お便り ブレーキディスクって大きい方がよく効くって本当?

投稿者:千葉県/ヒロシさん

チェンの回答

そもそもブレーキとは、走行しているバイクの運動エネルギーを、ディスクローターとブレーキパッドの摩擦によって熱エネルギーへ変換し、速度を落としていくシステムのこと。簡単に言えば、「回っている車輪を摩擦の力で止めている」というワケだ。

では、なぜ“大径化”すると効きが良くなるのか? これは“テコの原理”に近いイメージだ。たとえば扇風機でも、中心部分を押さえるより羽の外側を押さえたほうが簡単に止められるよね。ブレーキディスクも同じで、中心から遠い位置をキャリパーで挟めるほど、車輪を止める力(制動トルク)を発生しやすくなるのだ。そのため、大径ディスク化を行うと、軽いレバー操作でもしっかり減速できるようになったり、「ブレーキが効くようになった!」と感じるケースも多い。ただし、「大径ディスク=絶対に短く止まれる」というワケではない。ここは意外と誤解されやすいポイントなんだよね。

バイクが最終的にどれだけ良く止まれるかは、タイヤと路面のグリップ力による“限界”が存在する。どんなに強力なブレーキを装着しても、タイヤが滑ってしまえば、それ以上強く減速することはできない。極端な話、ブレーキレバーを握ってタイヤをロックできるなら、その時点でブレーキ自体の性能は足りているとも言える。最近のABS搭載車は、その“滑る寸前”を電子制御で使いやすくしているけれど、最後にモノを言うのはタイヤのグリップ力。また、強いブレーキを掛け続けると車体前方へ荷重が移動し、今度はリヤタイヤが浮き上がり気味になって、それ以上ブレーキを強められなくなるケースもある。つまり、“大径化したから最強”というワケではなく、タイヤや車体バランスも含めて考える必要があるということだ。

大径化のメリットは“安心して握れる”こと!

では、大径ディスク化のメリットは何なのか? 最大のポイントは、“思った通りに減速しやすくなる”こと=コントロール性の良さにある。大径ディスクや高性能キャリパーを組み合わせたブレーキは、軽い力で減速しやすく、「あと少しだけ減速したい」といった細かな調整もしやすいケースが多い。つまり、「狙った分だけ減速できる」「安心してブレーキを握れる」といった扱いやすさが魅力なのだ。また、長い下り坂などでブレーキが熱を持ち、効きが弱くなってしまう“熱ダレ”も起きにくくなるケースがある。こうした扱いやすさや安定感が、大径ディスク化の大きなメリットと言えるだろう。ただし、大きくなることで、重くなってしまい運動性能は犠牲になってしまう。そのため孔をあけたり、インナーをアルミ製にするなど、重量増にならないよう工夫している。また素材をノーマル(ステンレス)から変える事でフィーリングを良くする場合も。ちなみにディスクローターの厚みを薄くしてしまうと、熱で歪んでしまう可能性があるため注意が必要だ。

さらに言うと、大径ディスク化は見た目のインパクトも大きい。ホイールいっぱいに広がるウェーブディスクやフローティングローターは、カスタム好きから高い人気を集めている。もし「とにかく短く止まりたい!」というのであれば、ブレーキだけではなくタイヤ選びも超重要。古く硬化したタイヤや、グリップ力の低いタイヤでは、どんな高性能ブレーキを装着しても性能を発揮しきれないからだ。だからこそ、“大きければ最強”ではなく、自分の走り方や用途に合ったサイズや仕様を選ぶことが大切。性能面の違いを理解すると、カスタムはもっと面白くなるぞ!

まとめ

●コントロール重視でサイズをセレクト!

●絶対的制動力ならハイグリップタイヤも要!

著者紹介 

チェン

元レースメカニックで、カスタムビルダーや二輪誌編集部員のキャリアを持つ。現在はスーパーモトのレースに参戦し、ハイエースで全国を飛び回っている。

※この記事は月刊モトチャンプ2023年7月号を基に加筆修正を行っています