ヒョースン・GV250Xロードスター……731,500円(2026年6月上旬、日本国内出荷開始)

直線基調のマッスルなスタイリングが特徴的なGV250Xロードスター。先に発売となったGV125Xとプラットフォームを共有しており、排気量アップに伴いラジエーターの容量が増えているのが外観上の判別ポイントだ。
2024年10月に出荷開始となったGV250S-EVO Supreme。GV250Sボバーをベースにフロントフォークを倒立化し、フル液晶メーターを採用した上位モデルで、GV250Xにはこのモデルの水冷Vツインが搭載されている。車両価格は68万7500円。筆者による試乗インプレッションはこちら
メインフレームは、ダウンチューブを省略してエンジンをストレスメンバーとしたダイヤモンドタイプ。マフラーは左右2本出しで、2気筒であることを強くアピールしている。車体色は写真のアイアングレーのほかに、125と共通のナイトブラックを用意。
ホイール径はフロント16インチ、リヤ15インチで、標準装着タイヤはティムソン製だ。指定空気圧はフロント207kPa、リヤ220kPa(2名乗車時は228kPa)で、これはGV125Xと共通だ。
左の黒い方が原付二種のGV125Xロードスター、右はここで紹介するGV250Xロードスターだ。プラットフォームを共有していることが一目瞭然だろう。ラジエーターのサイズ、スロットルケーブルの取り回し、スイッチボックスの違いなどが判別ポイントとなる。なお、筆者によるGV125Xロードスターの試乗インプレッションはこちら

250ccながら回転数ごとの表情の変化が明確、これぞVツインの味わい

ヒョースンの新型250ccクルーザー、GV250Xロードスターがいよいよ国内出荷を開始した。先に発売されたGV125Xが、欧州のA1免許を強く意識したモデルだとすれば、こちらは日本の軽二輪枠にきれいに収めた仕様と見るのが自然だろう。

韓国では、同系統の水冷60°Vツインを搭載する296ccのGV300Xが展開されている。そのエンジンがボア58mm×ストローク56mmなのに対し、GV250Xは58mm×47mm。つまり、ボアはそのままにストロークを短縮することで、排気量を248.4ccに収めた関係にある。

250cc以下なら車検を必要としない日本では、このわずかな排気量差が商品力を大きく左右する。同じような成り立ちは、軽二輪クルーザーの絶対的ベンチマークであるホンダ・レブルにも見られる。北米では286ccのレブル300を展開する一方、日本仕様は249ccのレブル250が販売されている。市場の制度やニーズに合わせて排気量を最適化するのは、ごく合理的なローカライズと言えるだろう。

軽二輪クラスにおいて7年連続で新車販売台数の頂点に君臨するホンダ・レブル250。エンジンは249cc水冷DOHC 4バルブ単気筒で、最高出力は26PS/9500rpm。STDモデルは63万8000円、写真のE-Clutch仕様は69万3000円だ。

となれば、GV250Xには王者レブル250にはない「こちらを選ぶ理由」が欲しいところだ。水冷Vツインにφ41mm倒立フォーク、トラクションコントロール、ベルトドライブなど、メカニズムには独自の魅力がある。一方、73万1500円という価格はレブル250 E-Clutchよりも高く、バリエーションモデルのS Edition E-Clutchと同額だ。それだけに、スペック表には表れない何かを期待したくなる。

GV250Sボバーの248.4cc水冷60°V型2気筒をベースに吸排気系をX専用に新設計。最高出力25.6PS/9000rpm,最大トルク20.0Nm/7000rpmはGV250Sと共通だ。動弁系はGV125XのSOHC 3バルブに対し、250は4バルブを採用。トランスミッションは6段。オン/オフ可能なトラクションコントロールを装備する。クラッチカバーには切削加工を施すなど質感は非常に高い。

GV250Xで走り出して間もなく、その一つを見つけることができた。250ccながら、しっかりとVツインらしい味わいがあるのだ。具体的には、回転数によってエンジンの表情が明確に変化する。3000~4000rpmにかけてフワッと微振動が消える領域があり、そこを越えると心地良い蹴り出し感を伴いながら、グングンと速度を上げていく。高回転域までただ無機質に回るのではなく、「いま、この回転域を使っている」という感覚がライダーにはっきりと伝わってくる。

しかも、回して楽しいだけではない。低~中回転域にも十分なトルクがあり、街中では必要な分だけスロットルを開ければ、即座に速度を上乗せできる。そこからレッドゾーンの始まる9400rpm付近まで引っ張っても加速の勢いはなかなか衰えず、250ccクルーザーとしての動力性能に不足は感じない。

最高出力は、レブル250の26PS/9500rpmに対してGV250Xは25.6PS/9500rpmを公称。数字だけを見ればほぼ互角だ。ただし、その出力の見せ方はかなり違う。

