4回もの仕様変更を経て辿り着いた迫力のスタイル

純正のラインを活かした匠のボディワーク!

愛知県豊川市でボディショップ「A・BASE(エーベース)」を営む伊藤あしるさん。

同店はいわゆる鈑金塗装の専門店だが、特にワンオフのエアロパーツやワイドフェンダーといった“カスタム色”の強い作業を得意としている。その高い技術を求め、唯一無二のクルマ作りを夢見るカスタマーたちが全国各地から訪れるという。

伊藤さん自身も、もともとは自分の100系チェイサーをイジるところから始まった、根っからのクルマ好きだ。ニコイチのエアロ製作から経験を積み、早い段階で外装メイクのセンスを開花させた。

現在の愛車であり、お店の看板車とも言えるのがZ33。「自分が作りたいものを作る」という原点を忘れないためのベースでもあり、現仕様は「大きく分けて4回目くらいかな?(笑)」というほど、何度も手を加えてきた。

テーマは「GTマシンのテイストをストリートカーに落とし込むこと」。

GT500ばかりを意識しすぎると市販車として不自然になるため、GT300のデザインも参考にしながら、前後バンパー、フェンダー、サイドスカート、リヤウイング、ダクト付きボンネットをすべて自らクリエイトしている。

拡幅されたフロントバンパーは、前方のアーチ形状やグリルの開口デザイン、攻撃的なスプリッター形状など、まさにGTマシンを彷彿とさせる仕上がり。だが、ストリートカーとしてのバランスの良さもしっかりと両立している。

後方へと流れるようなラインで造形された前後フェンダーも見どころのひとつ。「できるだけ薄く見せたかった」と伊藤さんが語る通り、ボテッとした印象を避けるため、細部の造形にまで気を配っている。正確な数値は計測していないが、出面はフロントが片側約50〜60mm、リヤが約80〜90mm。右側のリヤフェンダーには給油口にアクセスできるようフラップも設けられている。

左右出しのマフラーはパワークラフト製で、抜けの良さを追求。さらに東名パワード製VQ35DE用ECUを組み合わせ、鋭いレスポンスを獲得している。

リヤハッチ上のウイングは、GTマシンというよりバージョンNISMOのような“市販スペシャル”を参考に造形。ワイドフェンダーやリヤバンパーとの一体感を重視しつつ、存在感のあるフォルムに仕上げた。

ホイールはワークのマイスターS1を装着。サイズはフロントが10J−26×19インチ、リヤが11.5J−59×19インチで、リヤは設定中の最大サイズ。深リムがレーシーさを際立たせている。タイヤはアドバンネオバAD09で、フロント295/30R19、リヤ325/30R19を組み合わせる。

室内には黒く塗装されたクスコ製ロールケージを装備。リヤシートとカーペットを撤去し、露出したフロアには黒系の塗料を軽く吹くなど、スパルタンながらも統一感のあるインテリアを構築。ブリッドのジータⅢシート、ニスモ300km/hスケールメーターも装備する。

顧客からの依頼ではウレタンフォームから作り上げるワンオフ製作が中心だが、このZ33のエアロは完成後に型を取り、フルキットとして販売も行っている。

「ボディを造形するときは、常に純正ラインとのなじみを意識しています。このZで言えば、“エッジは立っているけど違和感がない”というのがポイントですね。自分で作った造形が、クルマの原寸大で見られるのは本当に楽しいし、やり甲斐があります」。

“好き”を仕事に変えた伊藤さん。多忙な日々の中でも、時折自分のZ33に立ち返ることで、「やっぱりクルマ作りは楽しい」と改めて実感しているという。

⚫︎取材協力:A.BASE 愛知県豊川市赤坂町松本264 TEL:0533-88-6900

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