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自衛隊新戦力図鑑30年前、50年前の車両がいまだ現役
陸上自衛隊は戦車とセットで装軌装甲車を開発してきた。74式戦車には73式装甲車が、90式戦車には89式装甲戦闘車が、それぞれ同時期に開発されている。本来ならば10式戦車の登場とともに新たな装軌装甲車があらわれてもおかしくないのだが、冷戦後の安全保障環境の変化もあって、いまだに89式と73式の運用が続いている状況である。

だが、89式・73式の後継計画は着実に進められていた。それが「装甲車(改善型)」だ。2026年10月、このうち89式の後継にあたる「装甲戦闘型」が静岡県御殿場市で目撃された。本車はどのような車両なのか? 以下は陸自車両に詳しい軍事ライター、末松聡氏による解説である。

小型レーダーや球状カメラなど上空への警戒を強化
89式の後継とみられる「装甲車(改善型) 装甲戦闘型」は、「遊弋型UAV対処器材」というプロジェクト名でも知られている。UAVとは「Unmanned Aerial Vehicle」、いわゆるドローンのことだ。
現在、ウクライナの戦場では小型ドローンによる自爆攻撃で戦車や装甲車が大きな損害を受けている。全長30cm程度と小さく、低空域を機敏に動き回るドローンは、既存の武装では探知・迎撃が難しい。将来車両である「装甲車(改善型)」の開発では、これらドローンという新たな脅威への対処手段があわせて研究されているのだ。

目撃された車両で注目したいのが、砲塔の4隅に設置された箱型の物体だ。これはアメリカのエコーダイン社が開発した小型レーダー「エコーシールド」である。従来は探知・識別が難しかったドローンのような小型飛行物体に対応したもので、4隅に置くことで車体の周囲360°を半球型にカバーしている。
また、砲塔上部には球状カメラも確認できる。既存の車両は水平方向のみを観測できる視察装置が設けられていたが、このカメラは上方まで観測することができる。レーダーが捉えた飛行物体を、球状カメラの光学装置で追跡・照準し、攻撃するためと思われる。

発見・捕捉したドローンは砲塔に搭載された30mm口径Mk.44機関砲で攻撃する。陸自は時限式の30mmエアバースト弾(空中で炸裂する弾)を試験調達しており、対ドローン用と思われる。
装軌車両の後継開発事業でありながら、新たな脅威への対応能力も備えた「装甲車(改善型)」は、注目の新装備と言えるだろう。
