90〜2000年代スクーター黄金期を象徴するライブDio
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、原付スクーターカスタムシーンで圧倒的な人気を誇っていたホンダ・ライブDioシリーズ。シャープなフロントフェイスとスポーティな車体デザイン、さらに豊富なアフターパーツによって、通勤通学の足から本格カスタムまで幅広い支持を集めていた。
なかでもライブディオZXは、前後ディスクブレーキや専用足周りなどを採用したスポーツグレードとして人気を獲得。当時はショップデモ車や雑誌でも数多く取り上げられ、“ライブDio ZX”は多くの若者たちの憧れだった。
今回紹介する車両も、そんなライブDio系ならではのスポーツスクーター感をベースにしながら、80〜90年代JTCマシンを思わせるFET SEEDカラーを融合。単なる懐かし系では終わらない、独特な世界観を作り上げている。

1994年に登場したライブDioシリーズは、90年代スクーターカスタムシーンを代表する人気モデル。シャープなスタイリングと高いパフォーマンスによって、多くのユーザーから支持を集めた。画像は95年モデル。
FET極東カラーで表現する“レーシングカー”の世界観
まず目を引くのが、白・黄・黒を基調とした独特なカラーリング。大きく配置された「FET極東(KYOKUTO)」ロゴを見れば、クルマ好きなら思わず反応してしまうはずだ。
このマシンのモチーフとなっているのは、1980年代後半〜1990年代前半の全日本ツーリングカー選手権(JTC)などで活躍した「FET極東」のレース用マシン。特にAE86レビンやGT-Rなどへ採用されていた、印象的なレーシングカラーをスーパーディオへ落とし込んでいるのである。
低く構えた車体に、Gスタイル製テールカウル、そしてワンオフ・ユーロチタンチャンバーを組み合わせることで、当時の“レーシングカーをスクーターで表現した独特の雰囲気を演出。単なるスクーターカスタムとはひと味違うアプローチといえる。

FET極東カラーを大胆にレイアウト。レーシングカーを思わせる配色ながら、ベースは親しみやすいライブディオというギャップもグッド。
■MACHINE:ライブディオZX ■OWNER:Sさん

Kブレイン製ユーロチタンチャンバーやGスタイル製テールを組み合わせる。同色で揃えたスポンサーロゴの配列がレーシングムードを高める。

白ボディ+赤×黒×イエローのラインに、「FET KYOKUTO」ロゴを組み合わせた外装は、80〜90年代JTCで活躍したFET SEEDマシンへのオマージュ。クルマ好きなら思わず反応してしまう世界観だ。
70cc仕様+ユーロチタンで走りも本気仕様
外装こそレーシンググカー風だが、中身はかなり本格的。エンジンはマロッシ製シリンダーによって68cc化され、デイトナ製“赤箱”CDIやΦ24mmキャブレター、KN企画製エアファンネルなど、当時人気だった定番パーツを惜しみなく投入している。そして目を引くのが、Kブレイン製ワンオフ・ユーロチタンチャンバーだろう。鮮やかな焼き色をまとったチタンボディは、このマシンの世界観にドンピシャ。見た目だけでなく、2ストローク特有の乾いたサウンドも強烈で、アイドリング時からただ者ではない雰囲気を放っている。
駆動系にはマロッシやステージ6、UPSなどのパーツを組み合わせ、クラッチ周りまで細かくセットアップ。さらにRPM製4ポッドキャリパーや200mmディスクも装備されており、きちんと“走れる仕様”となっているのもポイントだ。タイヤは前後ダンロップTT93GPをチョイスし、フロント90/90-10、リヤ100/90-10と、ワンサイズ太目を装着している。

マロッシやステージ6などのパーツを組み合わせた駆動系。肉抜き加工された駆動系カバーも見どころのひとつ。

Kブレイン製ワンオフ・ユーロチタンチャンバーを装着。鮮烈な焼き色と存在感が、FET極東カラーの外装と絶妙にマッチしている。
当時感あるパーツ選びがマシン全体の雰囲気を決定づける
この車両の見どころハイエンドカスタムだけではなく、“当時感のあるパーツ選び”にもある。RSゼロ製カーボン調メーターやデイトナ赤箱CDIなど、90〜2000年代初頭のスクーターシーンで人気だったアイテムをあえて組み合わせているのだ。さらにリヤ周りは肉抜き加工されたケ駆動系カバーやワンオフ感ある細かな仕上げによって、旧車レーシングカーのような“メカニカル感”を演出。派手なだけではなく、オーナー自身の好きな世界観をしっかりDioへ落とし込んでいるからこそ、このマシンには独特な説得力がある。現代スクーターにはない濃厚な空気感こそ最大の魅力かもしれない。

130km/hまで刻まれたRSゼロ製カーボン調メーターを装着。当時感あるカスタムパーツをあえて組み合わせることで、当時のスクーターシーンらしい空気感を演出している。

RPM製4ポッドラジアルマウントキャリパーと大径Φ200mmディスクを装備。見た目だけでなく、しっかり止まれる足だ。

大きく跳ね上がったGスタイル製テールカウルが、このマシンの象徴的ポイント。出光やDUNLOPロゴによって、往年のツーリングカーマシンのような雰囲気。
※この記事は月刊モトチャンプ2023年6月号を基に加筆修正を行っています