度120km/h区間でも、不安定になる気配は皆無。
トヨタ・スープラと日産フェアレディZで東京から鈴鹿峠&関宿まで900kmを走って実燃費を計測! 6気筒FR本格スポーツカー長距離ドライブ
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86の2.5倍に達し、CFRP(炭素繊維強化樹脂)を多用するレクサスLFAをも凌ぐというボディ剛性は伊達ではなく、大きなギャップを乗り越えてもミシリと言う気配をまったく感じさせず、何事もなかったかのように車体の上下動を一発で収束させた。
また、ボディ形状そのものからリフトの発生を抑えることに特化してエクステリアデザインを開発したという、カタログの謳い文句も決して大袈裟ではないらしく、フロントの接地感が希薄になり、直進性が怪しくなる兆候も見られなかった。この点ではむしろ、パッケージング上の不利を補って余りある次元で、先代よりも大きく進化したと言えるだろう。
そして、340psに加え500Nmもの最大トルクを1400-4500rpmの広範囲で発するB58B30C型3.0L直6ターボと、ZF製8速ATとのコンビネーションがもたらす加速性能に不満などあろうはずがない。しかもアクセルペダルの踏み方に合わせ、欲しいだけのパワー・トルクが得られるギヤを、常に適切に選択してくれる。また、低回転域でもエンジンサウンドがハッキリと、ただし耳障りではない音量・音質で聞き取れるのは、メーターに頼らずとも車両の状態を正確に把握できるという点で非常に好ましく思える。
そのうえ新型スープラには、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)やレーンディパーチャーアラート(LDW)、ブランドスポットモニター(BSM)、衝突被害軽減ブレーキ、アダプティプハイビームといった、先進運転支援システム(ADAS)が満載されている。これらの疲労軽減・事故防止効果は、特に今回のようなロングツーリングでは無視できないほど大きく、しかもACCやLDWの制御が極めて自然なため、いたって快適に高速区間を走りきることができた。
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