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今日は何の日?

■超低排ガスを達成したディーゼルNOx触媒システムを開発

米国Tire II Bin5に適合した新ディーゼルを搭載した試験車

2006年(平成18)年9月26日、ホンダは画期的な新開発NOx触媒を利用した新開発のディーゼルエンジンを開発したことを発表した。このエンジンを搭載したディーゼル車は、ガソリン車と同等のNOx排出レベルが求められる、米国の排出ガス規制「Tier II Bin5(ティア・ツー・ビン・ファイブ)」に適合できる排ガスレベルを達成したとされた。

ディーゼルエンジンの排ガス低減が難しい理由

ホンダ新開発の尿素SCR触媒

ディーゼルエンジンの燃焼はガソリンと異なり、希薄(リーン)燃焼である。ガソリンエンジンの場合、三元触媒を使って理論空燃比に設定すれば、NOxとCO、THCを同時に90%超の浄化効率で低減できるので、比較的容易に排ガス規制をクリアできる。

一方、ディーゼルエンジンは希薄燃焼なので、理論空燃比で効果を発揮する三元触媒を使えない。COとTHCは酸化触媒で、またディーゼル特有のPM(微粒子状物質)はDPF(ディーゼル・パテキュレート・フィルター)で低減できるが、課題はNOxである。

NOx低減には、希薄燃焼化で効果を発揮する特別なNOx低減触媒が必要なのだ。NOx低減触媒には、代表的なものとしてNOx吸蔵触媒と、今回ホンダが開発した尿素SCR(選択還元)触媒の2種がある。

高精度な制御が必要で燃費悪化を伴うNOx吸蔵触媒

一つ目のNOx吸蔵触媒では、まず排出されたNOをNO₂に酸化して触媒の吸蔵材に吸蔵する。十分に吸蔵した時点でリッチスパイク(定期的にリッチ燃焼にするために燃料を噴射)を行ないHC、CO、H2を供給する。これらが還元剤となり、吸蔵したNO₂をN₂に還元するという手法です。

NOx吸蔵触媒を使った排ガス低減システム

NOx吸蔵触媒の課題は、制御の複雑さに加えて定期的なリッチスパイクによる燃費(CO₂)の悪化を招いてしまうこと、また尿素SCR触媒に比べるとNOx浄化効率がやや劣ることである。

尿素SCR触媒システムを使った排ガス低減システム

NOx吸蔵触媒を採用した後処理システムは、一般的には上流から酸化触媒、DPF、そして最下流にNOx吸蔵触媒が配置されるレイアウトが採用される。

尿素の定期的な供給が必要でコスト高になる尿素SCR触媒

尿素SCR触媒のNOx低減メカニズム

二つ目の尿素SCRシステムは、尿素を高温の排気ガス中に噴射し加水分解によってアンモニアを生成し、アンモニアを還元剤として、NOxをN₂に還元する手法である。

ホンダが開発したNOx触媒は、排気ガス中のNOxを吸着してアンモニアに転化する層と、触媒内で転化されたアンモニアを吸着して排気ガス中のN₂に浄化する層の2層構造を採用。酸素が多いリーンバーン状態でNOxと反応してN₂に浄化するために有効な物質であるアンモニアを触媒内で発生させることで、NOxを低減する手法である。

ホンダ N22B1(i-DTEC)欧州仕様

尿素SCR触媒は、NOx吸蔵触媒よりも浄化効率は高いが、その課題は定期的に尿素を補給する尿素噴射装置や尿素タンクを装備し、また定期的に尿素の補給が必要など、システムが複雑でコストが高くなることである。ただし、燃料を噴射するNOx吸蔵触媒とは異なり、尿素から生成されるアンモニアを還元剤とするため、燃費(CO₂)が悪化しないというメリットがある。

ホンダは、この尿素SCR触媒を利用した次世代後処理システム(酸化触媒+DPF+尿素SCR触媒)、さらに燃焼室の最適化、噴射圧2000barコモンレール噴射による燃焼制御、大量EGRの高効率化などによって、高出力と超排ガスを両立した画期的なディーゼルエンジンを開発したのだ。

米国Tire II Bin5に適合した新ディーゼルを搭載した試験車

このディーゼルエンジンは、当時最も厳しかった米国「Tire II Bin5」規制に適合するポテンシャルを持つことが確認され、ホンダは2003年の欧州「アコード」に搭載し、3年以内に米国で販売開始する予定であることも言及した。

フォルクスワーゲンの米国におけるディーゼル排ガス不正の発覚

2000年以降、ディーゼル車はハイブリッド車とともにCO₂低減の有望な技術として注目され、世界中のメーカーは厳しいディーゼル排ガス規制をクリアする技術に注力していた。特に市場規模の大きい米国へのディーゼル車の導入を目論んでいたのだ。

ホンダ新開発の尿素SCR触媒

当時、ホンダが米国Tire II Bin5規制をクリアするエンジンを開発したというニュースは、大きな注目を集めた。ただし、ホンダはこの米国へのディーゼル車の導入計画を実行することはなかった。

一方で、2015年9月にフォルクスワーゲンが米国へ導入したディーゼル車の排ガス不正が発覚した。2008年から米国で販売されたディーゼル車が、排ガス認証試験のためだけに排ガスが低減するようにする“デフィートデバイス”という不正ソフトを使い、実走行では排ガスシステムが機能しないようにして、走りや燃費が悪化しないようにしていたのだ。

それだけ、米国のディーゼル排ガス規制が厳しかったということだが、これを機に当時欧州でシェアが高かったディーゼル車人気も停滞するようになってしまった。

米国Tire II Bin5に適合した新ディーゼルを搭載した試験車

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ディーゼルエンジンは、その燃焼機構の違いからガソリンエンジンよりも、一般的に燃費が10~20%程度優れていることから、2000年代にはハイブリッドの対抗馬と位置付けられた。しかし、ディーゼルエンジンは特有の有害排ガス(NOx、PM)を低減する後処理技術による高コストが避けられない。ガソリン車やハイブリッド車の低コスト化が進む中、ディーゼル車の排ガス低減のためのコストアップは許容できず、現在は世界中の乗用車ディーゼル車のシェアは右肩下がりとなっている。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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