【ランボルギーニ ヒストリー】即完売した100万ユーロカー、レヴェントン

ランボルギーニ復調の象徴「レヴェントン」は初の100万ユーロカー(2007-2009)【ランボルギーニ ヒストリー】

【ランボルギーニ ヒストリー】即完売した100万ユーロカー、レヴェントン
ムルシエラゴをベースにアグレッシブさを増した100万ユーロカー、レヴェントンとは?
様々なメーカーの傘下を転々としていたランボルギーニだが、アウディの一員になってから経営は安定し躍進を始める。そんなランボルギーニの復活を象徴するのが、100万ユーロカーとして発売前に完売したレヴェントンの存在だ。

Lamborghini Reventon

デビュー前に完売した20台の特別限定車

低迷期を乗り越え、ランボルギーニブランドは新たな飛躍を遂げる、それを象徴するモデルが、100万ユーロという超高額ながらデビュー前に完売したレヴェントンだ。

ランボルギーニから100万ユーロカーの「レヴェントン」がワールドプレミアされたのは、2007年のフランクフルト・ショーでのことだった。この20台の限定車を見た者はまず、そのプライスに言葉を失い、そしてその20台のすべてがすでにソールドアウトしているというランボルギーニからの発表に驚愕した。それは100万ユーロカーの市場が確実に世界に存在していることの証明だったからだ。

当時ランボルギーニのCEOであったステファン・ヴィンケルマンは、プレス・カンファレンスの檀上で「レヴェントンは、これまでのランボルギーニの成功を祝福する1台であると同時に、新たなチャレンジでもある」と語った。それは1998年にランボルギーニがアウディの傘下へと収まり、2001年にはニューモデルとしてこのレヴェントンのベースとなったムルシエラゴが誕生し、さらに2003年にはランボルギーニにとって過去にないほどの大ヒット作となったガヤルドを市場へと投じることで、スーパースポーツ・メーカーとして完全復活を果たしたことへの自信と誇りを改めて強調した言葉にほかならなかった。

F22ラプターからインスピレーションを得てデザイン

ベースとなったムルシエラゴと似てはいるものの、サイドスカート後方に設けられたエアインテークに左右別々の役割を与えるなど、新たに独自の機能をもたせているのも特徴だった。

レヴェントンというネーミングは、1940年にドン・ヘリベルト・ロドリゲス牧場に生まれ、1943年に著名な闘牛士フェリックス・グズマンと熾烈な戦いを演じ、見事に勝利を収めた伝説の闘牛から引用されたものだ。それから半世紀以上の年月を経てランボルギーニ最強のモデルの名として復活した。

レヴェントンのエクステリア、そしてインテリアのデザインは、もちろんランボルギーニ・チェントロ・スティーレによって行われている。当時このデザイン・センターを率いていたのは、ウォルター・デ・シルヴァで、ムルシエラゴのデザインをベースにステルス戦闘機のF22ラプターなどからインスピレーションを得て描いたもの。エッジの効いたシャープな直線の組み合わせによる彫刻的なエクステリアデザインが完成されている。

デ・シルヴァによる斬新なフィニッシュ

ステルス戦闘機のF22ラプターからインスピレーションを受けてデザインしたという「レヴェントン」。当時、ランボルギーニ・チェントロ・スティーレを率いていた、デ・シルヴァによるものだ。
3つのTFT液晶ディスプレイを採用するなど、ムルシエラゴとは一線を画するアプローチを見せるレヴェントンのコクピット。Gフォースメーターを備えるなど、その雰囲気は戦闘機に近い。

レヴェントンのデザインで最も大きなインパクトを与えるのは、やはりフロントセクションの造形だろう。大きなエアインテークを備えるフロントのバンパースポイラーは、もちろんレヴェントンのための専用デザイン。バイキセノンとLEDによるコンビネーションが斬新なヘッドランプ周りからは、ムルシエラゴとガヤルドの中間的なイメージが感じられる。

左右のドア下部からリヤフェンダーにかけて設けられるエアインテークは左右別々の機能をもち、車体左側はエンジンルーム内に冷却用エアを導入することを目的としているのに対して、右側はフロア下のエアフローを確保する役割を担う。リヤクオーターピラー上のエアインテークやテールエンドのウイングは、ムルシエラゴと同様に可変機能が残されているが、その制御ロジックや一部のデザインは、レヴェントンに独自のものとなっている。

同様にインテリアもムルシエラゴのそれから大きく雰囲気を変えていた。インストゥルメントパネルはアルミニウムブロックから削り出されたもので、かつカーボンファイバーケースに保護されている。メーターは3つのTFT液晶ディスプレイによるもので、中央には3グリッド表示のGフォースメーターも備わり、それは航空機のグラスコクピットをも想像させるデザインだった。シートやインテリアトリムも専用のフィニッシュだ。

ミッドに搭載されるV型12気筒エンジンは、主に吸排気システムやECUのリニューアルによって、当時のムルシエラゴからさらに10PSのエクストラを得た650PS仕様。ギヤボックスは6速セミATのeギアのみが組み合わされた。駆動方式はもちろんビスカスカップリングによる4WD。最高速度は340km/hを誇った。

さらに2009年には、オープン仕様の「レヴェントン ロードスター」が15台の限定車として誕生。最高出力は20PS引き上げられ、670PSを発揮した。

SPECIFICATIONS

ランボルギーニ レヴェントン

発表:2007年
エンジン:60度V型12気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:6496cc
圧縮比:11.0
最高出力:478kW(650PS)/8000rpm
最大トルク:660Nm/6000rpm
トランスミッション:6速セミAT
駆動方式:AWD
車両重量:1665kg
最高速度:340km/h

ランボルギーニ レヴェントン ロードスター

発表:2009年
エンジン:60度V型12気筒DOHC(4バルブ)
総排気量:6496cc
圧縮比:11.0
最高出力:492kW(670PS)/8000rpm
最大トルク:660Nm/6000rpm
トランスミッション:6速セミAT
駆動方式:AWD
車両重量:1690kg
最高速度:330km/h

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…