アウディ最小コンパクトSUVのSモデル「SQ2」に試乗

痛快な走りが魅力のアウディ最小コンパクトSUV「SQ2」に求められる意外な乗りこなし術とは?

S専用のスポーツサスペンションを装備。Sの名に恥じぬ走りは健在だ。操舵量に応じてギヤ比が変化する可変ステアリングも装備され、ロックトゥロックは2回転と超クイック。
S専用のスポーツサスペンションを装備。Sの名に恥じぬ走りは健在だ。操舵量に応じてギヤ比が変化する可変ステアリングも装備され、ロックトゥロックは2回転と超クイック。
アウディの最小コンパクトSUV、Q2。その高性能版がSQ2である。若者向けのスタイリングとは裏腹に都会にマッチした使い勝手など、まさに良心的なクルマ造りがされているが、その意外な乗り味とは?

Audi SQ2

Q2シリーズ唯一のAWD

リヤドアからリヤフェンダーにかけての複雑なプレスラインが、Q2の真骨頂と言える。ドアハンドルはグリップタイプだ。
リヤドアからリヤフェンダーにかけての複雑なプレスラインが、Q2の真骨頂と言える。ドアハンドルはグリップタイプだ。

編集長Gの指示でアウディSQ2の広報車受け渡し場所に行くと、そこにはハッチバックが──。世の中的にはクロスオーバーという錦の御旗の下、これもSUVかと思ったのがSQ2の第一印象だ。

2017年にデビューしたQ2は、ゴルフ7やアウディA3と同じMQBプラットフォームを採用したコンパクトSUV。他のアウディにはないポリゴン的内外装デザインと、SUVでありながら都市部の立体駐車場に入庫可能な全幅1.8m、全高1.55m以下というボディサイズを美点とする。その動力性能を高めた高性能版がSQ2だ。なおQ2シリーズ唯一のAWDである。

Q2のマイナーチェンジから1年遅れで今年2月、SQ2も新型となった。S3と同じ2.0リッター直4ターボエンジンを搭載し、最高出力300ps、最大トルク400Nmを発揮する。7速DCTの組み合わせは従来同様のスペックだが、エクステリアはシングルフレームグリルとボンネットの隙間に往年のスポーツクワトロを彷彿させる3連スリットが設けられたのが大きな特徴だ。

スポーティなコンパクトSUVらしい痛快な走り

Sの名に恥じぬ走りは健在で、S専用のスポーツサスペンションを装備。操舵量に応じてギヤ比が変化する可変ステアリングも装備される。ロックトゥロックは2回転と超クイック。最小回転半径は5.1mだが、さほど小回りを感じなかったのは、筆者が今時の後輪操舵車を多く経験しているからだろうか。

SQ2は専用デザインのシングルフレームグリル、アルミ調のドアミラー、専用ルーフスポイラー、4本出しのテールパイプが見た目の特徴だが、写真の試乗車はオプションのブラックスタイリングパッケージ(15万円)装着車でグリル、ミラー、Cピラーまでブラック仕上げとなっていた。Q2本来のカジュアルさが薄まり、SQ2のキャラクターにマッチしているように感じた。

ACCを100km/hに設定して走らせる。なおADASはACCやLKAS、ハイビームアシストなどがパッケージオプション(17万円)として設定される。1800rpmでの静粛性はまずまず。大人2名と撮影機材などを積んで、流れの良い高速道路を平均時速約80km/hで走り、燃費は13km/Lだった。これはWLTC高速道路モードに肉薄しており上出来だろう。

高出力を楽しむには……

市街地走行に於いて硬めと感じたサスペンションは、高速域でもやはり硬めだ。そうだ、これはSQ2なのだから、もっとスポーティに走らねば、とアクセルを踏み込む。……300ps、400Nmという数値を体感しにくい。なぜか。アクセルを踏み込んでから加速が始まるまでのタイムラグが大きいのだ。アクセルを踏み込むと同時にシフトダウンし、一瞬で回転数が上がる。そして一拍おいて猛然と加速する。慣れていないと、たとえば首都高速の短い合流などでまごつく場合もある。

攻略法はコーナーの出口手前で、F40のようにアクセル全開にしてタイミングを合わせるドッカンターボ対策テクニックではなく、パドル操作でギヤを事前に下げておくことだ。キックダウンスイッチを踏んで自動的にシフトダウンすると、変速してから(DCTの)クラッチミートが遅いのがもたつきの原因だが、変速スピードはダイナミックモードでも改善されず、むしろコンフォートモードの方が、パワーの出方が穏やかなぶん適度な加速がしやすかった。ダイナミックモードは急激にパワーが立ち上がり、じゃじゃ馬に拍車がかかる。小気味よく走りたいなら自らパドルを駆使して手動変速しながら走ると高出力、大トルクを楽しめる一体感が生まれる。

試乗車にはインテリアデザインパッケージ(26万円)がオプション装備され、ダッシュボードの一部を光らせたりとQ2ならではの演出も楽しめた。都会にマッチしたサイズのQ2に、スポーティな高性能エンジンを組み合わせたSQ2は、乗りこなし方もまた個性的だった。

REPORT/吉岡卓朗(Takuro YOSHIOKA)
PHOTO/平野 陽(Akio HIRANO)
MAGAZINE/GENROQ 2022年 10月号

SPECIFICATIONS

アウディSQ2

ボディサイズ:全長4220 全幅1800 全高1525mm
ホイールベース:2595mm
車両重量:1560kg
エンジン:直列4気筒DOHC
総排気量:1984cc
最高出力:221kW(300ps)/5300-6500rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2000-5200rpm
トランスミッションエンジン:7速DCT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前マクファーソン 後ダブルウィッシュボーン
ブレーキ:前後ディスク
タイヤサイズ(リム幅):前後235/45R18
環境性能(WLTC)
燃料消費率:11.6km/L
車両本体価格:620万円

【問い合わせ】
アウディ コミュニケーションセンター
TEL 0120-598-106
https://www.audi.co.jp/

実戦デビューに向けてテストを続ける、ラリーレイド用電動プロトタイプバギー「アウディ RS Q e-tron E2」。

2023年のダカールに向けて電動プロトタイプ「アウディ RS Q e-tron E2」を公開! ボディ形状を刷新【動画】

アウディは、大幅な改良を施した電動プロタイプバギー「RS Q e-tron E2」を発表した。2022年3月開催に開催されたアブダビ・デザート・チャレンジで初の総合優勝を飾った先代「RS Q e-tron」から大幅な戦闘力アップを果たした改良型で、2023年1月に開催されるダカール・ラリー勝利を狙う。

キーワードで検索する

著者プロフィール

吉岡卓朗 近影

吉岡卓朗

Takuro Yoshioka。大学卒業後、損害保険会社に就職するも学生時代から好きだったクルマのメディアに関わり…