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隠れた今年のCOTYの名車とは?
毎年30モデル以上の新型車が登場する。売れたクルマ、話題になったクルマ、色々あって出だしに躓いたクルマなどなど、そのデビューは千差万別で悲喜交々。なかにはとても良い性能・機能の持ち主だというのにさほど話題にならない、というか、真っ当に評価されていないようなクルマもあったりする。まぁ、そういうモデルが散見されるとき、自らの非力無力を責めたくなるわけだけれど……それはさておき。
話題の指標のひとつとして日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)という賞レースが存在する。私もまた選考委員の端くれとして今年も思う存分に自らの思いをエントリーされたモデルたちにぶつけ、何台か選ばせてもらったわけだが……。なんだか力およばず、良いクルマだと思ったのに表彰はおろか10ベストにさえ残らなかったモデルが結構あったので、今回はそんな“隠れた今年のCOTYの名車”について記してみたい。(選考方法やエントリーリスト、賞の結果など詳細は公式ホームページを参照ください)
勿体無いステランティスの2台
まずは「ジープ アヴェンジャー」と「フィアット 600e」である。ステランティスグループの最新モデルで、プラットフォームを共有するフルバッテリー駆動のコンパクトなBEVだ。もちろん、それぞれ別個のエントリーだったが、これが賞レースではそれこそまるで話題にならなかった。日本デビューがギリギリで、メディア試乗会も十分に行われたとはいえず、そういう意味ではインポーターの不手際もあったとはいえ、それにしてもだ。
いずれもBEVとしてはとても真っ当な仕上がりで、使い勝手の良いモデルであった。両車ともスタイリングやインテリアのデザインもまた秀逸で、ここ最近のステランティスグループの新型モデルの中では群を抜いてまとまりがあると思う。
特にアヴェンジャーは人気のジープブランド初のBEVで話題性も十分。事実、海外の賞レースでは評価も高い(だからといって日本でも、と言いたいわけではない)。箸にも棒にもかからんなんてことはあるまい、と思うのだ。600eだってそう。当然のことながらアヴェンジャーと同様にドライブフィールもよく、総合的にみて出来栄えに文句はない。
当節、日本ではBEVに対して何かと風当たりが強くなっているけれど、それでもヒョンデやBYD、ボルボなどは10ベストに残って“決勝戦”に駒を進めている。結局、アヴェンジャーや600eをテストし見極める十分な機会が私を含め多くの選考委員になかった。いやはや、なんとも勿体無い。ほんと、とっても良いクルマなんですよ、アヴェンジャー&600e。
古いっちゃ古いけど
次にこれまた時代の流れというか風向きを思い知ったわけだけれど、「BMW 5シリーズ」と「メルセデス・ベンツ Eクラス」という、世が世なら世界のスタンダードというべき2大モデルが揃って10ベストを逃してしまった。
実をいうとこの2台が個人的にはかなりオシだったので、揃って落選した決勝戦では当然ながら選ぶことができず、結果的に最終投票のモデル選びに苦労を強いられてしまった。ミドルクラスのセダンとワゴン。そりゃ古いっちゃ古いんだろうけど、それでも世の中のSUVに比べればまだまだ完成度では上、つまり圧倒的に良いクルマだと思う。時代遅れというわけなのだろう。SUVが世の中の車選びのスタンダードになって久しい。
これまたオールドスクールの名車
同様に国産車ではイチオシだった「トヨタ クラウンセダン」もまたCOTYでは全く話題に上らなかった。巷で話題で人気の「クラウンスポーツ」だって10ベストには落選したのだから、セダンなんてそもそも無理だったってこと。でもね、クラウンセダンもまた本当に良いクルマなんです。はっきり言って「クラウンクロスオーバー」や「クラウンスポーツ」より10倍は良い。FCEVも選べるし、面白い存在だと思ったのだけれど、これまたオールドスクールの名車ってことだろう。
というわけで私はホント、古いタイプのクルマ好きであることが今年のCOTYで証明されたというわけ。いや、ここ数年は毎年そうだったけれど! それでも最近になってようやくSUVにも点を入れるようになったんやけどナァ〜(笑)。