ホンダ・スーパーカブ110Lite……341,000円

ライディングポジション(身長182cm・体重74kg) ★★★★★

初めて乗るライダーは、ハンドルの低さと狭さにちょっとだけ戸惑いを感じるかもしれないが、シートに座って左右グリップに手を伸ばすと、上半身が自然にビシッと直立するライディングポジションは至って真っ当で、あらゆる場面を快適にこなせる。
もっともシートのウレタンが決して分厚くはないので、ロングランの後半では尻に適度な痛みを感じるものの、現状のフレンドリーさを考えると、その点に文句を言うべきではないような気がする。

足つき性は素晴らしく良好で、身長が150cm前後のライダーでも大きな不安は感じないはず。そしてそういうバイクを僕のような大柄なライダーが乗ると、下半身に窮屈さを感じるのが通例だが、このバイクはシート~ステップ間の距離を十分に確保しているので、ロングランでも足腰に痛みは感じなかった。

取り回し ★★★★★

取り回しは超が付くほどイージー。45度のハンドル切れ角はクロスカブやハンターカブ、スーパーカブC125も同様だが、このモデルはその3車より軸間距離が短いため、最小回転半径はシリーズの中で最も小さい1.9m。
商業施設の駐車場でありがたさを感じたのは、705mmのハンドル幅。795mmのクロスカブや805mmのハンターカブと比べると(C125は720mm)、狭いところをスイスイ入って行ける印象だった。
ハンドル/メーターまわり ★★★★☆

かつてのスーパーカブとは異なり、ハンドル周辺のカバーは樹脂製で、右側にはフロントブレーキ用マスターシリンダーのリザーブタンクが見えるけれど、コクピットは昔ながらの雰囲気を維持。
なおスーパーカブ110/Liteのハンドルは、ステムシャフトの上部クランプと一体構造になっているため、交換にはかなりの手間とコストがかかる。バックミラーの視認性は非常に良好。

メーターの基本構成はベーシックモデルと同様。ただしLiteは、速度計のフルスケールを140→60km/hに変更し、右端に速度警告灯を追加。ちなみに、ベーシックモデルは何をどうやっても140km/hは出ないが、Liteは簡単に60km/h弱が出せる(速度リミッターが無ければ70km/hは出そう)。
写真では消えているが、液晶画面の右端にはギアポジションインジケーターを設置。燃料残量計下の表示項目は、オド/トリップ/平均燃費/時計。
左右スイッチ/レバー ★★★☆☆
スーパーカブシリーズの主力機種の伝統に従い、キルスイッチとサイドスタンドスイッチは装備しない。無ければ無いでそんなに困るものではないけれど、他機種からの乗り換えだと、多少の違和感を抱くかもしれない。
ボタンとレバーの配置はクロスカブと同様だが、ハンドルカバーと一体化されたスイッチボックスは専用設計。ハンドルバーの内部には振動対策用のウェイトが収まる。クラッチは自動遠心式なので、左側にレバーはナシ。
燃料タンク/シート/ステップまわり ★★★★☆

シートの座り心地は決して悪くないものの、ロングランに最適‼とは言い難い。快適性を欲するスーパーカブ110オーナーの間では、ボルトオン装着が可能で内部のウレタンが厚い、クロスカブ用に変更するのが定番になっているようだ。左側のリアショック前部には、ヘルメットホルダーが備わる。

容量4.1ℓの燃料タンクは無塗装だが、アルミメッキ仕上げの鋼板を使用しているのでサビの心配は不要。シートの固定方式はヒンジ+吸盤×2で、スポーツライディング中は左右方向へのズレが気になった。
固定式のステップバーやシーソー式のシフトペダル、右側に配置されたキックアームは、スーパーカブシリーズの伝統を継承。固定式のステップバーは、一般的なツーリングなら路面と接することはない……と思うものの、クロスカブ用やアフターマーケット製を使って、可倒式に変更するユーザーが少なくないらしい。
僕個人としては、未舗装路でスタンディングした際に右足とキックアームの干渉が気になったので、自分がオーナーになったらキックアームは取り外すと思う。
積載性 ★★★★★

