チェイサー顔に2JZ+T88で武装!

DIYで鍛え上げた600馬力のドリフトマシン

北海道の新千歳モーターランドやオートスポーツランドスナガワを舞台に、20年以上にわたってドリフトを楽しみ続けている上杉さん。その相棒となるJZX81クレスタは、フルノーマルから幾度もの仕様変更を重ね、現在では2JZ-GTE+T88タービンによる600ps級のパワーと、徹底的に作り込まれた足まわりを備える本格的なドリフトマシンへと進化している。

上杉さんは本業でトレーラーのボディ製作に携わっているだけに、溶接や塗装はお手のもの。札幌市のS-STYLE MOTOR WORXの作業場を借りることもあるが、クレスタの大半は自らの手で製作してきた。

リヤフェンダーは鉄板を溶接して拡幅し、フロントにはBIGWIN製フェンダーをベースにオーバーフェンダーを追加。さらに、自作の50mm延長フロントロワアームや調整式リヤロワアームなど、“無いものは作る”というプライベーター精神が随所に息づいている。

特徴的なフロントマスクは、グリルとヘッドライトをチェイサー用へスワップしたもの。フロントバンパーやフェンダー、サイドスカートにはBIGWIN製を投入し、ヒッポースリークのリヤバンパーとダイアナのドアパネルも組み合わせる。

ボディカラーにはMZ11ソアラ純正のホリゾンタルトーニングを採用。実際には存在しなかった組み合わせながら、どこか当時物らしさを感じさせる独特のスタイルを完成させた。

パワーユニットも、長い年月の中で進化を繰り返してきた。当初はブーストアップ+強化ATだったが、その後、1JZのヘッドと2JZの腰下を組み合わせた1.5JZへ換装。同時にOS技研のクロスギヤを組み込んだR154型5速MTとT88タービンを投入したものの、エンジンとミッションのブローを経験し、現在は2JZ-GTE+R154という組み合わせに落ち着いている。

ターボは長年愛用しているトラストT88で、ジャタニインダストリーズ製スチールエキマニを介してマウント。HKSウエストゲートやHPIインタークーラーを組み合わせ、パイピングも独自に製作した。トラスト製サージタンクにはインフィニティQ45用スロットルを組み合わせ、点火系にはアウディR8用コイルを流用したダイレクトイグニッションを導入。「バイクのような吹け上がり」に変化したというレスポンスを獲得している。

制御はF-CON Vプロを使用し、ドリフトマシンのセットアップを得意とするジャタニインダストリーズが担当。最高出力は600ps級を見据えた仕様だ。

走りと整備性を最優先するため、エアコンとヒーターは撤去する一方、ドリフトに欠かせないパワステは残した。バルクヘッドにも接点を持たせたオリジナルのタワーバーも上杉さん自身の作品で、ステンレスパイプの曲げから脱着時の作業性まで考えて設計されている。エンジンルームには、華美なショーカーとは異なる、走るために磨き上げられた機能美が漂う。

足まわりも、既製品を組み合わせただけではない。自作の50mm延長フロントロワアームを軸に、60mmロールセンターアダプター、ショートナックル、逃げ加工を施したテンションロッドなどを投入。リヤにも純正加工の自作調整式ロワアームを組み込み、実走と仕様変更を繰り返しながら、切れ角やアライメントの自由度、タイヤの接地感を追求してきた。

ホイールは18インチのリーガマスターで、フロント9.5J+18、リヤ10.5J+18。タイヤはフロントにナンカンNS-2Rの225/35R18、リヤにMAXTREK MAXIMUS M1の235/40R18をセットする。

ブレーキも抜かりなく、フロントはBCNR33純正ブレンボキャリパーとBIOT製2ピースローター、リヤにはBNR32キャリパーとJZX100用ローターを流用して、ストッピングパワーを高めている。

コクピットは、操作性と車両コンディションの把握を重視した実戦的な仕上がりだ。ステアリングは、上杉さんが最も扱いやすいという33φのディープコーン。ステアリングコラムにはデフィのタコメーターとトラストのブーストメーターを配置し、センターパネル上部には水温、油温、油圧を確認する3連メーターをセットする。

さらにセンターコンソールには自作のスイッチパネルを設置。ブーストコントローラーをはじめ、各種電動ファンや燃料ポンプの作動スイッチ、12Vアクセサリーソケット、電圧計、エンジンスターターのプッシュボタンまでを集約する。配線も上杉さん自身が手掛け、助手席前にはセッティング作業を行いやすいよう、冷却ファンとともにF-CON Vプロをマウントした。

室内にはブリッドのフルバケットシートを2脚装着し、リヤシートや内装は撤去。ジャタニインダストリーズがワンオフ製作したロールケージを前後に張り巡らせ、前席後方のフロアには左右をつなぐバーを溶接。ドア周辺のスポット増しやリヤメンバーのリジッド化、溶接補強も施すことで、ドリフト時のレスポンスと接地感を高めている。

そして、リヤビューで強烈な個性を放つのが、バイク用として知られるスーパートラップを出口に使ったツインエキゾーストだ。「どうしてもラッパ形状にしたかった」という上杉さんの希望を受け、左右それぞれ独立した配管をジャタニインダストリーズがワンオフ製作している。

「スプリングレートとかもそうですけど、走ってみてここがこうだから今度はこうしよう……と手を動かしてみて、また走ってどう変わったかを感じてという繰り返しを自分なりに楽しんでいます。10代の頃にバイト先の先輩と毎日のように走りに行っていた時と、やっていることはずっと変わらないですね(笑)」。

エンジンにしろ足まわりにしろ、同じベースで走り続けているからこそ、変化の度合いも感じやすいと語る上杉さん。次なる構想は海外製のドグミッションの投入とのことで、相棒のさらなる進化に向けて期待に胸を膨らませている。

PHOTO:Akio HIRANO/TEXT:Hideo KOBAYASHI

●取材協力:S-STYLE MOTOR WORX 北海道札幌市東区伏古10条3-3-9 TEL:011-299-5556

「少年時代の憧れを超えて!」ダルマセリカを527馬力まで育て上げたカーガイの執念

高校生の頃、72年式カマロを欲しがった少年が父親に与えられたのは、74年式のセリカだった。それから半世紀近く、セリカを弄り続けてきたケリー・ミラー。現在の愛車は1JZ-GTEを搭載し527psを発揮。少年時代の憧れを遥かに超えるプロストリートへと進化している。

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