bond NAGOYA
BMW M4 Competition LCI(G82)
空力のプロが仕上げたデザイン

エアロダイナミック・デベロップメント・レース・オプティマイゼーションの頭文字を取ってadro(エイドロ)という。「レーシングカーに最適な空力性能」を求めるがゆえの機能部品という姿カタチは、いかにも大胆で、目を凝らせば緻密で高品質だとわかる。
ヴィジョン・メルセデス・マイバッハ6やCLSなどのデザインを手掛け、近年ではヒョンデ・アイオニック5も手がけたデイビス・リー氏がデザインし、ウイリアムズF1チームの開発に携わったほか、ワールド・タイムアタック・チャレンジではレギュレーションづくりから関わった空力の名手、スコット・ビートン氏が理論を持ち込み融合させる。CEOを務めるショーン・ユン氏は、航空宇宙工学の学士号と、レーシングカー空力学の修士号を取得した生粋のエンジニアだ。
彼らの手腕によってM4コンペティションLCIは、スーパースポーツカーの領域へと豹変した。BMWの象徴であるキドニーグリルを上下に狭めて、前方へと突出させるスタイルがエイドロ流だ。レーシングカーのように勇ましい顔つきから流れるようにサイドへ、そしてリヤへと続く。後ろ姿はさらに、強大なダウンフォースを発生させるというリヤウイングが目を引く。ディフューザーもまた、いかにも整流効果が高そうだ。
光るボンド名古屋のセンス



まさにエイドロの魅力を存分に味わえるコーディネートながら、しかしこれはエイドロに頼り切って完結させたものではない。オーナー氏の主義主張を汲み取りながら、百戦錬磨のボンド名古屋が独特の世界観を構築した結果である。
BMWインディヴィジュアルを駆使したフローズンディープグレイメタリックのボディカラーに合わせて、エイドロのボディパーツ群はマットブラック&カーボンへ。純正のカーボンルーフやフェンダーベント、ミラーカバーなどもマット化を図る。さらにモールやエンブレム類も黒く落とし込むなど、色味を統一させた。
一歩抜き出たオーラを放つ仕上がり


極めつけはその足もとにある。持ち込んだのはHREの顔ともいえるS200だ。複雑なツインスポークを持つディスクの表情が、いかにもHREらしい、精緻な切削鍛造の美を感じさせる。前後とも20インチの通しとして、これもフィニッシュはボディ側の色味と統一させるため、ブラッシュドダーククリアのディスク、ポリッシュドダーククリアのリムとした。同系色ながらも、リムだけポリッシュ化させることで、宝石のようにキラリと浮かび上がる様子につい惚れ込んでしまう。奥に潜むMキャリパーもまたボディ同色に改めた。
その統一感はエンジンルームの隅々にまで及ぶ。敷き詰められたカーボンヘッドカバーやタワーバーなど、すべてイヴェンチュリによるもの。その上で彼らの看板であるカーボンインテークシステムを収め、それに見合う排気系はアクラポヴィッチ製エキゾーストシステムと、世界最高峰の吸排気システムを構築した。
それはスーパースポーツ級のオーラに見合う性能を、究極的に追い求めたがゆえの回答だ。あらゆるカーカルチャーをどん欲に吸収し、唯我独尊の世界と、ライバルから一歩抜き出た性能へと導くボンド名古屋らしい。こうしたビルダーがいるからこそ、エイドロの魅力はより際立つ。刹那的な流行り廃りにアンテナを張らざるを得ない現代へのアンチテーゼという意味で、このM4はステルス戦闘機のような存在なのかもしれない。

REPORT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)
PHOTO/中島仁菜(Nina NAKAJIMA)
MAGAZINE/GENROQ 2026年11月号
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ボンドグループ
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