足つきはシート高だけじゃ決まらない!
バイクの足つき性というと、780mmだったり735mmといった、シート高の数字ばかりに目が行きがちだ。しかし実際に跨ってみると、足つきはそんな単純な話ではない。シートスポンジが柔らかければ体重で沈み込み、実際の足つきは良くなる。逆にシート高が低くても、座面が広すぎたり内モモ部分の絞り込みが甘かったりすると足は意外と降ろしにくい。さらにステップボードの形状も重要だ。足を真下へストンと降ろせるのか、それともステップを避けるために足を大きく開かなければならないのかで、信号待ちの安心感は大きく変わる。今回の比較では、そうしたカタログスペックだけでは分からない部分にも注目しながら検証を行った。
実際にシート高760mmのリード125とディオ110でも印象は異なり、780mmのバーグマンストリート125EXも数字ほど身構える必要はなかった。つまり足つき性は、単純な数値だけでは語れないということ。実際に乗り比べてみて初めて見えてくる違いを掘り下げるのもモトチャンプの役目だ。もし気になるモデルがあるなら、ぜひ販売店で実際に跨ってみてほしい。数字では見えてこない“自分に合う一台”が見つかるはずだ。
■ホンダ・リード125

●DATA シート高:760mm/シート長:400mm/シート硬さ:HC36/ステップから地面までの高さ:320mm
数字以上に安心感アリ! お手本のような足つき性
リード125は今回比較した5台の中でも、足つきと安心感のバランスが非常に優秀だった一台だ。シート高760mmという数値だけを見ると特別低いわけではないが、実際に跨るとそれ以上に足つきが良く感じられる。
その理由はシート形状とスポンジの設定にある。座面幅は約310mmと標準的ながら、シートが程よく沈み込むことで内モモが自然に絞られ、足を真下へ降ろしやすい。さらにステップとの干渉も少なく、両足を降ろした際の接地感も良好。リヤ10インチホイールによる低重心設計も相まって、停車時の安心感は高い。
「リードはリヤ10インチで足つきが良い。全体的に日本人の体型に合わせたポジションで設計されている感じで、ストレートに足を降ろせる。気になる不快感がまったくないよね! シートも前後の移動幅があるけど、表皮も滑りにくい素材でブレーキ時にお尻グリップできるのも好感触!(MCシモ)」





ステップから地面までの高さは320mm。ステップ幅は約440mmと広めだが、足を降ろす部分の干渉は少なく自然な姿勢を取りやすい。シート高は760mmで座面幅は約310mm。スポンジが適度に沈み込むため足は真下へ降ろしやすく、接地感も良好だ。シート硬さはHC36で沈み込みとサポート性のバランスが絶妙。シート長は400mmで着座位置の自由度も十分確保されている。
■ヤマハ・ジョグ125

●DATA シート高:735mm/シート長:400mm/シート硬さ:HC31/ステップから地面までの高さ:310mm
低シート高だけじゃない! 足つき最優秀候補
735mmという低いシート高を持つジョグ125だが、足つきの良さは数字だけによるものではない。シートスポンジはHC31と柔らかめで、跨った瞬間から自然に沈み込む。さらにシート前端もシェイプされており、内モモへの干渉が少ない。
また、ステップボード前方には傾斜が設けられており、足を降ろす際の自由度も高い。50ccクラスからのステップアップや女性ライダーにも安心して薦められる仕上がりだ。
「ステップボードとシートまでの高さが絶妙でシート高がより低く感じる! シートは前後自由幅が少ないから、しっかりお尻が固定されている感じだけど足を降ろすのは問題ナシ。50ccクラスからのステップアップや女性、ビギナーのライダーにはコンパクトなジョグ125はオススメだね!(MCシモ」





ステップから地面までの高さは310mm。前方へ傾斜したステップ形状によって足の逃げ場が確保され、停車時もスムーズに足を出せる。シート高は735mmで比較車中もっとも低く、足つき性はトップクラス。シート硬さはHC31と柔らかめで自然に沈み込み、接地感を高めている。シート長は400mmで着座位置も決まりやすい。
■ヤマハ・アクシスZ