レブルの水冷単気筒が、必要な力を過不足なく、実に効率良く取り出していく優等生だとすれば、GV250Xの水冷Vツインは、加速中も巡航中も二つのピストンが働いていることを意識させる。鼓動感、微振動、そして回転上昇に伴うフィーリングの変化。それらが重なり合うことで、エンジンを操っている感覚がより濃密なのだ。

まずはここに一つ、GV250Xを積極的に選ぶ理由を見つけることができた。

GV125Xに乗った筆者だからこそ分かった、250Xの高い完成度

先に試乗した原付二種のGV125Xで気になったのが、やや独特なハンドリングだった。常にフロントタイヤとフロント周りの存在感が大きく、その「塊」を左右へ移動させながら旋回していくような感覚があった。もちろん、しばらく走れば慣れる程度のものだが、ニュートラルかと問われれば少し違うと返答する。125に試乗した際には、それを一つの個性として受け止めた。

GV250Xは、そんな125とシャシーを共有している。キャスター角28°、トレール114mm、ホイールベース1460mm、前後タイヤサイズまで同じだ。車重が8kg増えるため、その分だけ動きが重くなるかもしれない、試乗前にはそんな予想すらしていた。

フロントブレーキはφ270mmディスクと対向式4ピストンキャリパーのセット。フロントフォークはインナーチューブ径φ41mmの倒立式で、フェンダーステーに「HYOSUNG」の鋳出し文字が入る。

ところが、走り始めてすぐ、その予想は外れた。むしろ250の方が自然で扱いやすいのだ。理由として大きいのは、やはりエンジンの余裕だろう。125では速度を維持するためにスロットルを開け続けたり、コーナーで勢いを殺さないようにラインを組み立てたりする場面が多かった。それ自体は小排気量車ならではの楽しさでもあるのだが、結果としてライダーが車体の動きを強く意識することになる。

これに対して250は、必要なときに低~中回転域のトルクを使って自在に速度を足せる。コーナー進入で多少速度を落としすぎても、立ち上がりでスロットルを開ければすぐに帳尻を合わせられるし、直線でも交通の流れに乗るためにエンジンを使い切る必要がない。その余裕がライダーの操作にも余白を生み、結果としてハンドリングまでイージーに感じさせるのだ。

125ではシャシーに乗せられている感覚が顔を出す場面があった。言い換えれば「車体が勝っていた」のに対し、250では右手で積極的に動かせるようになった。排気量が倍になっただけで車体そのものが変わったわけではない。それでも、エンジンとシャシーのバランスが整い、バイク全体の完成度がワンランク上がったように感じられたのだ。

リヤショックにもう少し減衰力が欲しいという印象は、125と共通している。ただし、同じ道で何度か乗り比べると、不思議なことに250の方がわずかに乗り心地が良く感じられた。残念ながら250のパーツリストを入手できなかったため、ショックユニットそのものが125と共通なのか、それとも内部設定に違いがあるのかまでは確認できていない。また、両車では駆動系の設定も異なる。したがって理由を一つに絞ることはできないが、少なくともエンジンから駆動系、シャシーまでを含めた車体全体のまとまりは、250の方が一枚上手に感じられた。

リヤサスペンションはコンベンショナルなツインショック。プリロードは5段階に調整可能だ。

ブレーキの印象は125とほぼ共通だ。フロントは入力初期からガツンと効くタイプではなく、レバーを握り込むにつれて制動力が立ち上がる。コントロールしやすく、こうしたクルーザーのキャラクターにも合っている。リヤについては、125の試乗車とは異なり、改良型の踏みやすいペダルが装着されていた。足を自然に乗せやすく、細かな制動力の調整もしやすい。旋回中に姿勢を安定させたいときにも使いやすく、こうした小さな部分の改善も完成度を押し上げている。

リヤブレーキはφ250mmディスクと対向式2ピストンキャリパーの組み合わせで、デュアルチャンネルABSはボッシュ製だ。ホイールはフロント16インチ、リヤ15インチで、切削加工を施すことで質感を高めている。リヤフェンダーはスイングアームマウントで、そこにナンバープレートを取り付ける。

純粋に完成度や扱いやすさだけを物差しにするなら、このカテゴリーでレブル250が支持されている理由は、乗ればすぐに理解できる。軽く、素直で、足着きが良く、エンジンもシャシーもライダーに小難しい操縦を要求しない。その完成度の高さは、GV250Xに乗ったからといって揺らぐものではない。

だが、バイクを選ぶ理由はそれだけではないはずだ。低く身構えたスタイルの中にVツインがあってほしい。スロットルを開けた瞬間にエンジンの存在を感じたい。回転数によって変化する鼓動やフィーリングまで含めて、機械を操る楽しさを味わいたい。そんな趣味性を重んじる人にとって、GV250Xは単なる「レブル以外の選択肢」ではなくなるはずだ。

