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【牧野茂雄の自動車業界鳥瞰図】今年から「罰則付き」となる、朝令暮改の中国NEV規制

  • 2019/02/15
  • Motor Fan illustrated編集部
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昨年11月の広州モーターショーはNEVの祭典だった。実力はさて置き、中国各社のNEVが揃った。NEV販売台数最多を誇る北京汽車は、上の写真のセダン「EV5」を純電動車として披露した。ダイムラーと合弁会社を持つ北京汽車集団は昨年3月、NEV専門会社である北汽新能源にダイムラーの出資を受け入れた。これによりダイムラーは、北汽新能源が獲得したNEVクレジットを優先的に買い取る権利を得た。NEV規制は金で解決できるのだ。

中国の新エネルギー車(NEV)規制は今年から「罰則付き」だ。前年のエンジン車販売台数に応じて中国政府が各自動車メーカーと自動車輸入元に目標クレジットを与え、これを消化できない場合は罰則の対象になる。しかしNEVは一般ユーザーにあまり売れておらず、なのに政府は2020年で補助金を打ち切ろうとしている。果たしてこの規制は続くだろうか。

 昨年2月、NEVに搭載するバッテリー(2次電池)についての新しい法律が制定された。最大の改正点は、政府が補助金支給対象に指定したバッテリー製造会社の企業リスト、いわゆるホワイトリストの管理が中華人民共和国国務院傘下の工業和信息化部(工信部)から中国汽車工業協会(中汽協)へ移譲されたことだ。国の管理から業界団体の管理に変わった。同時に、管理対象品目にLi-B(リチウムイオン2次電池)電池本体だけでなく正・負極材が加わり、全個体電池と個体高分子膜燃料電池も追加された。さらにR&D(研究開発)部門の人員比率は全従業員数の10%以上という前規制が強化されて15%以上と定められた。その代わり生産能力要件は撤廃された。

 同じ時期に公表された第8弾のホワイトリストについて三菱UFJリサーチ&コンサルティングを取材したところ「寧徳時代新能源科技(CATL)、中信国安盟、桑頓新能源、恵州比亜迪電池(BYD)などが外れている」「この新リストに登録されていない電池メーカー製の2次電池を搭載したモデルも推薦車両目録には掲載されており、ホワイトリスト掲載企業からの電池採用が補助金支給の必須項目ではなくなっている」とのことだった。

 さらに、第8弾ホワイトリストには韓国企業と中国側との電池合弁企業名が3社(サムスン/LG/SKイノベーション)掲載されていた。ただし市販NEVへの電池納入実績はまだない。韓国政府が執拗に門戸開放を迫ったためにリストだけ開放したのか。あるいは工信部から中汽協へと移管されたリストはもはや有名無実であり「勝手にどうぞ」が実態なのか──。

 筆者は後者だと見る。いずれパナソニックやGSユアサといった日本の2次電池メーカー製電池が静かに日系自動車メーカーの中国現地製NEVに採用されるはずである。2020年には実現するだろう。日系各社はすでに確信を持って「待ち」の状態にあるように思う。

 中国政府がNEV規制導入を正式に発表したのは2017年9月下旬だった。15年に導入の意向が示され16年9月と17年6月にそれぞれ試案が公表されていたが、17年9月になって「来年から導入」「ただし罰則規定は1年免除」と発表された。これとほぼ同時に「政府が認める電池製造メーカーから2次電池を購入したNEVでなければNEVクレジット対象にしない」とのお触れで最初の電池企業目録、第1弾のホワイトリストが発表されていた。

 これに慌てたのは外資自動車メーカーにほかならない。中国の電池メーカーとの間でLi-Bについての取引がある海外自動車メーカーは極めて少なく、しかし取引を行なわなければNEVクレジットを消化できない。

 日本では、メディアが「世界はEVの時代」「エンジンはもう古い」といった論調を展開していたところに電池規制の話が飛び込み「日本の自動車メーカーはどう対応するのか」を問う記事が多く書かれた。そしてVW(フォルクスワーゲン)やBMWなどドイツ勢が新興電池メーカーであるCATLからのLi-B調達を明らかにして以降は「欧州勢に先を越された日本」との論調が増えた。その裏側は分析していない。

 中国の自動車市場が右肩上がりで推移していたのは18年6月までだった。7月以降はマイナスが続き、18年はおそらく前年比1%程度の減少で終わるものと思われる。18年12月が17年並みの306万台だと仮定して、通年では2848万台。中汽協の年初見通しは2998万台だったが、これを150万台ほど下回る可能性が高い。中国政府は「いずれ右肩上がりが終わって代替中心の水平飛行状態になる」ことを見越してNEV規制を打ち出していたが、昨年の自動車市場は想定外だろう。マイナス要因のひとつは米国との貿易摩擦である。

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