ダラダラ、ゆるいとは違いメリハリがある「ゆるふわ」
自身がドライビングで意識している、そして指導している「丁寧で綺麗な走り方」を『ゆるふわドライビング』と呼んでいます。
運動音痴で体力もなく、反射神経やセンス・感覚などで身体を動かすのは苦手。そこで速く車を走らせるのに考えついたのが、最小限の力で丁寧に車を走らせる、ゆるふわドライビングです。
クルマに無駄な力を与えない最小限の操作を実践すれば、暴れるような挙動は発生しません。ドライバーも力が抜けて余裕が生まれるため、仮に挙動が暴れてもラクに対応できるようになります。
同様に年齢を重ねて体力が落ちた人でも通用するドラテクでしょう。今回はその要となる「ゆるふわブレーキ」を解説します。
ABSのため強く踏んでも一定の制動力から上がらない
「ゆるふわブレーキ」の真髄はブレーキを強く踏み過ぎないこと。足の力を抜き、文字とおりゆる~くふわっとブレーキを踏みます。
いわゆる「曲げるブレーキ」はもちろんのこと、最大踏力となる「止めるブレーキ」でもそれは変わりません。理由は過剰な前荷重を避けるためです。
現代のクルマはABSが装着されているので、一定以上強いブレーキを踏んでも制動力は理論上変わりません。強く踏まないといっても、ABSが作動する領域での話になります。
具体的なブレーキ踏力はクルマによっても異なりますが、最近のクルマは比較的弱く踏んでも強い制動力を発生しますので、案外弱いブレーキとなりますね。
とくに踏み始めが肝心で、最初から勢いよくブレーキを踏むと、ドンと一挙に前荷重になり、フワッとブレーキを踏み始めれば、前荷重が少なくなります。実際にブレーキの踏み始めが強い乗り方と、弱い乗り方では、ピッチングの速さだけではなく量も異なります。
強過ぎないブレーキのメリット①

前のめりにならないことでリアブレーキが効く姿勢に
過剰に前傾な前荷重は、ブレーキングに不利な姿勢です。サスペンションやタイヤをはじめ、フロントまわりのの負荷も大きい。
そしてリアタイヤの接地は薄く、リアブレーキを効かせることができず、フロントブレーキのみで制動をすることになります。
輪で制動するはずのトータルの制動力は落ち、制動距離が延びる可能性があります。そして、フロントブレーキの温度が高くなるので、フロントまわりの負担が大きくなります。
ブレーキパッドやローターの熱ダレ消耗を早めるだけでなく、フロントタイヤの発熱も引き起こします。実際、S耐に参戦していたとき、ブレーキローター温度はドライバーによって異なりました。
ドンと強くブレーキを踏むドライバーのフロントブレーキ温度は上昇、リアブレーキ温度は下降していました。 逆に、早くフロントタイヤを温めたいときはあえてドンと強くブレーキを踏むこともあります。
強過ぎないブレーキのメリット②
過剰な前荷重ではクルマは曲がれない
クルマをコーナリングさせるために必要なものはロールの姿勢です。
そのため、ある程度の前荷重を減らして、フラットな姿勢に近づけて横方向のロールをさせる必要があります。強い前荷重から大きく前荷重を減らすのは、軽い前荷重から少し前荷重を減らすのより難しい操作ですよね。
できるだけ難しい操作を減らしてラクをするのが、自身が考える速いドライビングへの近道です。
その「ゆるふわ」への対応策と手順とは
①踏み始めを「ゆる~く・ふわっと」踏む。
② ①によりフロントが少し沈んだら本格的に踏力を掛け、ABSが効くレベルまでブレーキを行います。
この際、ブレーキを踏み足さないのがコツ。これはドンとピッチングさせるのではなく、スッとピッチングさせるイメージとなります。
③あえて早めにブレーキを踏み始めること。ブレーキ区間は短時間での操作です。「止めるブレーキ」から「曲げるブレーキ」に移行するのが難しければ、あえて早めからゆるくブレーキを踏むのもよいかもしれません。
たとえば100m看板でブレーキを行うところを110mで踏み始める。そうすると心にゆとりができますので、曲げるブレーキやハンドル操作を適正に行える安心感が生まれます。スムーズに操作できればコーナーリングスピードが上がり、ブレーキを早めに踏んでいても、かえってタイムアップすることもありえるのです。
④街乗りから練習しておくこと。助手席の人が、いつブレーキを開始したかわからないように、スムーズに踏み始められる「ゆるふわ」を心掛けましょう。
サーキットでの限界ギリギリのカミソリのような走りもよいですが、一見流しているようなふわ~っとした走り方も、スポーツドライビングのひとつのスタイル。
瞬発力や反射神経などが必要とされないため、私のように運動神経にそこまで自信がない人にもとくにオススメな走らせ方です!

講師
梅田 剛
2020年のメディア対抗ロードスターレースで、レブスピードチームの予選アタックを担当。強豪ひしめく中で、2位に0.2秒以上の差をつけて予選ポールを獲得!