積載性は素晴らしく良好。リアキャリアの寸法は420×300mmで、片側2ヶ所ずつのフックの使い勝手も良好だから、コード・ネットを使った積載やシートバック・ボックスの装着など、どんな用途にも対応できそう(写真は筆者の私物であるタナックスのミニフィールドシートバッグ)。

ただしアフターマーケット市場では、さらに大きな製品も含めて、いろいろなリアキャリアが販売されている。ベーシックモデルは、リアキャリアの上にタンデムシートを装着すれば2人乗りが可能だが、原付一種に相当する新基準原付のLiteは不可。
ブレーキ ★★★★★

フロント:φ220mmディスク+片押し式1ピストンキャリパー、リア:φ110mm機械式ドラムのブレーキは、必要にして十分な制動力を確保しているだけではなく、コントロール性も良好。

フロントのみに備わるABSのフィーリングは至ってナチュラルだし、リアはロック状態でもまったく不安を感じなかった。基本設計を共有するクロスカブ110は、フロントキャリパーが片押し2ピストンで、リアドラムがφ130mm。
サスペンション ★★★☆☆

フロントフォークはφ26mm正立式で、リアサスペンションはオーソドックスなツインショック。どんな場面もソツなくこなせるけれど、サスストロークが長い他のカブシリーズの乗り味を知っていると、路面の凹凸の吸収性には不満を感じなくもない。

とはいえライディングポジションの項で述べたように、足つき性の良好さを考えると、現状のサスストロークは(フロント:96mm・リア65mm)、これはこれでひとつの正解なのだろう。
車載工具 ★★★☆☆

写真を撮り忘れたのでパーツリストからの転載だが、右サイドカバー内に収まる車載工具は、スパークプラグレンチ、8×12と10×14の両口スパナ、差し替え式ドライバーの4点。充実した内容ではないけれど、現在の他のカブシリーズと比較すれば多いほうである(クロスカブ110とハンターカブCT125は各1点で、C125はゼロ)。
実測燃費 ★★★★★

過去に当企画で取り上げたカブシリーズでは、カタログデータの燃費をマークできなかった僕だが(クロスカブ110は54.3km/Lで、ハンターカブCT125は55.46km/hだった。各車のカタログに記載されたWMTCモード値は、いずれも65km/L以上)、今回はカタログデータの67.5km/Lに近い、62.6km/Lのトータル燃費を記録。
その数値から算出できる航続可能距離は、62.6×4.1=256.7km。なお①②の数値がいまひとつな理由はブン回して走ったからで、③の給油前はかなりドキドキだった。

主要諸元
車名:スーパーカブ110Lite
型式:8BH-JA76
全長×全幅×全高:18600mm×705mm×1040mm
軸間距離:1205mm
最低地上高:138mm
シート高:738mm
キャスター/トレール:26°30′/73mm
車両重量:101kg
エンジン形式:空冷4ストローク単気筒
弁形式:OH2バルブ
総排気量:109cc
内径×行程:47mm×63.1mm
圧縮比:10.0
最高出力:3.5kW(4.8ps)/6000rpm
最大トルク:6.9N・m(0.7kgf・m)/3750rpm
始動方式:セル・キック併用式
点火方式:フルトランジスタ
潤滑方式:ウェットサンプ
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常時噛合式4段リターン
クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング・自動遠心式
ギアレシオ
1速:3.142
2速:1.833
3速:1.333
4速:1.071
1・2次減速比:3.421・2.500
フレーム形式:バックボーン
懸架方式前:テレスコピック正立式φ26mm
懸架方式後:スイングアーム・ツインショック
タイヤサイズ前:70/90-17
タイヤサイズ後:80/90-17
ブレーキ形式前:油圧式シングルディスク
ブレーキ形式後:機械式ドラム
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:4.1L
乗車定員:1名
燃料消費率国交省届出値:105.0km/L
燃料消費率WMTCモード値・クラス1:67.5km/L








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