夏にバッテリーが傷む原因は高温とエアコンの使用

夏にバッテリーの寿命が大きく縮む要因は、酷暑による熱害と電装品の多用だ。とりわけ真夏の渋滞路はバッテリーに過大なダメージを与える。
バッテリーは高温になると化学反応の進行によって内部の劣化が早まる。とくに渋滞中は、バッテリーの自己発熱に加えてエンジンルーム内の温度も上がりやすいためバッテリー温度も上昇しがちだ。
さらにエアコンの使用が追い打ちをかける。エアコンはクルマに備わる電装品のなかでもっとも消費電力が大きいうえ、エンジン回転数が低い状態ではオルタネーターの発電能力も十分に上がらず、バッテリーにも大きな負担をかける。
つまり、夏にバッテリー寿命が大きく削られる事象は、バッテリーへ加わる熱害に加え、アイドリングと低速走行の繰り返しとなる渋滞走行と、エアコンの稼働によって陥る電力不足が複合的に作用することで引き起こされる。
とくに、お盆休みの帰省ラッシュなどで発生する炎天下での長時間の渋滞はバッテリーにとってはこれ以上ないほど過酷な環境であり、劣化したバッテリーでは渋滞を抜けた先で突然バッテリー上がりが起こることも珍しくない。
お盆休みに出かける予定があれば、その前にバッテリーの健康状態をチェックしたうえで、バッテリー上がりを起こさないように手を打っておきたい。
劣化したバッテリーでの渋滞走行はトラブルの元

バッテリーの健康状態は日頃のクルマの使い方で大きく変わる。とりわけ、数分程度の短距離走行ばかりを繰り返す使い方ではバッテリーは十分に充電されず、慢性的な充電不足に陥ってしまっている場合が多い。
そうした環境で長らく使い続けたバッテリーは、内部の極板に硫酸鉛の結晶が付着して性能低下を招く”サルフェーション”が進行しており、いつバッテリー上がりを起こしてもおかしくない状態にある。
このような状態にあるバッテリーは、本格的な猛暑へ突入する前に交換したほうが安心だ。しかし、仮に新品バッテリーに交換したとしても、短距離走行ばかりの使い方を続けるようでは、再びバッテリーの寿命は加速的に目減りしていく。そのため、バッテリーを長持ちさせるには、短距離走行主体の運転方法を見直す必要がある。
効率よく充電するためには、ある程度のエンジン回転数を維持しながら一定時間にわたって継続走行することが効果的だ。そのため、短距離走行ばかりに使うクルマは、最低でも週に一度は郊外の道路や高速道路を利用して、一定の速度で30分〜1時間程度ドライブすることを意識したい。これによりバッテリーの健康状態を維持できる。
しかし、これは放電した電力を補う方法であり、経年で劣化したバッテリー自体の最大性能が新品同様に回復することはない。
もしバッテリーの状態に不安があるなら、猛暑が始まる前に外部充電器を用いた補充電を実施しておこう。とくに、デサルフェーション機能(パルス充電機能)を備えた充電器を用いれば、電極に付着した結晶を分解し、衰えたバッテリーの性能を回復させられる場合がある。
サルフェーション除去が期待できるパルス充電で夏に備える

一般的な補充電とは異なり、デサルフェーション充電の依頼先はパルス充電器を保有する専門業者に限られる。また、費用も1回あたり2000〜4000円と、ガソリンスタンド等での通常の補充電よりやや割高だ。さらに、充電には12〜24時間ほどかかるため、クルマを長時間預けることになり不便も多い。
そのため日常的にバッテリーを酷使する環境にある場合は、自宅でケアができるようにパルス充電器の購入を検討するのもよいだろう。
ただし、DIYで充電作業を行う場合でもいくつかのハードルがある。バッテリーを車両から外してじっくり充電する際には、ナビや車載コンピューターの設定が消えないようメモリーバックアップ電源を別途確保しなければ、再設定作業などの手間がかかってしまう。
また、充電中の火災にも注意が必要だ。バッテリー充電時には微量の可燃性ガスが発生するため、必ず換気の良い場所で行う必要がある。ケーブルを接続する際はプラス端子とマイナス端子の順序を絶対に間違えないようにし、火気を近づけないといった安全対策も不可欠だ。
正しい知識を持って充電器を活用できれば、バッテリーに関する不安はあらかた払拭できるうえ、高価なバッテリーの交換サイクルを延ばすことも可能だ。さらに、自分で作業をしていれば、バッテリー端子の緩みといったマイナートラブルも防止できる。
真夏のバッテリートラブルのリスクを下げるためにも、夏本番が来る前に最低でもバッテリーの健康チェックは行っておきたい。そのうえで、万が一のバッテリー上がりに備えてブースターケーブルや携帯型ジャンプスターターなどの装備も整えておこう。