TECH21カラーが刺さる! 80年代ヤマハの走り系スクーター

MACHINE:YAMAHA CHAMP RS OWNER:武丸さん

ヤマハの80年代スクーターを語るうえで、チャンプRSは外せない存在だ。チャンプシリーズの中でもスポーツ色を強めたグレードで、軽量な車体に最高出力6.3psを発揮する2ストエンジン、フロントディスクブレーキを組み合わせた“走り系スクーター”的な一台。レーサーレプリカブームの空気も濃く、ボディカラーにはヤマハワークス風のストロボカラーをはじめ、マルボロ、ゴロワーズ、そしてTECH21カラーまで用意されていた。

今回の車両は、そんなチャンプRSをベースに、当時のヤマハファンなら反応せずにはいられないTECH21カラーでまとめた一台。TECH21といえば、もともとは資生堂の男性向けコスメブランドだが、80年代のヤマハレーシングイメージを語るうえでも欠かせないカラーだ。2019年の鈴鹿8時間耐久レースで、ヤマハがTECH21カラーのマシンを復活させたこともあり、オーナーはそれに合わせてこのカラーリングを採用したという。

ただし、このマシンは“懐かしカラーをまとっただけ”では終わらない。低く、長く、太く構えた姿は、いわゆるローロングスタイル。淡いブルーのボディにTECH21ロゴ、そして足元には強烈な太足リヤホイール。80年代の憧れを現代のカスタム感覚で乗りこなす、まさに“遠慮なく乗りまわすTECH21カラー”なのだ。

TECH21カラーは塗装で仕上げたもの。300mmロンホイ化と太足リヤ周りにより、80sスクーターとは思えない迫力を手に入れている。

CUSTOM DATA:グランドアクシス100系エンジン/CFポッシュ製CDI/キタコ製デジタルメーター/チャンプRS純正アンダーカウル/グランドアクシス90用フロント周り/リモコンJOG用フロントホイール/JOG用純正ブレンボキャリパー/YSR改リヤショック/ワンオフ300mmロンホイ/グランドアクシス用ハブ加工/SSR MARK-I 5.5J-10インチリヤホイール/ナポレオンミラー ほか

グランドアクシス100エンジンに300mmロンホイ!

真横から見ると、低く長いシルエットがよく分かる。TECH21カラーの爽やかさと、ローロング仕様の存在感が絶妙に混ざっている。

見た目のインパクトも強いが、中身もかなり濃い。エンジンはグランドアクシス100系を搭載し、CDIはCFポッシュ製を使用。小柄なチャンプRSの車体に100ccクラスのユニットを組み合わせることで、見た目だけではない走りの余裕を手に入れている。

足周りも見どころだ。フロント周りはヤマハ・グランドアクシス90のノーマル足周りを流用し(グリス式から油圧式にアップデートできる)、フロントホイールはリモコンJOG用を使用。さらにブレーキキャリパーにはJOG用純正ブレンボ(通称:ヤマンボ)を組み合わせる。流用パーツの選び方だけを見ても、ヤマハ系スクーターを知り尽くした人の仕事という雰囲気がある。

そして最大の見せ場はリヤ周り。ワンオフで300mmロンホイ化し、リヤホイールには四輪用SSR MARK-Iの5.5J-10インチを装着。しかも、ただ太いホイールを入れただけではない。グランドアクシスのハブを加工してドッキングするという手の込んだ作りで、このロー&ロングスタイルを成立させているのだ。

リヤショックはYSR改。あえて硬めのフィーリングを狙った仕様で、低く長くなった車体を支える。アンダーカウルはチャンプRS純正を使用しており、カスタムされているのに純正らしいラインが残っているのもポイントだ。

メーターには、貴重なキタコ製デジタルメーターを装着。設定スイッチも備え、80年代ボディに現代的な機能をさりげなく加えている。さらにナポレオンミラーも、当時の雰囲気を出すうえで外せないチョイス。こうした小物選びまで含めて世界観をしっかり作り込んでいるあたりはオジサン世代(筆者も)はたまらないだろう。

リヤはグランドアクシスのハブを加工し、四輪用SSR MARK-Iを組み合わせるという手の込んだ仕様。チャンプRSのチャンバー型ノーマルマフラーがたまらない!

リヤショックはYSR改。あえて硬めのフィーリングを狙った仕様で、ローロング化された車体をしっかり支える。

メーターは貴重な当時物キタコ製デジタルメーター。各種切り替え用スイッチも備わり、80sボディに現代的な機能と遊び心が加えられている。

ヤマハ純正流用だからまとまる! “当時感”と現代カスタムのいい関係

ここまで手が入っていると、普通ならもっと派手でゴチャついた印象になりがちだ。しかしこのチャンプRSは、かなりカスタムされているにもかかわらず、どこかキレイにまとまって見える。それは、ヤマハ純正系パーツを多用しながら作られていることが大きい。

グランドアクシス100エンジン、グランドアクシス90のフロント周り、リモコンJOG用ホイール、JOG用純正ブレンボキャリパー。世代も車種も違うパーツを組み合わせているのに、ヤマハ同士だからこその自然なまとまりがある。もちろん、そのまま付くわけではない。加工や調整、パーツ選びのノウハウがあってこそ成り立つスタイルだ。

オーナーが苦労したポイントのひとつが、シート生地の色。TECH21カラーのボディに合う色を探すため、納得できるまで何ロールも買ったという。こういう部分にこそ、完成度へのこだわりが出る。ボディカラーだけTECH21にして終わりではなく、シート、ホイール、足周り、ミラーまで含めて“そう見える”ように作っているのだ。

80年代スクーターの魅力は、ただ古いことではない。レアになった部品を探す楽しさ、当時の話に花が咲くこと、ステッカーひとつで記憶がよみがえること、そして現代のパーツや技術を使ってもう一度遊べること。このチャンプRSは、その全部をうまく混ぜた一台だ。

懐かしいTECH21カラーをまといながら、中身はグランドアクシス100エンジンで、足元は太足ローロング。見た目は80s、作り込みは現代流。こんなスクーターを遠慮なく街で乗りまわすなんて、やっぱり最高にモトチャンプ的じゃないか。

フロント周りは一式グランドアクシス90用を換装し、ヤマハ純正ブレンボキャリパーでブレーキ力を強化。フロントホイールはデザイン性の高いリモコンジョグ用を採用している。

グランドアクシス100(通称:Gアク)エンジンをスワップ。社外製パーツも多く継続的な維持がしやすいスマートなチョイス。リヤショックはマウント位置を変えてセンターショック化。おかげでリヤ周りのスッキリ&迫力が増した。

当時物のヤマハ純正ゴムマットを装着。貴重なため筆者なら土足厳禁といきたいところだが、オーナーは気にせず使い倒している。

※この記事は月刊モトチャンプ2021年3月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】