交換だけがメンテナンスじゃない!

新品パーツに交換すれば簡単だけど、長く乗っていれば樹脂パーツが白くなったり、ヘッドライトが曇ったり、ゴム類が硬くなったりと、気になる劣化は必ず出てくるもの。さらに車種によっては純正部品や社外製補修パーツが手に入りにくく、「まだ使えるのに乗れない……」なんて場面も少なくない。そんな時に役立つのが、ちょっとした工夫と身近な道具でできるDIY補修術。見た目をリフレッシュするだけでなく、部品代の節約にもつながる実践的なテクニックをダイジェスト版で紹介していくよ。

ヘッドライトのクモリを削ってクリアに! 難易度:高

紫外線や経年劣化で曇ってしまったヘッドライトは、見た目だけでなく夜間の視認性にも影響する。サンドペーパーで表面を整え、ウレタンクリアで仕上げれば、驚くほどクリアな表情を取り戻せる。やっぱ眼力って大事。

1000から#1500、#2000番のサンドペーパ

ーを粗い順から順番に使って、レンズの表面
を削っていく。

少し曇ってるけどこれでOK。

2液性ウレタンのクリア塗料を吹き付ける。一度に厚塗りせず均一に吹き付け、5分程度乾かしてから重ね塗り。その作業を5~6回繰り返す。

白くなった樹脂パーツは専用ケミカルで黒くする! 難易度:低

未塗装樹脂は紫外線で白っぽく劣化しがち。専用ケミカルを使って表面を保護しながら黒さを復活させれば、車体全体がグッと引き締まった印象になる。液剤を塗り込んで拭き取るだけのタイプが使いやすい。写真の製品はガラスコートタイプで、樹脂表面を保護してくれる。

白くなってしまった樹脂パーツを復活させる方法はシリコンオイルを塗る、バーナーで炙るなどの方法もあるが、経験上、専用品が綺麗で確実。

カビ臭いシートよサラバ! 難易度:低

屋外保管や長期保管で発生しやすいシートのカビ。専用クリーナーとブラシを使えば、水洗いだけでは落ちない黒いシミもスッキリ。グリップなどゴム製品にも応用できる。

カバーをかけて保管しておいたのに、湿気でシートがカビだらけに。水洗いで取れないカビのシミはカビ取りクリーナーをスプレー。ブラシを使って擦ればカビがスッキリ。

シートだけでなくハンドルグリップなどにも有効。漂白効果が高いので長時間の漬け置きはNG。

割れた樹脂パーツは裏から補修する 難易度:中

フェンダーやカバーなどに使われている軟質樹脂のPP(ポリプロピレン)は、割れてしまうと補修が難しい。専用のツールもあるが高価なので、文具のクリップ1本で出来る方法がある。

クリップや針金をジグザグに折り曲げて、持ち手が出来るように上方向に折り曲げておく。接着する場所に合わせて形状を考えよう。

バーナーで炙って、熱で赤く変色したら裏側から接着したい場所に押し付けてしばらく待つ。

押し付けたクリップが冷えて固まったのを確認し、持ち手の部分をカットすればOK。

欠けた樹脂部分は同素材で再生する 難易度:高

軟質樹脂はパテやFRPなどで補修ができないが、熱を加えれば溶けるので、PP素材を溶かして補修できる。割れてしまったパーツを取っておけば、補修用として流用できるぞ。

強度と見た目を良くするため、同じような素材の切れ端を用意する。結束バンド(タイラップ)でも代用可能だ。

切れ端を溶かしながら、キズを埋めるように盛っていく。

少し多めに盛り付けて、完全に冷やしてからカッターやヤスリで整形する。最後に表面をバーナーで炙れば見た目もキレイになるよ。

硬化したゴムを一時的に柔らかくする方法 難易度:低

長年使ったゴム部品はカチカチになりがち。シリコンオイルやラバープロテクタントを浸透させることで、ある程度柔軟性を取り戻すことができる。とくにインシュレーターは、ガソリンにも触れるため劣化が早いパーツ。放っておくと二次エアを吸ってエンジン不調に。応急処置として知っておくと便利なテクニックだ。

良く浸透するように、汚れや余分な油分を中性洗剤で落とす。

ビニール袋などに入れてシリコンオイルやラバ
ープロテクタントにしっかり浸けて、ヒートガンで温めると柔らかさが蘇る。完全に元には戻らないので応急処置だということを覚えておこう。

ガスケットを自作する 難易度:中

エンジンやクランクケース、キャブレターなど昔のバイクには紙製のガスケットが多い。部品が廃番になっている
のなら、シート状のガスケットから切り出して自分で作るしかない。まずは朱肉用のインクをスポンジに染み込ませて、型を取りたいケースの縁に塗り込む。市販のガスケットシートの上に乗せてギューっと押さえつける。

ノックピンなどの穴部分はレザー細工用のポンチやデザインナイフでくり抜く。オイル漏れを防ぐものなので、切ってしまわないように注意。

ケースに当てて、はみ出しや欠損などをチェック。ケースについた朱肉は水拭きで拭き取る。組み込むときにはオイルを塗っておこう。

手を掛けた分だけ、愛車は応えてくれる

新品パーツへ交換するだけがメンテナンスではない。磨く、塗る、切り出す、溶かす――そんなちょっとした工夫で、諦めていたパーツがもう一度使えるようになることもある。

もちろん、安全に関わる重要部品は無理な補修を避けることが大前提。それでも、外装や小物類のリフレッシュならDIYでできることは意外と多い。部品が手に入りにくいモデルや海外車はもちろん、長く愛車と付き合いたいすべてのライダーに役立つテクニックとして、ぜひチャレンジしてみてほしい。

※この記事は月刊モトチャンプ2023年8月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】