

案内人はこの方!
二輪ジャーナリスト
ノア セレン
これまでにも多くの250モデルを乗り継ぎ、その知識と偏愛で知られる二輪ジャーナリスト。
歯に衣着せぬジャッジに定評があり、辿り着いた愛車はトリッカー。
「それTDRでしょ?」と言われ続けた不遇な存在

「AX-1にしたんだ。あのちょっとオフロードっぽいヤツ」という友人(2000年ごろの話)。
「あれはイイよねぇ! 黄色/黒でね(?)。だって血筋が違うもん。オフっぽく見えてクソ速いでしょ(??)。やっぱ2ストだよねー(???)」
そりゃーTDRだぁ!!
違う違う、俺が買ったのはAX-1!
と言われてみんなポカンとしましたさ。
え? あのオジサンの? 半ズボンに白い靴下履いてるようなホイールの?
当時ハタチそこそこで4気筒ネイキッド全盛時にオジサンかバイク便しか乗ってなかったAX-1を買ってきた友人。
変わり者だったけど、それにしてもAX-1ねぇ。
日が当たりきらなかったとかじゃなくて、「シンプルにカッコ悪い!」というのがヤングな当時の正直な感想でした。
ゴメン!
究極のオールラウンダーを本気で目指していた
ところがどっこし、このAX-1がもの凄い名車だったのです!!
そもそもコンセプトが良い。
何か新しいものを提案しようという気概に溢れていて、エンジンも車体もすべて新設計。
「より幅広いライダーに」「より幅広い走行環境で」「より楽しく軽快に」を掲げ、究極のオールラウンダーを目指したのですね。
エンジンはNSシリンダー(いわゆるスリーブを持たないアルミメッキシリンダー)を初採用し、ツインカム水冷エンジンは強制開閉キャブにも助けられてとてもダイレクトでパワフル(29ps)。
車重はなんと114kgと、この数値だけでもなかなかシビレル。
フルノーマルのまま峠最速だった
シート高はスリムな810mmで、サスがぼにょんぼにょんに沈むし、ホイールがフロント19/リア16インチだから足つきもベッタリでした。
しかもチューブレスタイヤでパンク対策もOK。
夜道も安心のデュアルヘッドライトは、カウルでフレームマウントされてるからハンドリングがとても軽い。
フルノーマルのまま、峠道(特に下り)はマジ最速でした。
いやマジで。
最速でした。
何度でも言う。
振り返るとこれは今のアドベンチャーモデルの草分けですね。
全方位で高い満足度を提供してくれて、実は妥協なく速い。
もう39年も前のモデルなのに今でも値崩れせずに取引されているのが動かぬ証拠。
僕も実は後期型を所有してました。
後期型はホイールが黒くなってね、あの「白靴下感」が和らいでいたのです。
中古車相場チェック(2026年7月時点)
モトチャンプ編集部が2026年7月時点で国内中古車情報を調査したところ、AX-1の流通台数は3台を確認。価格帯は50万円前後から60万円台前半となっていた。
発売から36年以上が経過した250ccシングルスポーツとしては異例とも言える相場を維持しており、近年のアドベンチャーブームによって再評価が進んでいることがうかがえる。
平均価格:約56万円
ボリュームゾーン:50〜60万円台
高価格帯:60万円オーバー
ホンダ AX-1 主要スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売年 | 1987年 |
| 当時販売価格 | 41万9000円 |
| 全長×全幅×全高 | 2040×805×1115mm |
| シート高 | 810mm |
| 車重 | 114kg(乾燥) |
| エンジン | 水冷4ストDOHC4バルブ単気筒 |
| 総排気量 | 249cc |
| 最高出力 | 29ps/8500rpm |
| 最大トルク | 2.6kgm/7500rpm |
| 燃料タンク容量 | 9L |
| ブレーキ(前後) | ディスク/ディスク |
| タイヤサイズ(前) | 90/100-19 |
| タイヤサイズ(後) | 120/90-16 |
※この企画はモトチャンプ2023年4月号に掲載されたものを加筆修正しています。