忘れかけていたカスタマイズ魂を復活させる「アバルト500」

無邪気に楽しめる「アバルト500」の買い時は今?【今買うなら、ひょっとしてコレちゃう?21台目】

昔はクルマを買ってドレスアップしたりチューニングしたりするのはふつうの楽しみ方だったけれど、最新モデルではなかなか難しい。輸入車となるとさらに困難。「アバルト500」ならそんな楽しみを再び味わえるかも?
昔はクルマを買ってドレスアップしたりチューニングしたりするのはふつうの楽しみ方だったけれど、最新モデルではなかなか難しい。輸入車となるとさらに困難。「アバルト500」ならそんな楽しみを再び味わえるかも?
クルマの流行廃りにあわせて大きく動く中古車市場。もしも中古車ライフを送るなら、その波を正確に捉えてお得な買い物をしたいものだ。そんな時代の羅針盤たるべく、西川淳が「今」買いのクルマを紹介する。2024年最初の第21回は「アバルト500」。

ABARTH 500

“楽しかった”と推測できるクルマ選び

とあるモデルがどれだけ楽しいクルマであるか。我々ライターがどれほど筆を尽くしても語り尽くすことは難しい。短い動画で紹介できることにも自ずと限界はある。けれども、その楽しい度合いを間接的ではあるけれど、押し測る方法がないわけではない。私が楽しさの客観的な証拠としてよく使う手が、実は“中古車検索サイト”である。

カーセンサーネットなどの検索サイトには必ず探しているブランドやモデルを好みの条件、年式の新しい順であるとか走行距離の少ない順であるとか、でソートできる機能がある。普段、筆者がよく使う条件はMTでクーペ、年式の古い順、なのだが、とあるモデルの人気度合いを検証するときには違うソートをかける。

シンプルに本体価格の安い順を選んでみるのだ。それで何がわかるのか。もちろん該当モデルの底値を知るという大事な理由もあるのだけれど、それだけではない。安い個体の走行距離をみたいのだ。距離が多ければ多いほど、そしてそんな個体が多ければ多いほど、そのモデルは“きっと楽しかったのだろう”という推論が成立する。しかも、俗にいう“過走行”になっても「マーケットに流通する=それでも売れる」ということだから、売る方も「楽しい=人気」であることを“知っている”。

前オーナーが大事に乗ってきた感じを見破る

2024年、最初にお薦めしたいモデルはアバルト500の3ペダルMTでコミコミ150万円以下で買える個体、なのだけれど、試しにアバルト500をカーセンサーEDGEで検索し値段の安い順にソートをかけてみてほしい。

どうだろう? 100万円以下で流通する個体がたくさんあり、たいてい10万kmを超えていると思う。私が検索した時には18万kmで本体価格59万円というエッセエッセキット組み込みのノーマル個体が売りに出ていた。前オーナーが大事に乗ってきた感じが画面からも窺えるし、だからこそ“まだまだ乗れる”と判断されたのだろう。クルマとしても大丈夫だという判断だ。アバルト500の楽しさをこれほど雄弁に物語る客観的な事実はないと思う。未来の名車である。

とはいえ、いざ自分で買うとなると10万km超の個体は安いが勇気も要る。できれば5万km以下。フルノーマルで色を問わず、ホイールも小さい方が嬉しい。そしてコミコミ150万円以下。あるある。しかも好みのガンメタ×ブラウンもあった。3.5万kmでコミコミ145万円ぐらい。いいじゃないか!

自分好みに仕立てていく楽しみ

アバルト500の何が楽しいか。実は昨年、東京〜京都ドライブに供したモデルのなかで最も楽しかったのがアバルト695のトリビュート131だった。そのとき思ったのが、アバルトチンクの楽しさってデビュー当時から最新まで全く変わらないということ。ドライバーを無邪気にさせ、とにかくアクセルを踏んでハンドルを回すという行為そのものがひたすら楽しい。

もちろんトリビュート131の完成度は高く、例のでっかいウィングもよく効いているのだけれど、根本的にはデビュー当初に感じた楽しさをキープしていた。ならば、まだ500と言っていた頃のアバルトチンクを買ってみるのも面白い。そう思ったのだった。

アバルトチンクにはもうひとつ、楽しみがある。ヒントは“フルノーマルを探す”。そう、そこから自分好みに仕立てていくという楽しみだ。エンブレム交換のような気軽なパーツから、エンジンやシャシーのチューニングキットまで、多くのブランドがアフター&カスタムパーツを出している。楽天でも買えるしオートバックスA PITでも買える。

ドレスアップしたりチューニングしたり

いざ自分で買うならできれば走行5万km以下。フルノーマル。色を問わず、ホイールも小さい方が嬉しい。

数多のパーツを見ているだけでも面白いうえ、選んで装着する楽しみがあるとくれば、いまどきそんな珍しいことはない。昔はクルマを買ってドレスアップしたりチューニングしたりするのはふつうの楽しみ方だったけれど、最新モデルではなかなか難しい。輸入車となるとさらに困難。

忘れかけていたカスタマイズ魂を思い出させてくれるという点でもアバルト500のMTは愉快な素材だと思う。それにもうエレクトリックが主流になるというし……。MTで楽しいドライブが楽しめてカスタマイズも自由自在。もちろん普段乗りにも便利で、長距離もけっこうこなす。そんなモデル、もうアバルトチンクが最後かもしれない。

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クルマの流行廃りにあわせて大きく動く中古車市場。もしも中古車ライフを送るなら、その波を正確に捉えてお得な買い物をしたいものだ。そんな時代の羅針盤たるべく、西川淳が「今」買いのクルマを紹介する。今年最後の記事は2023年にオススメした中で最高の1台は何かをお伝えする。

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