レブル250にはレブル250の良さがある。そしてGV250Xには、あえてこちらを積極的に選びたくなる理由が、ちゃんとあるのだ。

ライディングポジション&足着き性(175cm/65kg)

シート高は740mm。レブル250の690mmほどがっつり低いわけではないが、乗車1Gでリヤのサスペンションがほどよく沈み込むので、足着き性はご覧のとおり優秀である。乗車姿勢はかなり個性的で、ほとんどの荷重がお尻を通じてシートに掛かる。ギャップ通過時に抜重しにくいこともあり、腰痛持ちの人は購入前にポジションのチェックをお勧めする。

ディテール解説

左がGV250Xロードスター、右がGV250S-EVO Supremeのエンジンだ。前者はヒョースンの頭文字「H」をあしらったシリンダーヘッドカバーを採用するなど、外観からして大きく異なることが分かる。GV250Xのエキパイはエンジン左側にレイアウトされ、前後シリンダーからの管長が等しくなるように設計されている。クランクケース前方に置かれたチャンバーを経由したあと、車体左右にあるサイレンサーへと導かれる。
後輪駆動はローメンテナンスなベルトドライブ。静粛性に優れるのもポイントだ。
トップブリッジの上にブラケットをラバーマウントし、そこからハンドルブレースを立ち上げるという凝った作りのコックピット。ミラーはバーエンドタイプだ。イグニッションキーはタンク前方にレイアウトされる。
指針式の回転計とLCDパネルを組み合わせたコンパクトなメーターパネル。レッドゾーンはGV125Xの1万400rpm以上に対し、250は9750rpm以上とされる。速度、ギヤポジション、バーグラフ式の燃料残量計と水温計を常時表示するほか、積算計/距離計A/距離計B/時計を切り替え表示としている。LCDのバックライトは4段階に照度調整が可能だ。
GV125Xとは異なるスイッチボックスを採用しており、ハザードスイッチは125の左側に対し、250は右側にある。TCS(トラクションコントロール)は長押しによってオフにすることが可能だ。グリップラバーはヒョースンのオリジナル。
ダイヤモンド柄とカラーステッチが印象的なシート表皮。ウレタンは非常にソフトだ。
ライダーシートはキーロックを解除することで取り外すことができる。バッテリーへのアクセスが容易だ。
ボディと同色のリムを採用したヘッドライト。中段にDRLをレイアウトする。照射範囲が広く、夜間走行でも安心感が高い。
灯火類はオールLED。テールランプはリヤフェンダーの先端に沿ったデザインとされる。
タンクカバーの右側前方にUSBソケット(Type-A)を装備。
プッシュ格納式のアルミ製タンデムステップ。実にスマートだ。その下方に見えるマフラーのヒートガードは熱くなるのでご注意を。

ヒョースン・GV250Xロードスター 主要諸元

●エンジン
エンジン形式 水冷4ストローク60°Vツイン
バルブ方式 SOHC 8バルブ
総排気量 248.4cc
ボア×ストローク 58.0mm×47.0mm
圧縮比 11.2:1
最高出力 18.8kW(25.6PS)@9,500rpm
最大トルク 20.0Nm(2.04kgf.m)@7,000rpm
燃料供給方式 フューエルインジェクション
始動方式 エレクトリックスターター
潤滑方式 ウエットサンプ
エンジンオイル容量 1.4リットル
使用燃料 レギュラーガソリン

●トランスミッション
クラッチ形式 湿式多板
トランスミッション形式 6段リターン
ファイナルドライブ ベルト
1次 / 2次減速比 2.96 / 3.30
ギアレシオ 2.461 / 1.555 / 1.190 / 1.000 / 0.875 / 0.769

●シャシー
フレーム形式 クレードル
キャスター / トレール 28° / 114mm
サスペンション フロント テレスコピック(φ41mm倒立フォーク)
サスペンション リア スイングアーム(ツインショック)
ブレーキ フロント φ270mmシングルディスク / 対向4POTキャリパー(ABS)
ブレーキ リア φ250mmシングルディスク / 対向2POTキャリパー(ABS)
タイヤサイズ フロント 120/80-16
タイヤサイズ リア 150/80-15
ホイールサイズ フロント J16×MT2.75
ホイールサイズ リア J15×MT3.50

●寸法・重量
全長×全幅×全高 2,130mm×770mm×1,080mm
ホイールベース 1,460mm
最低地上高 125mm
シート高 740mm
車両重量 180kg
燃料タンク容量 14L
乗車定員 2名

●カラー・価格
ボディカラー ナイトブラック、アイアングレー
メーカー希望小売価格 731,500円 (消費税抜665,000円)