薄暮時間帯は視界が急激に悪化する

警察庁が公開している2021年〜2025年の過去5年間の交通事故統計によれば、日没前後1時間の薄暮時間帯には、死亡事故をはじめとする深刻な交通事故が集中して発生する傾向にある。
また、同統計のデータにおいても、10月から12月にかけての秋から冬の時期は日の入り時刻(日の入り前後1時間)と重なる17時台から19時台において死亡事故が多く発生していると示されている。
一年の中でもとくに秋口から冬にかけては日没時刻が早まるため、夕方の帰宅ラッシュといった交通量が多い時間帯と薄暗くなるタイミングが重なりやすくなって周囲の光量が急速に低下するため、ドライバーの目が暗さに慣れるまでに一定の時間を要することは言うまでもない。
その結果、道路を横断している歩行者や、路肩を走行している自転車の発見が遅れやすくなり、重大な衝突事故を引き起こす大きな要因となっているのだ。

昼間であれば遠くから認識できた歩行者の衣服や自転車の車体が、夕暮れの風景に溶け込んで同化してしまうことも視認性を低下させる理由のひとつである。
くわえて、西日の逆光で前方が見えにくくなったり対向車のライトと重なって歩行者が消えて見える蒸発現象が起きたりと、視界を妨げる悪条件が重なってしまう。
とくに高齢の歩行者が巻き込まれる死亡事故が夕暮れ時に多発しており、ドライバー側がいかに早く危険を察知できるかが事故防止の鍵を握っているといえるだろう。
ドライバーは自分が思っている以上に周囲が見えにくくなっている事実を自覚し、普段よりも速度を落として慎重に周囲の状況を把握したり、見通しの良い直線道路であっても横断歩道のない場所から歩行者が突然渡ってくるかもしれないという危険予測を常に持ち続けたりすることが欠かせない。
早めのライト点灯とハイビームの適切な活用がポイント

薄暮時間帯に潜む交通事故のリスクを防ぐためには、日没前からの早めのライト点灯を心がけることが何よりも重要となる。
周囲が明るいからと点灯を先延ばしにするのではなく、少し早めにヘッドライトを点灯させることで、歩行者側からも接近する車を認識しやすくなる。

また、近年の新型車には周囲の明るさをセンサーで検知して自動的にヘッドライトを点灯させるオートライト機能の装備が義務付けられており、この機能を日頃からオンにしておくことで点灯忘れを防ぎ、適切なタイミングで確実に自車の存在を周囲へアピールすることが可能となるはずだ。
さらに、日没後の暗い道路を走行する際には、対向車や先行車がいない状況であれば積極的にハイビームを活用して遠方の視界を確保することも忘れてはならない。
とくに街灯の少ない郊外の道路などでは、歩行者の発見が遅れやすくなるため、ハイビームの活用がより一層効果を発揮する。
もちろん、対向車とすれ違う際や前方に別の車が走っている場合には、相手の視界を奪わないようにこまめにロービームへ切り替える配慮が必要となるが、自動で切り替えるオートハイビーム機能が搭載されている車であれば、そのシステムを活用して負担を軽減するのもよいだろう。

秋特有の急激な視界変化を事前に予測し、オートライトの早期点灯や速度低減を日頃から心がけた予防運転を徹底することが、夕暮れ時の交通事故を未然に防ぐ確実な手段となる。
ドライバー自身が見落としのリスクを常に意識し、早めの対策と慎重な運転操作を実践して、秋のドライブを安全に楽しもう。