

ターボチャージャー簡単解説
ターボチャージャーは、エンジンの排気ガス(図:紫矢印)でタービン(図:緑右)を回し、その力で吸気側のコンプレッサー(図:緑左)を駆動して空気を圧縮(図:青矢印※配管内)し、通常より多くの空気をエンジン(図:中央)に送り込む過給装置だ。より多くの空気が入れば燃料も増やせるため、小排気量でも大排気量並みのパワーを引き出せるのが最大の特徴。ただし、空気は圧縮すると高温になり密度が下がるため、途中にインタークーラー(図:左下)を設けて吸気温度を下げ、密度を高めて安定した燃焼を促す。排気エネルギーを再利用する効率的な仕組みである一方、過給によって燃焼温度や圧力が大きく上がるため、燃料制御や熱対策、耐久性への配慮が不可欠となる。パワーと信頼性を両立させるには、ブースト管理と冷却系を含めた総合的なセッティングが求められる装置である。
ワゴンRのタービンで自作ターボ化
AB27モンキーを新車で購入し、コツコツとカスタムを重ねてきたなおPさん。ターボ化は約10年前、88ccをベースにしたキャブレター仕様からスタートし、数々の苦労を経てようやく完成形に到達したという。
現在のエンジンは、SP武川のスカットシリンダーで138ccにボアアップし、デイトナ製DOHCヘッドを組み合わせたハイエンド仕様。それにワゴンR最大クラスのタービンを追加してターボ化を実現した。当然ながら、そんなキットは市販されていないため、すべてがワンオフだ。
ブースト制御にも工夫が必要だった。アクチュエーターが撤去されているため、そのままではブーストが上がり放題になる。その対策として、ブースト圧と高回転域の伸びを両立させるためにエキゾーストハウジングを削り、セッティングしている。
キャブレターに限界を感じ、インジェクション化
タービンの加工では何度もピストンを焼いてきたが、苦労はそれだけではない。88ccのキャブレターターボ仕様時には、高ブースト時のエンジンストールという問題に直面。その原因がパーコレーション(キャブレターのフロート室内のガソリンがターボの吸気熱で沸騰する現象)だと判明し、燃料供給をインジェクションに変更した。
シグナスX用のフルコンを流用したが、当時はブースト1.0kg/㎠までしか燃料制御ができなかったため、高ブースト用の追加インジェクターと専用フルコンを追加。2つのマップでセッティングするという複雑な仕様となった。


熱との戦い、電力不足も……
さらに、ターボ特有の熱対策も課題だった。空冷式のインタークーラー(吸気温度を下げる冷却装置)を安定性の高い水冷式に変更。タービンの冷却も兼ねるエンジンオイルは別体タンクを増設して油量を確保し、大型オイルクーラーで冷却を行っている。
しかし、これらを稼働させる電磁ポンプや2基のフルコンを動かすには電力が不足。ジェネレーターをダブルで装着しても発電量はギリギリの状態だ。そのため、デュアルヘッドライトは片方しか点灯できないという限界突破の仕様になっている。

アルミパーツはもちろん、12インチホイールも自作!
エンジン以外にも注目すべきカスタムポイントは多い。特に目を引くのは、各部に使用されたワンオフのアルミパーツだ。オーナーが加工カスタムを得意とする「P-POWER」代表ということもあり、その技術力の高さには納得だが、前後12インチホイールまでワンオフしているというのだから、費やしたコストは想像を超えるものだろう。
サスペンションも大幅に変更されている。フロントにはKSRの倒立フォークを、リヤには20cmロングのワンオフスイングアームとシフトアップ製モノサスを組み合わせ、もはやモンキーの面影はない。複雑に張り巡らされたオイルラインや冷却系統、燃料クーラーを挟むフューエルラインは、まるでサイボーグのような雰囲気を醸し出している。
数々の困難を乗り越え、ついに完成したモンキーターボ。その完成度の高さには驚かされるばかりだ。


撮影したのはこのEVENT!

「ENJOY 4MINI」
■日時:2024年10月19日(土)
■開催地:鈴鹿ツインサーキット(三重県)
Gクラフトを主体とした4MINI系パーツメーカーが毎年秋頃に開催しているイベント。カスタムコンテストや走行系コンテンツなども充実し、お祭りムード満点だ。
※こちらの記事はモトチャンプ2025年2月号に掲載されたものです。

