【モントレー・カーウィーク】フル電動の2+2GTコンセプトモデル「ランボルギーニ ランザドール」初披露

ランボルギーニ2+2GTコンセプト「ランザドール」世界初公開「第4のモデルはフル電動となる?」

今回発表された「ランツァドール」は、フル電動モデルとして設計されたコンセプトモデルだ。
今回発表された「ランツァドール」は、フル電動モデルとして設計されたコンセプトモデルだ。
ランボルギーニは、クエイル・ロッジで開催された「モータースポーツ・ギャザリング」でフル電動の2+2GTコンセプトモデル「ランザドール」を世界初公開した。来年末までにすべてのモデルを電動化することを謳うランボルギーニにとって、今回発表されたランザドールがBEVとして登場する予告なのか?

LAMBORGHINI LANZADOR

4ドア「エストーケ」を彷彿させるランボルギーニ

2ドアの2+2GTはランボルギーニの創始者、フェルッチオ・ランボルギーニの意思が反映されているのかもしれない。

ランボルギーニは、今年のモントレー・カーウィークの幕開けを飾るクエイル・ロッジで開催された「モータースポーツ・ギャザリング」で、2+2GTのコンセプトモデル、「ランザドール」を世界初公開した。

かつてランボルギーニは、2008年のパリ・サロンで当時のガヤルドと共通する5.2リッターV型10気筒エンジンをフロントミッドシップした4ドアサルーン「エストーケ」を、やはりコンセプトカーとして出品した経緯があるが、この時点ではランボルギーニにとってムルシエラゴ、ガヤルドに続く第3のモデルを市場へと送り出す余裕はなかった。

だがこの時の4ドア・ランボルギーニへの好印象こそが、後にスーパーSUVたるウルスを生み出す原動力となったことは確かだ。

2026〜30年に登場する第4モデル

それから15年近くの時を経て、ランボルギーニは当時とは比較にならないほどの規模を誇る自動車メーカーへと成長を遂げた。現在は12気筒モデルはPHEVのシステムを搭載する最新のレヴエルトと、それにスーパーSUVのウルスという布陣でセールスが展開される現在のランボルギーニ。すでに10気筒モデルのウラカンはオーダーは受けておらず、2024年中にPHEV化されたニューモデルに世代交代する計画であると噂されている。2023年の上半期では前年同期比で6.7%プラスとなる14億2100万ユーロの収益と、同期比7.2%プラスの4億5600万ユーロという営業利益を記録。第4のモデルをリリースする経済的な背景は十分に整ったといえるだろう。

ランボルギーニはまた、2021年に脱炭素化と電動化を大きく推進する中間戦略として「Direzione Cor Tauri」(コル・タウリに向かって)とネーミングされたプランを立ち上げている。雄牛の心臓を表すと同時に、おうし座の中で最も明るい星を示すというコウ・タウリ。それは未来に向けての電動化というランボルギーニの方向性を示すとともに、彼らが真の伝統とする最高のパフォーマンスと、ドライビングダイナミクスを保証できる技術ソリューションを実現することに常に焦点が当てられているという。

今回発表されたランザドールは、このコウ・タウリ戦略の第3段階。つまりフル電動モデルとして設計されたモデルだ。コウ・タウリ戦略では、2021年から2022年までは内燃機関のさらなる技術革新を。2023年から2024年末まではハイブリッドシリーズの初となるモデルを発表し、2024年末までにはラインナップ全車を電動化。そして2026年から2030年の間に第4のモデルとなるフル電動モデルを市場に送り出すことを目標にしているという。つまり来年の末までにはランボルギーニのすべてのモデルは、おそらくはPHEV化され、その後今回発表されたランザドールがBEVとして登場するというシナリオが、同社の社内では描かれている可能性が強いと考えられる。

2ドアの2+2GTを望んだ創始者

そのような事情を知ったうえで、ランザドールのディテールを改めて検証してみることにしよう。そのエクステリア・デザインは、もちろんランボルギーニ・チェンロトスティーレのチーフスタイリスト、ミティア・ボルケルトのチームによるものだが、ワイドで力強い前後フェンダーには、エストーケの雰囲気が感じられないわけではない。

ドアはもちろん2ドアで、ここには2ドアの2+2GTをランボルギーニのプロダクトとして望んだという創始者、フェルッチオ・ランボルギーニの意思が反映されているようにも思える。左右のウインドウは薄く、一瞬リヤシートの居住性は期待できないかのようにも思えるが、そこは現代に生まれた車、十分なスペースが与えられているはずだ。

フロントには、アクティブ・エアロダイナミクス・システムも採用されており、ドライビング・モードや走行状況に応じてエアロダイナミクスを最適化する。それによって「アーバン」モードでは航続距離がさらに伸び、また「パフォーマンス」モードではドラッグが改善される仕組みだ。リヤアクスル・ステアリングやエアサスペンションによって、ランザドールはさまざまな路面環境やドライバーの好みの設定に適応するが、その設定は走行中にステアリングの操作スイッチで瞬時に調節できるという。

真のマイルストーンになるモデル

ドライビング・モードや走行状況に応じてエアロダイナミクスを最適化し、「アーバン」モードでは航続距離がさらに伸び、また「パフォーマンス」モードではドラッグが改善されるという。

インテリアも実に未来的な空間だ。メリノウールや再生カーボンなどのインテリアに使用されている素材は、いずれも持続可能なもの。スポーツシートの発泡フォームに使われるプラスチック要素の一部は、3Dプリントされたリサイクル繊維で成型されている。

ランザドールは、自動車の電動化と脱炭素化に積極的に取り組んでいるランボルギーニにとって、真のマイルストーンになるモデルだと彼らは宣言する。残念ながら現在の段階では搭載されるバッテリー容量や、前後アクスルに各々1個組み合わされるモーターの出力、また最大航続距離などは発表されていないが、それは今後徐々に明らかにされてくることだろう。ランボルギーニが電動化へと向かう未来には、実に大きな夢がある。

【ランボルギーニ ヒストリー】ウルス以前に試作された4ドアサルーン

幻のラグジュアリーサルーン「エストーケ」の美しさには今でも再考の余地がある(2008)【ランボルギーニ ヒストリー】

今でこそスポーツカーメーカーによる4ドアモデルリリースに異を唱える向きは減ったものの、スーパーカーブランドを代表するランボルギーニが4ドアサルーン「エストーケ」を提案した際には大きな反響があった。幻になったエストーケに迫る。

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…