どんなクルマでも驚きの立体音響を実現
一般的に空間オーディオというと、高級車のように多数のスピーカーを車室内に配置し、専用にチューニングされたシステムで再現するものという印象が強い。しかしこのモデルでは、アップルカープレイ経由でアップルミュージックのドルビーアトモス音源を再生し、それを4チャンネルで展開してしまう。
そのベースにあるのは、カロッツェリアが長年培ってきたオートタイムアライメント&イコライザーの技術だ。車室内の音響特性を付属マイクで測定することで、補正されたフラットな空間特性を実現。こうした既存技術の応用で、空間オーディオの入口を整える。
実際に試聴してみると、その効果は想像以上に明快だった。ドルビーアトモス対応音源では、音が前後左右だけでなく、頭上を回り込むように浮遊したり走り抜けたりする。ドア下やダッシュボードあたりから鳴っているはずのスピーカーが、まるで天井方向にも存在しているかのように感じられる。
体感的には、ホームシアターによる再現以上に明確な音の座標感が意識できる。何しろ頭の上で、サウンドがくるくる回って聞こえるのだから…。このシステムならば、クルマの中という閉じた空間だからこそ、音に包まれる濃密なサウンド体験をさらに発展できそうだ。


独自技術による2チャンネルベースの立体音場も!
さらに興味深いのは、ドルビーアトモス対応音源だけでなく、通常の2チャンネル音源に対しても、パイオニア独自のステレオスペーシャルサウンドによって包囲感のある立体的なサウンドを楽しむことができる。対応音源ならドルビーアトモス、そして非対応音源なら独自処理へと切り替わるため、ユーザーは難しいことを考えずに、新しい音場感に自然に身を委ねればいい。
かつて音楽産業では、CDやレコードそのものの売り上げこそが大きな意味を持っていた。むしろライブはファンサービス的でもあり、サウンド的に言えばCDやレコードに収録されたものの方が凝った作りでもあった。
ところが現在は配信が中心となり、アーティストや音楽会社にとって、ライブや関連ビジネスの比重が高まっている。その流れの中で、音源そのものは作品というより、ライブへ誘(いざな)うためのイントロダクションのように感じられることも…。現代はむしろ、ライブ会場での圧倒的な演出ことが「本丸」なのだというイメージだ。
だからこそ、空間オーディオには新鮮な期待がある。発信される音源そのものに、「聴く体験」としての価値をどんどん高めていける可能性がある。『DMH-SF1000』の空間オーディオは、クルマの中で音楽を聴くことを、さらにワクワクして楽しむことのできる体験へと進化させる提案なのだ。高音質を突き詰めるサイバーナビとは別の方向からも、カロッツェリアはカーオーディオの楽しさを広げようとしている。


