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自衛隊新戦力図鑑ウクライナ戦争が変えた防空戦闘の概念
ウクライナは連日、ロシアからの長距離攻撃に晒されている。その攻撃手段のなかで、数的主力となっているのが長距離自爆型ドローンだ。弾道/巡航ミサイルと比較して、低速・低性能だが圧倒的に安価なため大量投入され、費用対効果の面で有効な攻撃手段と考えられている。

高価・高性能なミサイルと安価・低性能なドローンを組み合わせた「ハイロー・ミックス」戦術は、今後の戦争の主要な長距離攻撃手段となっていくと予想されており、防空側にも既存のハイエンドな迎撃ミサイルだけでなく、“低コスト迎撃体”を組み合わせた多層的迎撃システムが求められている。
イギリスの防衛スタートアップ、ケンブリッジ・エアロスペースは「コストの戦い」に勝利すべく、低価格な対ドローン迎撃ミサイル「スカイハンマー」を開発した。すでにイギリス軍への導入が進んでいるが、同社は自衛隊への導入にも意欲を見せている。アジア太平洋地域を統括するマイク・ケリガン氏に話を伺った。

「低価格」にできる理由
やはり気になるのは、なぜ低価格化できるのかという点だ。ケリガン氏は低価格化のヒントは「敵のドローン」から得たと話す。それは、構造や設計を徹底的に簡素化し、民生品を最大限に活用するという手法だ。

「初期の試作機では6種のねじが使われていましたが、最終的に1種に統一しました。また、ほかの部品についても検討し、あらゆる面で従来の前提を見直しました。スカイハンマーは目標に対して充分に高速なので、高価な軽量素材にこだわらず、より安価な素材を選ぶことができるのです」
機体の簡素化により、スカイハンマー1機あたりの部品コストは数万USドル台前半に抑えられている。これは既存の近-短距離ミサイル、たとえば「スティンガー(48万ドル)」や「IRIS-T(45万ドル)」よりはるかに安価だ。ハードウェアを簡素で安価にとどめる一方で、「性能の要はソフトウェアにある」とケリガン氏は話す。

デュアルバンド・レーダーによる高い命中精度
ミサイルを目標に命中させるための誘導方式は、まさにスカイハンマーの“性能の要”と言える。スカイハンマーは、終末段階でデュアルバンド(ふたつの周波数帯)のレーダーで目標を捉える方式を採用する。ふたつの帯域を使うことで、目標捕捉の正確性が増し、さらに欺瞞手段や電波妨害に対抗することができる。また、赤外線誘導式にも対応可能だという。
スカイハンマーの最高速度は700km/hであり、ジェット推進型シャヘド(500~550km/h)を上回る。射程も30km超と、このサイズの迎撃ミサイルとしては広い。一方で性能はコストとの兼ね合いで決めているとも、ケリガン氏は話す。目指すのは「迎撃する目標と同等か、それ以下の価格の迎撃体」だという。
「コストの戦い」が防空戦闘の重要な要素となったいま、スカイハンマーのような安価な迎撃体は、日本にとっても重要な選択肢のひとつとなるだろう。

