日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員が絶賛した2024年の名車とは?

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員が明かす隠れた名車3選?【2024年個人的に感動した名車】

フィアット 600e
フィアット 600e
仕事柄、多種多様なニューモデルに触れてきたモータージャーナリストたち。2024年に試乗した中で隠れた名車を選ぶ本コーナー。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員の西川淳がセレクトしたのは、10ベストに選ばれないあのクルマ達……。

隠れた今年のCOTYの名車とは?

アヴェンジャー
アヴェンジャー

毎年30モデル以上の新型車が登場する。売れたクルマ、話題になったクルマ、色々あって出だしに躓いたクルマなどなど、そのデビューは千差万別で悲喜交々。なかにはとても良い性能・機能の持ち主だというのにさほど話題にならない、というか、真っ当に評価されていないようなクルマもあったりする。まぁ、そういうモデルが散見されるとき、自らの非力無力を責めたくなるわけだけれど……それはさておき。

話題の指標のひとつとして日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)という賞レースが存在する。私もまた選考委員の端くれとして今年も思う存分に自らの思いをエントリーされたモデルたちにぶつけ、何台か選ばせてもらったわけだが……。なんだか力およばず、良いクルマだと思ったのに表彰はおろか10ベストにさえ残らなかったモデルが結構あったので、今回はそんな“隠れた今年のCOTYの名車”について記してみたい。(選考方法やエントリーリスト、賞の結果など詳細は公式ホームページを参照ください)

勿体無いステランティスの2台

600e
600e

まずは「ジープ アヴェンジャー」と「フィアット 600e」である。ステランティスグループの最新モデルで、プラットフォームを共有するフルバッテリー駆動のコンパクトなBEVだ。もちろん、それぞれ別個のエントリーだったが、これが賞レースではそれこそまるで話題にならなかった。日本デビューがギリギリで、メディア試乗会も十分に行われたとはいえず、そういう意味ではインポーターの不手際もあったとはいえ、それにしてもだ。

いずれもBEVとしてはとても真っ当な仕上がりで、使い勝手の良いモデルであった。両車ともスタイリングやインテリアのデザインもまた秀逸で、ここ最近のステランティスグループの新型モデルの中では群を抜いてまとまりがあると思う。

特にアヴェンジャーは人気のジープブランド初のBEVで話題性も十分。事実、海外の賞レースでは評価も高い(だからといって日本でも、と言いたいわけではない)。箸にも棒にもかからんなんてことはあるまい、と思うのだ。600eだってそう。当然のことながらアヴェンジャーと同様にドライブフィールもよく、総合的にみて出来栄えに文句はない。

当節、日本ではBEVに対して何かと風当たりが強くなっているけれど、それでもヒョンデやBYD、ボルボなどは10ベストに残って“決勝戦”に駒を進めている。結局、アヴェンジャーや600eをテストし見極める十分な機会が私を含め多くの選考委員になかった。いやはや、なんとも勿体無い。ほんと、とっても良いクルマなんですよ、アヴェンジャー&600e。

500eでは物足りない人に朗報だ。都市部に住むカップルや小さい子どものいる家族にとって実に使い勝手の良いBEV、フィアット600eが誕生した。

たとえ電気自動車になろうとも走りはフィアット濃度200%を感じさせる「フィアット 600e」に試乗

フィアットが1年半ぶりに送り出すモデルがクロスオーバーBEVの「600e」だ。実にフィアットらしい走り味と老若男女から愛されるであろう内外装が大きな魅力。初秋の横浜で、新型600eの実力を存分に味わってきた。(GENROQ 2024年12月号より転載・再構成)

現時点のラインナップは「アルティテュード」(580万円)と「ローンチエディション」(595万円)の2グレードとなる。

「小さくても電気でもジープ」ブランド初のフル電動モデル「ジープ アベンジャー」が日本初披露「580万円から」

2024年9月26日、ジープブランド初のフル電動モデルとなる新型「ジープ アベンジャー」が日本に上陸した。フル電動モデルながらジープらしさを体現したコンパクトクロスオーバーBEVである。

古いっちゃ古いけど

次にこれまた時代の流れというか風向きを思い知ったわけだけれど、「BMW 5シリーズ」と「メルセデス・ベンツ Eクラス」という、世が世なら世界のスタンダードというべき2大モデルが揃って10ベストを逃してしまった。

実をいうとこの2台が個人的にはかなりオシだったので、揃って落選した決勝戦では当然ながら選ぶことができず、結果的に最終投票のモデル選びに苦労を強いられてしまった。ミドルクラスのセダンとワゴン。そりゃ古いっちゃ古いんだろうけど、それでも世の中のSUVに比べればまだまだ完成度では上、つまり圧倒的に良いクルマだと思う。時代遅れというわけなのだろう。SUVが世の中の車選びのスタンダードになって久しい。

BMW 5シリーズ ツーリングとメルセデスベンツ Eクラス・ステーションワゴン

“900万円前後のガチライバル”「BMW 5シリーズツーリング」と「メルセデスベンツ Eクラス・ステーションワゴン」をスペック比較

かつてはメジャーなカテゴリーだったステーションワゴンは、高級ブランドの上級モデルにも設定されている。2024年2月、新型「BMW 5シリーズツーリング」が発表され、日本に導入されたが、高級車を購入する時はしっかりと吟味したい。今回は900万円前後でガチンコのライバルとなる「メルセデス・ベンツ Eクラス・ステーションワゴン」とスペック面で比較してみよう。

これまたオールドスクールの名車

同様に国産車ではイチオシだった「トヨタ クラウンセダン」もまたCOTYでは全く話題に上らなかった。巷で話題で人気の「クラウンスポーツ」だって10ベストには落選したのだから、セダンなんてそもそも無理だったってこと。でもね、クラウンセダンもまた本当に良いクルマなんです。はっきり言って「クラウンクロスオーバー」や「クラウンスポーツ」より10倍は良い。FCEVも選べるし、面白い存在だと思ったのだけれど、これまたオールドスクールの名車ってことだろう。

というわけで私はホント、古いタイプのクルマ好きであることが今年のCOTYで証明されたというわけ。いや、ここ数年は毎年そうだったけれど! それでも最近になってようやくSUVにも点を入れるようになったんやけどナァ〜(笑)。

筋肉質なボディは、旧世代にはクラウンという名前に戸惑ってしまうかも。

今風SUVなスタイルの「トヨタ クラウンスポーツ」に試乗して分かった本命がPHVモデルである理由

クラウンシリーズの中でもっともアグレッシブなデザインを採用するスポーツ。HVに続いて充電可能な大型バッテリーを組み合わせたPHVが発売を開始した。HVよりもパワフルなだけでなく、足まわりにも大きな改良を加えているという。(GENROQ 2024年4月号より転載・再構成)

「ダチア・サンデロ・ステップウェイ」。イタリア中部シエナ県のルノー販売店「パンパローニ」の営業スタッフ、ダニエレ・リッツォ氏と。

イタリア在住ジャーナリストが明かす隠れた名車とは?【2024年個人的に感動した名車】

仕事柄、多種多様なニューモデルに触れてきたモータージャーナリストたち。2024年の隠れた名車を選ぶ本コーナー。イタリア在住ジャーナリストの大矢アキオがセレクトしたのは、日本未導入の知る人ぞ知る「ダチア サンデロ」だ。

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西川 淳