マツダのディーラーで取り付けまで依頼する前提の製品で、モノだけを買うこともできるが、この仕様のL.S.D.に関してはオーエス技研では販売していない。

そうなると、通常のスーパーロックLSDとは何が違うのか、気になるところ。まずはそこから紐解いていきたい。

オプション設定された専用のスーパーロックLSDはMAZDA SPIRIT RACING ROADSTERや同12Rの開発と歩調を合わせてテストされてきた。その結果、1.5wayが選択され、内部は標準とは少し異なる仕様になった。詳しくは公表できないが、専用設定に若干のアレンジが加えられている。

オーエス技研には「その仕様を教えてほしい」という問い合わせがよくあるそうだが、当然ながら社外秘。しかし、より『人馬一体』感が得られるL.S.D.セッティングを欲するNDロードスターのカスタマーの思いに対し、以下のアドバイスを贈る。

そもそも、スーパーロックLSDの特徴はフリクションプレートの多板化と大径化により100%の高いロック性能を発揮しながら、効き過ぎによる操作性の悪化や抵抗ロスをほとんど生まないことだ。

プレッシャーリングに内蔵されたスプリングがつねに「作動しない方向(オープンデフの状態を保つ方向)」に働いており、大きなトルク変動を検知して初めてL.S.D.が作動する。「効かせたいときにだけ効く」理想のL.S.D.というわけだ。

さらに、プレッシャーリングスプリングは作動時の急激なトルク変動を和らげる役割も果たす。フリクションプレートを一気に密着させず、じわりと密着させるため、強力なロック性能を持ちながらも快適で扱いやすいのも魅力といえるだろう。

そんなスーパーロックLSDの弱点は、トルク感応式のため、タイヤが空転し、完全にトルクを失った場合、差動制限ができない場合があること。それを克服すべく開発されたのが、後発のデュアルコアLSDだ。

基本設計と高いロック性能はスーパーロックLSDとまったく同じだが、トルク差に加えて『車軸の回転差』でも作動するのが違い。

特殊なスパイラル形状のサイドギアにより、急激な回転差が生じるとフリクションプレートが互いに押しつけ合い、擬似的なイニシャルトルクを発生。

それにより、サーキットで縁石を踏んだ際やジムカーナでインリフトした場合でも、確実に作動してトラクションを確保し、挙動を安定させることができるのだ。ただし、こちらはスーパーロックLSDより少し割高。

ちなみに、NDロードスターのデフケースは2種類があり、基本的にはND5RC・ND5REの1.5LタイプとNDERC・NDEREの2.0Lタイプに分かれる。ただし例外があるので注意が必要だ。

オーエス技研ではスーパーロックLSDとデュアルコアLSDが、1.5LタイプにスーパーロックSTとデュアルコアSTがそれぞれラインアップされている。

STシリーズはコンパクトなデフ用に開発されたもので、限られたスペースに高精度なパーツを組み込むために、スーパーロックとは構造が異なるが、スムーズで確実なロック特性は同じ流れに属する。

さて、MAZDA SPIRIT RACING ROADSTERや同12R用のスーパーロックLSDが標準と異なるアレンジを必要としたのは、クルマの仕様や装着タイヤや狙った動き、狙った客層などに合わせるため(根本の部品や構造は標準品と変わっていない)。

それは我々カスタマーが愛車の仕様やタイヤ、目的、走るサーキットなどに応じてL.S.D.をどう組むか、考えるのと同じことだ。前述のスーパーロックやデュアルコア、STシリーズの特性を理解し、プレッシャーリングスプリングの数(減らすとプレッシャーリングが開きやすくなる)やプレートの組み方、カム角などの変更で合わせ込む。

もっとも、そこはチューナーの腕の見せどころだが、オーエス技研では、車種別に最適チューンを施した標準仕様の『SPEC-S』のほかに、カスタマーが任意でカスタマイズ可能な『SPEC-X』を用意。

後者を選べば、作動方式はもちろん、ロックタイミングやカム角の変更も自在となる。

さらに、オーエス技研では『LSD選びの相談窓口』を開設。購入にあたっては、事前に電話やメールで問い合わせるとよい。個々に有効なアドバイスを提供してくれるだろう。その中にはMAZDA SPIRIT RACING ROADSTER用の知見も含まれるかもしれない。


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