埼玉県北西部に位置する秩父地方は、首都圏のライダーにとってなじみのあるツーリングエリアだ。見どころも多く四季折々に美しい風景を見せてくれるが、内陸部にあるので夏は暑く冬寒いというバイクにとってはとくにありがたくない気候なのが玉にキズ。しかし梅雨前の5月は絶好のツーリングシーズン。ということで秩父へと向かうことにした。6月上旬まで天空のポピーも見ごろだというので、まずは東秩父村へとスーパーカブを導いた。

秩父高原牧場の標高600mの丘はポピーの花で彩られていた

東秩父村と皆野町にまたがる秩父高原牧場(彩の国ふれあい牧場)は、5月中旬から6月上旬にかけて牧場の一角がポピーの花に彩られ、天空のポピーと呼ばれて大勢の観光客に人気となっている。秩父高原牧場周辺へはツーリングでも何度も訪れているが、満開の天空のポピーを見たことがない。そこで今回は、天空のポピーに初見参するためにスーパーカブで出発した。

天空のポピーへのアクセス路は何本かあるのだが、東秩父村からのルートを選択した。八王子から入間の茶畑を抜けて、なるべくJR八高線沿いを北上する道を選んで進んだ。飯能以北は県道30号線をひたすら走る。途中には交通量が多い場所もあってスムーズに進まなかったが、まあそれもツーリングのひとコマ。周囲の風景をのんびり眺められると思えばこれも思い出だ。

小川町で県道11号線に入る。周囲を山に囲まれた中を走る道はツーリング気分を盛り上げてくれる。東秩父村の中心を抜けて道なりに定峰峠方面へたどり、途中で県道361号線に進む。ここから一気にタイトなワインディングが始まり、急な上り坂で標高を稼いでいく。ワインディング走行を楽しんでいると、やがて視界が大きく開け、秩父高原牧場の緑が目に飛び込んでくる。

彩の国ふれあい牧場にはさまざまな施設があり、中でもミルクハウスのソフトクリームは大人気だ
農産物の直売所にもなっているめーめーハウス
彩の国ふれあい牧場の中心施設がモーモーハウス。イベントなども行われる

秩父高原牧場の一部は彩の国ふれあい牧場という観光牧場にもなっていて、食事などができる施設や動物と触れ合える施設などがあり、休日には多くの行楽客でにぎわう。今回は平日に来たのですべての施設が開いているわけではなかったが、ソフトクリームが食べられるミルクハウスや野菜の直売が行われているめーめーハウス前の駐車スペースにカブを止め、山の斜面で草を食む牛たちを眺めながら休憩。途中で休むことなく都内から3時間走ってきたので、少しばかり時間を取ってのんびりした。

来た道を少し戻り、西に分岐する道に入ってしばらく行くと、目の前に広がる丘が一面赤く染まっていた。天空のポピーだ。クルマ用の駐車場は丘の上にあるのだが、バイク専用駐輪場はだいぶ下ったところにある。ポピー畑まで坂を上らないといけないのが難点だが、屋根付きのしっかりした建物で足元もコンクリートになっているので不安なく止められるのはありがたい。

畑の入り口で協力金500円を支払い、丘を上る。体力的にはしんどいが、満開のポピーが見事な風景を作り出していて、ついつい上ってしまう。平日にもかかわらず大勢の来場者でにぎわっていた。もちろんライダーも多く、世の中にはこんなにたくさん暇人がいるんだと再認識した。クルマ用の臨時駐車場横にはキッチンカーも出ていて、ポピーを眺めながら食事を楽しんでいる人も多かった。満開の天空のポピーにはいつか来ようと思っていたので、今回望みが叶って良い冥途の土産になった。

標高約600mの丘に1200万本のポピーが咲き誇る天空のポピー
屋根付きの二輪車駐輪場も整備されていて安心だ
天空のポピー開園中はキッチンカーなどが出展している
天空のポピーの開園は5月21日~6月7日。雨天の場合は中止となる。入園には協力金500円が必要だ

再びカブでポピーの丘を下る。タイトなワインディングを駆け下り県道82号線に突き当たったところを南に曲がる。次なる目的地は四萬部寺だ。なにその寺?って思う人が多いだろうけど、実はここ四萬部寺は秩父札所三十四ヶ所の第一番札所なのだ。札所めぐりというと四国八十八箇所巡礼が良く知られているが、秩父札所めぐりを楽しむ人も少なくない。ちなみに僕もほとんどの札所をバイクでめぐった。四萬部寺の目前には旅籠一番という江戸風情溢れる宿があり、これがまた情緒ある風景を作り出しているのだ。

秩父一番札所の四萬部寺。札所は34ヶ所ある
四萬部寺の前にある旅籠一番。江戸風情漂う宿だ

秩父名物わらじかつ丼で遅めの昼飯を食べた後、横瀬町にある寺坂の棚田に寄った。ここは棚田越しに武甲山を見晴らす景観が素晴らしい。ツーリングで全国各地の棚田に行ったが、秩父のシンボルである武甲山を目前にする寺坂棚田の風景は独特で唯一無二。専用の駐車場もあるので、秩父ツーリングの折には一度立ち寄ってみては?

秩父名物が味わえる大野原にある雅紀屋。わらじかつ丼とそばのランチセット(1000円)が人気。雅紀屋 – 秩父名物が楽しめるお店
横瀬町の寺坂の棚田。目の前に武甲山がそびえる景観が圧巻

帰りは国道299号線から県道53号線で上名栗を抜けて青梅、あきる野、八王子と走りつないだ。走行距離は209km。ガソリンの給油量は3.39Lで、燃費は62km/Lほど。かかった費用は約2000円という結果だった。