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【初試乗】DS 3 CROSSBACK(DS3クロスバック)は何もかも本気すぎて面食らった|SUVインプレッション

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デザインだけではない! エンジニアリングこそこのクルマの真骨頂

 さていよいよ走り出す。今回の試乗は都内で行われ、8割が一般道、2割が首都高速である。

 アクセルをそっと踏み込んで駐車場から出た瞬間に直観した。「これは、法則を探る必要がないクルマだ」。

 職業がら多くの新型車を運転する機会があるが、走り出し最初の数分、場合によっては一日ほどかけて、そのクルマの「法則」───言わば「クセ」を学ばなければならないケースが少なくない。

「クセ」といっても、いまどき運転に支障をきたすほどのクセがあるクルマなどなく、アクセルの踏みはじめの反応が過敏だから最初だけ緩く踏んだ方がいい、とか、そんな些細な話ではある。

 だが、DS3クロスバックは、たま〜に現れる「運転者がアジャストする必要のない貴重なクルマ」と言っていい。あくまで筆者にとって、ではあるけれど。

直列3気筒ターボは最高出力130psと最大トルク230Nmを発生する。排ガス規制「Euro6.3」にいち早く対応しているのもトピックだ。
トランスミッションはクラス随一のスペックと言える8速ATを採用する。加速性能、燃費性能への貢献度の高さは言うまでもない。

 たとえば走行中にステアリングを切る。筆者が『3』と思ってステアリングを切っても、実際にクルマは「4」も曲がってしまったり、「2」しか曲がってくれないことは珍しい話ではない。

『3』切っても「2」しか曲がってくれないから、今度は2倍の「4」曲がりたいときにステアリングも2倍の『6』切ってみると、今度は「5」も曲がってしまう、なんてことも少なからずある。

 筆者が言いたいのは単にステアリングのギヤ比の話ではなくて、シャシーのつくりやセッティングにも起因するステアリングフィール全体の話である。

 その点、DS3クロスバックは「予想以上にグイグイ曲がる」とか「思ったほど曲がってくれない」ということがない。

 そしてこのステアリングフィールの話はほんの一例であって、2時間という短い試乗ではあったけれど、運転中のさまざまな場面で、DS3クロスバックの身のこなしは「リニア」であり続けた。

 たとえばパワーデリバリー面におけるドライバビリティもそうだ。PSA御謹製の直列3気筒1.2Lターボ「PureTech」エンジンは、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーに4年連続で選ばれたほどの秀作だ。低速から十分なトルクを発生させ、環境性能にも優れている。

 だが、とはいえ「3気筒」の「1.2L」である。必要十分ではあるけれど、我々のような煩型のクルマオタクを黙らせるのはなかなか難しい、はず。

 そこで8速ATである。

 PSA製に限らず、昨今のダウンサイジングターボは実に良くできているが、ほんの一瞬、時間にしたら0.1秒もないのかもしれないが、ごく僅かな息つきのようなものがこれまで隠せなかった。例えばETCレーン通過時のように、アクセルをオフにして停止するかとクルマに思わせておいて、そこからアクセルをグッと踏み込むような場面だ。

 しかし8速ATの採用と、緻密な制御を与えたことで、DS3クロスバックはそうしたネガを感じさせない。Bセグメントに8速ATというのは贅沢……とは確かに筆者も思ったけれど、よく考えればこのクラスだからこそ多段化の恩恵が顕著に表れるのだろう。パワーやトルクに限りがあるからこそ、多段ATで効率よくエンジンのパフォーマンスを引き出す必要があるのだ。

完全新設計されたCMP(Common Modular Platform)を採用。ガソリン、ディーゼル、PHEVなど、さまざまなパワートレインに対応している。

 そして乗り心地である。フランス車はアシがいいとはよく言われるが、スピードレンジが低く、とくに荒れた路面を走ることもなかった今回の試乗では、サスペンションが本格的な仕事をする以前に、堅牢なシャシーとタップリとしたクッションを持つシートのおかげでまろやかな乗り心地が楽しめたのではないか。

 DS3クロスバックは、完全新設計のCMP(コモン・モジュラー・プラットフォーム)を採用している。これはグループPSAの次世代のB〜Cセグメントをすべてカバーし、電動パワートレインにも対応している。つまり、向こう数年のPSAグループの大黒柱となるプラットフォームである。

 前述のリニアなステアリングフィールも、おそらくCMPの恩恵のひとつなのであろう。

 もっとサスペンションがダイナミックに動くような、たとえば高い速度域でコーナリング中にギャップを乗り越えるような場面でDS3クロスバックがどんな振る舞いを見せるのか? 期待はしていいだろう。

 と、ここまで読んでくださった方には少なからず伝わったのではないかと思うが、DS3クロスバックはデザインもさることながら、メカニズム面、テクニカル面において文句なしに「本気」で開発されたモデルなのである。

 これだけ尖った内外装のデザインを引っ提げて現れたものだから、どうしてもそちらに目を奪われてしまうが、それだけではこのクルマの本質を見誤る。

 このレポートだけでは伝わらない部分も多いはず。あとは、とにかく試乗していただくしかないだろう。

DS3 CROSSBACK Grand Chic
全長×全幅×全高:4120×1790×1550mm
ホイールベース:2560mm
トレッド(前/後):1540/1550mm
車両重量:1280kg
エンジン形式:直列3気筒DOHCターボ
排気量:1199cc
圧縮比:10.5
最高出力:96kw〈130ps〉/5500rpm
最大トルク:230Nm/1750rpm
燃料タンク容量:44L
トランスミッション:8速AT
駆動方式:FF
乗車定員:5名
ハンドル位置:右
サスペンション形式(前/後):マクファーソンストラット/トーションビーム
タイヤサイズ:215/55R18
WLTCモード燃費:15.9km/L
車両価格:404万円

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