エアコンの消費電力が加わって電費が悪化する夏場の航続性能は?

都内某所、モーターファン別冊のロケに参加した際に撮影

全長3.6mと軽自動車とさほど変わらないサイズ感のフィアット500e。電気自動車(EV)の生命線といえるスペックを紹介すれば、バッテリー総電力量は42kWh、一充電走行距離は335kmとなっている。

とはいえ、常にカタログスペック通りに走れるわけではない。エンジン車での燃費スペックも同様だが、一充電走行距離を計測するWLTCモードでは空調を使わないからだ。

前回の自腹レポートにおいて、空調を使わず走ったときの電費は10.4~11.8km/kWhといったリアルな値を紹介した。このくらいの電費で走っていれば満充電で300kmは可能だが、『エアコンを使う夏場の電費表示は7km/kWh前後というのがオーナーとしての肌感覚』と記したように、夏場の航続性能はカタログスペックからはだいぶ落ちる。

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そこで、エアコンが高負荷でフル稼働するであろう8月後半において、現状のフィアット500eがどの程度の航続性能を有しているのか、確認してみることにした。

手法は単純。普通充電で100%まで充電した状態から、いつも通りに使用して、20%を切るまで充電せずに走ってみるというものだ。「なんだ、普通の使い方じゃないか」と感じられるかもしれないが、リチウムイオンバッテリーを労わって充電率30~80%の範囲で使うようにしている筆者からすると、100%まで充電すること、20%以下まで使うことは、まさに”実験”という気分なのだ。

ちなみに、ディスプレイが表示するエアコンの消費電力は1~2kW。この消費電力は走っていても、止まっていてもさほど変わらないので、低速走行になるほどエアコンの負荷による電費悪化につながる(航続性能への影響が大きい)ということになる。

設定温度23℃でエアコン(冷房)を利用しているときの消費電力をディスプレイで確認できる

100%充電状態から209km走って16%まで減った

8月半ばの某日、久しぶりに100%充電。この段階でのオドメーターは7162km

というわけで、8月半ば自宅の普通充電にて100%まで充電した。この段階でメーターに表示される航続可能距離は260km、オドメーターは7162kmとなっている。

ここから、いつも通りに使ってバッテリー充電率が20%を切るまで走ってみることにした。筆者の使い方は、普段は買い物などの近距離ユースがメインで、取材などがあればロケ先まで向かうこともある、といったもの。今回の期間においても、スーパーマーケットやレストランへの足として使ったり、『モーターファン別冊 EVのすべて』の取材に参加するため都内にある定番の撮影スポットに向かったりといった使い方だった。

屋根を開け、窓も全開にすると気持ちがいい

普段通りの乗り方ということで、ドライブモードは「RANGE」を選んだ。これは停止までカバーするワンペダル走行が可能になるモードで、アクセルペダルだけで発進から停止までがカバーできるので、慣れれば非常に乗りやすく、個人的には愛用している。

日常的という意味では、夏場であっても朝晩の気温が高くない時間帯においてはオープンドライブを楽しむこともある。今回においても、短時間ではあるが空調を使わずに、屋根を開けて走ったこともあった。

厳密にエアコン(冷房)の影響を見るというよりは、自分らしい乗り方で夏場の航続性能はどのくらいなのか確認してみようという好奇心が先に立った走らせ方であったことは、ご承知おきいただきたい。

結論をいえば、バッテリー充電率が20%を切ったのは、100%充電にしてから12日後。メーターに表示された数字を記せば、充電率16%、航続可能距離35km、オドメーター7371kmだった。

年間6000kmを超えるペースでの実験結果

12日後のメーター表示

つまり12日間での走行距離は209km。その間に、充電率84%ぶんの電力を使ったことになる。航続可能距離は、100%の時点では260kmだったが、16%の段階では35kmと225kmも減っている。

オドメーターが増えた距離よりも航続可能距離表示の減りが大きいが、これは航続可能距離が直前の乗り方を参考に計算している関係もある。上に示したメーター表示で外気温が36℃となっているのが確認できる。この日はエアコンの負荷が大きめの状態が続いていたことで、航続可能距離が短くなっていたのだろう。

まとめると、エアコンの負荷が大きめの猛暑下においても満充電であれば200kmを走るだけのポテンシャルはある。休日のドライブでいえば、100km圏内であれば経路充電をせずとも往復できるという計算が成り立つ。

ちなみに、12日間で209kmという数字を聞くと「全然、走っていないから参考にならない」と感じるかもしれないが、単純計算すると年間6350kmを走るペースである。平均的なドライバーの年間走行距離は5000~7000kmの範囲に収まるというから、まさに”平均的”な使い方であれば、フィアット500eのような小さなEVであっても、これ一台でカーライフをカバーできるギリギリのラインに乗っている……といえそうだ。

普通充電につないだ状態のフィアット500e