●DATA シート高:770mm/シート長:340mm/シート硬さ:HC33.5/ステップから地面までの高さ:330mm
数字ほど怖くない! 実は優秀な足つき性
シート高770mmと聞くと足つきに不安を感じるかもしれない。しかし実際に跨ると印象は大きく異なる。シート幅は約300mmとスリムで、足を降ろす際に大きく開脚する必要がないからだ。
またシート表皮のグリップも強く、スポンジの沈み込みも自然。シート下収納を優先した設計ながら、足を降ろす部分の張り出しも少なく、数値ほどの高さは感じさせない。
「ステップボードから足を降ろした時のポジションの自由度はあるよね! シート表皮もグリップが強めで、シートの段差もあるけど前後のポジションの前後はしやすいかな。全体的にポジションがコンパクトだから体格差が出やすいかも!(MCシモ)」





ステップから地面までの高さは330mm。シート下収納を優先した設計ながら足を降ろす際の干渉は少なく、停車時も不安を感じにくい。シート高は770mmと高めだが、シート幅約300mmのスリムな形状が効いており数字ほどの高さは感じない。シート硬さはHC33.5で沈み込みも自然。シート長は340mmと比較車中では短めだが、前後移動はしやすい。
■スズキ・バーグマンストリート125EX

●DATA シート高:780mm/シート長:460mm/シート硬さ:HC30/ステップから地面までの高さ:325mm
シート高780mmでも怖くない!
今回もっとも意外だったのがバーグマンストリート125EX。シート高は780mmと比較車中もっとも高いが、実際に跨ると数字ほどの高さは感じない。
その理由はシート形状にある。シート前端がしっかり絞り込まれているうえ、HC30という柔らかいスポンジが体重で沈み込むためだ。さらに太モモ部分のシートも短く設計されており、足を降ろしやすい。長く幅広いシートを持ちながら、足つきにも配慮した作りはさすがバーグマンだ。
「軽さとハンドル位置が車体を振り回しやすいポジションだから足つきに不安感がないよね。座り心地はまさにラグジュアリー! 足つきを気にするなら前に座ればシート形状が細くなるので改善される。フットポジションを変えれば尻がホールドされて遠出もいけちゃうね!(MCシモ)」
■ホンダ・ディオ110

●DATA シート高:760mm/シート長:400mm/シート硬さ:HC41/ステップから地面までの高さ:280mm
同じ760mmでもリード125とは違う!
リード125と同じ760mmのシート高ながら、足つきの印象は大きく異なる。最大の理由はシート形状と車体の細さだ。シートは先端に向かって鋭角に絞られており、跨った瞬間から足をスッと降ろせる。
一方でスポンジはHC41と比較車中もっとも硬め。沈み込み量は少ないが、そのぶん着座位置が安定しやすい。車体そのものもコンパクトで軽量なため、小柄なライダーでも不安なく扱えるのが魅力だ。
「シートはもちろんだけど、ボディ全体が細いからスッと足を降ろせる。ぱっと乗ると前に着座する感じになって、走り出したらハンドル位置が近くて狭く感じるかも。俺は走り出したら少し後ろに座りなおすかな! 基本的な足付き性は着座位置で調整しながら乗るのがオススメ!(MCシモ)」





ステップから地面までの高さは280mmで比較車中もっとも低い。車体自体もスリムなため足を出す動作が自然で、小柄なライダーにも優しい。シート高は760mmながら、先端へ向かって鋭角に絞られたシート形状により数値以上に足を降ろしやすい。シート硬さはHC41で比較車中もっとも硬め。シート長は400mmで、足つき重視のパッケージに仕上げられている。
※各数値は編集部により実測参考値です。
※シート長は、ライダーが座る有効的な座面長を計測(シート全体の長さではない)。
※シートの硬さは、C硬度計(スポンジ用)で確認。人肌が10HC程だ。数値が高いほど硬い。
※この記事は月刊モトチャンプ2024年9月号を基に加筆修正を行っています
【モトチャンプ編集部】