世界にないものを、実証実験を通じ「未来の当たり前」へ

「(豊田自動織機から始まるトヨタグループが)この100年間つないできたのは、技術や資本だけでなく『誰かのために』という思いだったと私は思っております」
隈部CEOはそう話した。
「では、次の100年に向けて私たちは何をつないでいくのか。トヨタがつないできた歴史と思いを受け継ぎ、新たなイノベーションや発明を起こし、『幸せの量産』につなげていく。それが、私たちウーブン・バイ・トヨタの存在意義だと考えています」
隈部CEOはウーブン・バイ・トヨタの役割をタグボートに例えた。
「誰かのために、この変わらないフィロソフィーを土台に、これまでと違うスピード、違うスケール、違うアプローチで未来を作っていきます。そのために私たちは『誰かのために』という思いを受け継ぎ、トヨタの変革を先導するタグボートとしての役割を担っていきます。大きな船を引っ張る、小さくてもパワフルなタグボート。トヨタのモビリティカンパニーへの変革を推し進める存在でありたいと思っております」






思い描く未来は、交通事故ゼロ社会だ。
「これまで私たちは、クルマの技術を磨き、安全性の向上に努めてまいりました。しかし、クルマ単体の性能向上だけでは守り切れない命がある。そのことに気づいてきました。だからこそ、クルマだけでなく、人、そしてクルマに限らないさまざまなモビリティ技術、そしてインフラとつながり連携しあうことで、社会の仕組みとして交通事故ゼロを目指していく必要があります」
ソフトウェアを開発する際の共通プラットフォームであるArene(アリーン)、フィジカルAIなど最新のAI技術を活用した自動運転および運転支援技術。これらを、ウーブンシティを舞台にさまざまなパートナーと連携し開発。世界にないものを、実証実験を通じ「未来の当たり前」としていく。
「私自身、エンジニアとしてさまざまなイノベーションに携わってまいりましたが、そのすべてがカケザンで出来上がっていると言っても過言ではないと思っています。今後、よりスケールが大きく複雑なイノベーションを実現していくためには、社会を巻き込み、産業を超えたカケザン、そして国境を越えた多様なアイデアを考えてカケザンすることが必要だと考えています」

ここでウーブン・バイ・トヨタの新しいロゴが発表された。六角形のシルエットはそのままに、赤とグレーと黒、6本の糸が交錯するデザインだ。赤はトヨタへの敬意、グレーは多様な声やアイデアの調和、黒は実装への力強さを表すという。

「このロゴは私たちのこれからのカケザンを象徴しています。私たちのミッションはモビリティ変革のドライバー。人を思うイノベーションでモビリティの常識に挑み続ける。現状に甘んじない。今日不可能と思われていることに挑戦する。これは私たち自身のコミットメントでもあります」
ウーブンシティを支えるカギとなるのがAI

隈部CEOからバトンを受け取った豊田SVPは、「ウーブンシティを未完成の街」と話す。
「実証が始まってから半年以上が過ぎましたが、日々、さまざまなうまくいかないことが起きています。例えば、クルマが来たら青になるはずの信号が30分以上青にならないこともありました。こういうことが起きるのも、街のインフラをすべて自分たちで作り、動かしているからです。完成されたものを使うのではなく、実証の内容に応じ柔軟に変えられるようにしています。まずはやってみよう。失敗しても前に進める街へと進化させていきたいと考えています」
そう意気込みを語る豊田SVPは、ウーブンシティを支えるカギとなるのがAIであると強調した。
「失敗できる街の根幹を支えているのがAIです。ウーブンシティにおけるAIは単なる技術ではなく、街の状況を理解し、先回りして支えてくれる存在です。AIが私たちの代わりになるものではありません。私たちの力を引き出し、その可能性を拡げてくれる存在です。私たちは少なくともAIをそのように考えています」
トヨタ自動車東日本・東富士工場から生まれ変わったウーブンシティとインベンターガレージでは、AIを活用しながら新たな価値を生み出していくことになる。
「これは、ヘリテージとイノベーションのカケザンです。(ウーブンシティは)まだ完成された姿ではありません。だからこそ、ここには未来を作る余白があります」
Q&Aセッションではジョン・アブスマイヤー代表取締役CTOが加わり、技術的な視点で来場者らの質問に答えた。
「ウーブンシティでは、すぐに消費者に供給できないような技術を管理された環境のなかで試すことができます。(カメラの映像から人、モノ、モビリティの行動を理解する)AIビジョンエンジンがいい例です。交通事故ゼロ社会に向けてステップ・バイ・ステップで進めていこうと考えています」
ウーブン・バイ・トヨタのキーメンバーが、ウーブンシティの現在地について説明した。未完成の街でカケザンを促し、新たなイノベーションや発明を起こして「誰かのために」「幸せの量産」を生み出していく考えだ。

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