

それまでの『No.57 アート引越センター トラック』に代わり、2026年6月の第3土曜日に『トミカ』に加わったのが『No.57 化石運搬車』です。大型トラックの荷台に迫力ある恐竜の骨格標本が載せられていますが、これは『トミカ』によく見られるイマジナリー・ビークル――その仕事や役割を見た目にわかりやすく表現したクルマ――になります。この『トミカ』のような化石の運搬方式は、まったく見られないというわけではありませんが、それは実物の化石ではなく原寸大レプリカの化石を、展示会場内で位置を変更させるために、ごく短距離を移動させる時だけのようです。


実際の恐竜の骨格標本化石を自動車で運搬する場合は、単なる“荷物の輸送”ではなく、美術品・学術資料・文化財などの輸送に近い扱いになります。特に本物の化石は非常に脆く、振動や温湿度変化で破損するため、輸送前の保存処理から積載方法、法令対応までかなり厳密な手順が必要です。また、国外由来標本では輸出入規制もあります。一方、FRPや樹脂製のレプリカ化石なら、主に道路運送・積載安全の問題になります。骨格標本化石の運搬には様々な専門的知識と技術が必要になるため、一般輸送会社ではなく美術品輸送や博物館輸送専門業者が使われるのが一般的です。
一般的な輸送手順としては、最初に標本状態の確認を行ないます。恐竜化石は見た目よりはるかに脆く、内部に細かな亀裂を抱えていることが多いため、輸送前に保存修復担当者が状態を点検します。必要に応じて表面を樹脂で補強し、分離可能な部位は頭骨・脊椎・肋骨・四肢などに分解します。本物は安全性と保存性の観点から、かなり細かく分割して慎重に輸送されます。大型骨格をそのまま運ぶことはほとんどありません。

次に梱包です。骨化石は振動やねじれに弱いため、単純にクッション材で包むだけではなく一か所に力が集中して加わらないようにします。学術輸送ではクレートと呼ぶ木箱を製作し、内部で標本が動かないよう固定します。大型標本では、骨を金属フレームや専用架台に固定した状態で輸送することもあります。『No.57 化石運搬車』に積まれているティラノサウルス級の大型標本では、運搬時の振動低減のためエアサスペンション仕様のトラックが選ばれることもあります。ラッシングベルトで固定する際も、骨に直接テンションをかけず、木枠やフレームを介して固定します。また、温湿度管理が必要な化石の場合は空調車両が使われます。化石自体は石でも、補修材や接着剤は湿度変化に弱いことがあるからです。
車両への積載時は、重心位置がかなり重要になります。長尺骨や頭骨は数百kg級になり重量が偏るため、偏荷重によって走行中に荷崩れしやすくなります。特に急ブレーキ時の前方荷重は危険です。走行時には、高速走行・急加速・急制動・段差通過を避けます。
法令面では、日本国内ならまず道路交通法と道路運送車両法が基本になり、積載物の固定不良やはみ出しには規制があります。特に骨格フレームが大型化すると、車幅・車高・長さ制限に注意が必要になります。営業として運搬するなら、貨物自動車運送事業法も関係します。依頼を受けて有償輸送する場合、適切な事業許可が必要です。また、実務的には保険加入が非常に重要です。通常の貨物保険では学術標本を十分カバーできない場合があるため、美術品・展示物専用保険が使われます。
さて、『No.57 化石運搬車』の運搬車であるトラック自体は特に明記されていませんが、どうやらいすゞ『ギガ』のようで、その初代モデル、それもフロントマスクなどから見ると前期型をモデル化しているようです。いすゞ『ギガ』は、1994年(トラクタ系は1995年)に810シリーズの後継車として登場した大型トラックです。『ギガ』という名前は「10億」を意味する英語――GIGA――から取られており、「10億」から転じた「巨大な」という意味合いをもって、いすゞの取り扱う最も大きな商品であることを示しています。
『No.57 化石運搬車』の運搬車の元になっていると思われる初代モデルは、衝突時のキャブ変形量を減少し生存空間を確保するため、フレーム構造などに改良を施し安全性の向上が図られています。また、エンジンの燃焼効率の向上やフリクションの低減などにより燃費を向上させたほか、ラインアップに6×4駆動車を追加設定するなど、より一層安全性と経済性に配慮されています。さらに、インタークーラーターボ系エンジンに“逆止弁(ぎゃくしべん)”を装備した“ワンウェイ・クールドEGR(世界初)”を採用し、PM・黒煙およびNOxの低減を図っています。また、1997年に大型トラックとして初めて全車に運転席SRSエアバッグを標準装備し、安全性能を高めたことでも知られています。
ちなみに現在の最新モデルは単車系――非トラクタ系車種のこと――が2015年にデビューした2代目モデル、トラクタ系が2023年デビューの3代目になります。

さて、今回の『No.57 化石運搬車』の運搬車が、いすゞ『ギガ』だと考えられる手掛かりがあります。実は『トミカ』では、かつて『No.30 恐竜搬送車』という商品がラインアップされていました。この『No.30 恐竜搬送車』は運んでいるのが恐竜の骨格化石ではなく、恐竜そのものという違いがあるぐらいで、今回の『No.57 化石運搬車』と同じ構成で、トラックも同じものでした。そして『No.30 恐竜搬送車』のトラックの前面には『ISUZU』と『GIGA』の文字が入っているため、このトラックがいすゞ『ギガ』であることがわかるというわけです。
この『No.30 恐竜搬送車』は大変人気が高いようで、レギュラーのラインアップから外れても、恐竜展などのイベントで限定販売されたりしています。運良く購入出来たら、今回の『No.57 化石運搬車』と並べてみるのも楽しいでしょう。
■いすゞ ギガ KL-CYL51V3型(2000年モデル)主要諸元(『トミカ』のモデル車両と同一規格ではありません)
全長×全幅×全高(mm):11990×2490×3200
ホイールベース(mm): 5880+1310
トレッド(前/後・mm) :2060/1855
車両重量(kg):8670
エンジン: 6WF1-TC型直列6気筒インタークーラーターボディーゼル(ワンウェイ・クールドEGR付)
排気量(cc): 14256
最高出力: 272kW(370ps)/1750rpm
最大トルク:1814Nm(185kgm)/1000rpm
トランスミッション:7速MT
ダンパー: 筒形、複動式
スタビライザー:トーションバー式
主ブレーキ(前/後) :空気油圧複合式(2系統式)ドラム/ディスク
駐車ブレーキ:空気式車輪制動形スプリングブレーキ
タイヤ:(前/後): 295/80R22.5-152/149J / 11R22.5-14PR/16PR
■毎月第3土曜日はトミカの日!

毎月第3土曜日は新しいトミカの発売日です。2026年6月の第3土曜日には、上でお伝えしているように、それまでの『No.57 アート引越センター トラック』に代わって『No.57 化石運搬車』が登場します。また、それまでの『No.19 トヨタ プリウス』に代わって『No.19 ホンダ Super-ONE』が登場します。なお、『No.19 ホンダ Super-ONE』には初回のみの特別仕様(特別色)もあります。







