新車は「完成品」ではなく、自分仕様に仕立てる素材
新車選びでは、装備の充実した上級グレードに目が向きやすい。大画面ディスプレイや上質なオーディオ、ドライブレコーダー、専用ホイールなどが最初から揃っていれば安心感はあるが、そのすべてが自分に必要とは限らない。使わない機能まで含めて高価なグレードを選ぶより、必要十分なベース車を選び、納車後に使い方や好みに合った用品を加えていく。そんな「愛車ビスポーク」という買い方はどうだろう。
ビスポークとは、本来、服や靴を使う人に合わせて仕立てること。クルマもメーカーが用意した完成形をそのまま受け入れるのではなく、必要な機能やデザイン、予算、導入時期を自分で選び、1台ずつ仕立てていけばいい。市販用品の魅力は、純正オプションより価格を抑えられることだけではない。画面サイズや音の方向性、ドラレコの撮影範囲、レーダー探知機の情報機能、タイヤやホイールのデザインまで、多彩な選択肢から自分に合ったものを選べる。技術の進化に合わせて交換しやすく、次の愛車へ移設できる装備もある。
ただし、すべてを後付けできるわけではない。ADASをはじめとする運転支援機能、パノラミックビューモニターや駐車支援用カメラ、ヘッドアップディスプレイなどは、後付けが難しいか、事実上不可能な場合が多い。車両設定や空調、警告表示をディスプレイで操作する車種では、純正画面そのものがクルマの一部になっている。まずは「後から変えられない装備」を見極め、本当に必要なものを備えたグレードを選ぶことが第一歩だ。
お勧めしたいのは、単に最廉価グレードを買うことではない。安全装備や日常の使い勝手を犠牲にせず、後から追加できるものまで最初から抱え込まない、「余白のあるグレード」を選ぶこと。後付けできない部分は純正で押さえ、ディスプレイやナビ、オーディオ、ドラレコ、レーダー探知機、タイヤ&ホイールなどは市販品も含めて検討する。そうすれば予算を本当に欲しい部分へ集中でき、性能やデザインにこだわる余地も生まれる。
新車は、納車された瞬間に完成していなくてもいい。必要な骨格を選び、乗り始めてから画面を整え、音を磨き、安心装備を加え、足元を自分らしく仕立てていく。実はこの考え方は、中古車選びでも通用する。クルマは買って終わりではなく、買ってからがお楽しみの始まりなのだ。



ディーラーで後から購入やアップグレードという新たな選択!
安全装備や快適機能、走りの性能まで、あとから純正メニューで追加できる時代が始まっている。オプション装備の後から追加もそのひとつだが、時代進化やユーザーの要望に併せて進化させるメニューも用意され始めている。アップグレードは、乗りながら進化させるビスポークのひとつの選択肢として登場している。
欲しいクルマを選んだとしても、乗っているうちに「ちょっとここを何とかしたい」とか、騒音が気になると感じることもある。当然、距離を走ればクルマは劣化してくるものでもあるし、機能は年々進化してくるが新たな機能はクルマ自体を買い換えなければ付与されないのが当然だった。そんな悩みに対して、いま新しい答えが生まれている。購入したクルマに、必要になった機能や性能を後から加える「アップグレード」だ。
その代表が「トヨタアップグレードファクトリー/レクサスアップグレードファクトリー」というサービスだ。従来は新車注文時にしか選べなかった純正オプションの後付けに加え、経年劣化した部品の交換、ソフトウェアによる性能や使い勝手の向上までを正規販売店で施工する。商品は車台番号から適合を確認でき、オンラインで申し込み、部品代、施工費、保証を含む価格で依頼できるのも特徴だ。
内容を見ると、純正アクセサリーを車購入後に装備できたり、30系アルファード/ヴェルファイアでは、ソフトウェアの書き換えによりパワースライドドアの開閉時間を短縮するメニューも用意される。これは、雨の日にもう少し早く作動してくれたら、などのユーザーの要望を反映させたものだ。
スバルの純正アップグレードのスバル・アクティブダンパーeチューンは、ZF製電子制御サスペンションのソフトウエアをアップデートし、コンフォートとスポーツ+の特性をより特化させるもの。また、レヴォーグの静粛性を吸音材や制振材で高めるパッケージ、サスペンション部品や締結状態を見直して操縦感覚を磨くメニュー、旧型レヴォーグやWRX S4のステアリングとシフトノブをウルトラスエード化する提案もある。


