Q. 夏は普通だったのに、涼しくなったらセルの回りが弱い気がする。これってバッテリー?

投稿者:千葉県/セル一発希望さん

結論から言うと、今のタイミングで一度見ておくのは大アリ。というのも、バッテリーにとって夏の暑さはけっこう厳しい環境だったからだ。

鉛バッテリーは内部の化学反応によって電気を蓄えたり取り出したりしている。夏は高温によって化学反応が活発になり、自己放電や劣化が進みやすい。逆に気温が低くなると化学反応が鈍くなり、性能が低下して始動トラブルが増える。つまり「寒くなったから急に壊れた」というより、暑い時期に進んでいた弱りが、気温が下がってきたところで表に出るケースがあるわけだ。

また日中は暑くても、朝イチの気温は少しずつ下がってくる季節。そんなときセルを押して「ん? いつもより元気ない?」と感じたら、夏越えバッテリーからのサインかもしれません。

セルが回っていても安心しない。“いつもとの違い”を感じよう

バッテリーは、ある日突然セルが完全に回らなくなるとは限らない。寿命が近づいた際の症状として、セルモーターの回転力が弱くなる、エンジンがかかりにくくなる、ホーンの音が小さくなるといった変化が起きる。

バイク用バッテリーは、クルマ用に比べて本体が小さく容量も少ないぶん、始動時の負担や放置時の影響を受けやすいんだ。さらに週末だけ乗る、短距離ばかり走るといった使い方では、十分に充電されないまま使い続けることに。そのため寿命は使用環境で大きく変わるけれど、2〜3年あたりがひとつの目安になる。

ここで「まだセルが回るからOK」と決めつけないのがポイント。毎朝同じバイクに乗っていれば、セルの音や回転速度はなんとなく身体が覚えているもの。「前より一発でかかりにくい」「セルの音が重い」くらいでも、気になったら一度状態を見ておきたい。

そして最近のスクーターでは、キックペダルを備えないモデルも多い。バッテリーが弱って始動できなくなれば、“とりあえずキックで……”という手が使えない車種もあるだけに、セル始動のみの車両ほど日頃の状態確認は大切です。

ミッション車は押し掛けという手があるが、セルしか始動手段がない近年のスクーターは、バッテリーの状態がより重要になる。画像はキックペダルのないヤマハBW’S125。

バッテリーの場所も、一度くらいは知っておきたい。スクーターではシート下など、普段まったく見えない場所に収まっている車種もある。

スクーターではシート下の前後どちらかにバッテリーを搭載するタイプが多い。まずは愛車のバッテリーがどこにあるのか確認してみよう。画像はヤマハBW’S125。

ミッション車ならシート下やサイドカバー内などに収まるケースも多い。場所が分かったら、端子の緩みや腐食など目で確認できるところもチェック。端子の緩みによる接触不良はバッテリー上がりの原因のひとつだ。

ミッション車ではシート下やサイドカバー内に収まっていることも。端子周辺の緩みや腐食もチェックしておきたい。画像はヤマハ・ブロンコ。

秋から乗る回数が減る人は“補充電”も考えてみよう

もうひとつ秋から気にしたいのが、「乗る頻度」。猛暑が落ち着いてツーリングには最高の季節だけど、いっぽうで日が短くなったり、天候が安定しなかったりして、週末ライダーなら気付けば数週間乗っていないこともある。

バッテリーは使っていなくても自己放電するし、車両側の時計やコンピューター、セキュリティーなどによって少しずつ電気を消費する。補充電しておけば、「久しぶりに乗ろうと思ったら上がっていた」を防ぎやすい。

こちらは筆者が愛用しているバッテリー充電器。年季は入っているけれど、たまにしか乗らない車両の補充電では今でも活躍中。

ただし、補充電すれば寿命まで元通りになるわけではない。一度上がったバッテリーは、充電して再使用できるケースもあるものの、以前の性能まで戻らない場合がある。GSユアサでは、2年以上使ったバッテリーが上がった場合は交換を推奨している。

参考アイテム:SP武川 バッテリーチャージャー&メンテナー(OptiMATE1 DUO+)

「自分でも補充電してみたい」という人に使いやすいのが、SP武川が扱う「OptiMATE1 DUO+」(9900円)。6V/12Vの鉛バッテリーと12.8V/13.2Vのリン酸鉄リチウムバッテリーに対応し、接続したバッテリーを自動判別して充電してくれる。出力は0.6Aで、小排気量〜中型バイク向けだ。メーカー公式サイトはこちら

便利なのは、充電が終わったあともそのまま接続してバッテリーのコンディションを維持できること。防水タイプの車体側ケーブルとワニ口クリップケーブルが付属するので、車体側ケーブルをあらかじめ取り付けておけば、次からはカプラーをつなぐだけ。毎回バッテリー端子を出すのが面倒な車種では、これがかなりありがたい。

朝晩が少し涼しくなったくらいで、「もう冬のバッテリー対策?」と身構える必要はない。でも夏の暑さを越えた今だからこそ、一度セルの回り方や使用年数を思い出してみる。秋のツーリングシーズンを気持ちよく走るための、ちょっとした“夏越えチェック”くらいに考えるのがちょうどいいかもしれません。

POINT

・夏の高温でもバッテリーは負担を受ける
・セルの回り方や始動性など“いつもとの違い”をチェック
・キックペダル非装備車はバッテリー上がりに要注意

※バッテリーの種類、搭載位置、点検・充電方法は車種によって異なります。車両、バッテリー、充電器それぞれの取扱説明書を確認してください。

【モトチャンプ編集部】