ヒミツは “アンダーボーン型フレーム”
乗り降りのしやすさを大切にして開発された車体のフレーム構造が「アンダーボーン型フレーム」だ。車体の真ん中に背骨のように通された丸パイプがそれで、カブはその直下に横型エンジンを吊り下げるレイアウトを採用している。上方にスペースができるゆえ乗降がしやすく、レッグシールドの形状ともマッチするので防風効果も高められる。
初代C100の開発時には、幅広いユーザーが気軽に使えることが重視された。重い荷物を積んだり、頻繁に乗り降りしたりする用途も見据えると、フレームは高い位置にあるより、低く通っていたほうがいい。そこで車体中央のまたぎ空間を大きく確保し、その下に横型エンジンを収める構成がとられた。
誰でも乗りやすく、何度でも乗り降りしやすいバイクを突き詰めた結果、この独特な骨格になったというわけだ。

コレがカブの“背骨”。車体中央を低く通るアンダーボーン型フレームの下にエンジンを配置することで、上側に大きなまたぎ空間を確保している。

アンダーボーン型フレームの下に横型エンジンを収め、前後には17インチホイールを組み合わせる。カブらしい“基本骨格”がひと目で分かるイラストだ。
17インチは “なんとなく” 決めたサイズじゃない!
そんな骨格に組み合わされたのが「17インチホイール」なのだが、スーパーカブがデビューする1950年代の少し前は19インチや24インチタイヤが主流。そこに割って入ったのが、エンジニア主導でその利点が強く打ち出された17インチだった。
初代C100の開発では、乗り降りのしやすさや足つきに加えて、悪路での走破性も考慮された。そこで選ばれたのが17インチ。大きすぎれば車体が高くなり、小さすぎれば段差や荒れた路面で不利になる。そのバランスを探った末のサイズだった。
しかも、当時は必要なサイズが国内で一般的ではなかったため、専用タイヤまで用意された。ホンダ創業者の本田宗一郎は「無いものは作ればいい」とは言うものの、タイヤサイズまで新たに用意してしまったのだから、その情熱と信念たるや驚きだ。

スーパーカブ伝統の17インチホイール。乗降性や足つきだけでなく、段差や荒れた路面での扱いやすさまで考えて選ばれたサイズ。
“乗りやすい” を突き詰めたら、この組み合わせになった
スーパーカブは一貫して前後17インチホイールを基本としてきた。操安性や乗降性において17インチがベストという思想ゆえだ。そして、スーパーカブが作るライディングポジションは至ってナチュラル。手、足、お尻の3点を結ぶ三角形が整っているからだ。

スーパーカブ110(赤)とスーパーカブ90(緑)のライディングポジション比較。シート位置などに差はあるものの、手・お尻・足を結ぶ基本的な三角形はよく似ている。世代が変わっても“自然に乗れるカブらしさ”は受け継がれている。
この図を見ると、車体が新しくなっても、ライダーを無理のない姿勢で座らせる基本的な考え方は大きく変えていないことが分かる。乗った瞬間から「カブらしい」と感じられるのは、こうした積み重ねがあるからなのだろう。
またぎやすいアンダーボーン型フレームに、乗り心地や走破性まで考えた17インチ。そして自然なライディングポジション。乗りやすさを突き詰めたら、この組み合わせがやっぱり良かったのだ。
※この記事は月刊モトチャンプ2025年8月号を基に加筆修正を行っています
【モトチャンプ編集部】