目次
WHEELS
BBS JAPAN
強さと軽さと美しさを兼ね備えたホイールづくり
昨年から新社長に就任した新田孝之氏により、新素材「フォルテガ」ホイールの開発進捗について発表があった。また今年は、ロングセラーモデルであるLMが発売30周年を迎える。それを記念した限定カラーをオートサロン来場者の投票で決めるそうだ。ブース内は展示車両が履くホイールをまじまじと眺めながら投票を行う人で賑わっていた。さらに壁面には定番カラーのラインナップがひと目で分かる展示があり、色味や質感を実際に自分の目で確かめることができるように工夫されていた。今春発売予定のFI-R Evoの展示も行われていた。
DELTA FORCE
デルタフォースの第二章その名もオーバーランダー
オンオフ問わず独特の色気を放ち、オフロードカーシーンで大ヒットしたのがデルタフォース・オーバルだ。それはフローフォーミング製法を採用したオーバルFFへと発展し、Gクラス、ディフェンダー、そしてランクル300など世界のタフギアまで網羅した。今年はブランド第二章を思わせる新作が公開された。デリカD:5に装着されるオーバーランダーだ。やわらかく深いコンケーブデザイン、それを取り囲むピアスボルト風デザインはオーバル譲りながら、ディスク面が2×5本(星形)になった。今のところ16インチのみでフローフォーミング製法を採用する。
RAYS
新製品攻勢は衰え知らず
オフローダーからスポーツカーまで幅広く網羅するラインナップのすべてに、新色や新サイズを含めて20種類ほどの新作が並び、昨年に続き勢いが感じられるのがレイズだった。写真はBEVへの装着を見越したVMFシリーズの新作「L-01」だ。すっと伸びるスポークが印象的な鍛造1ピースホイールで、セミグロスブラックとシャイニングライトメタルの2色展開となる。同じVMFシリーズで既存のC-01に対してはプリウス専用モデルも追加された。
ADVAN RACING
スポーツ路線を貫くアドバン・レーシング魂
スポーツホイールの理想像を追求して成長を続けるのがアドバン・レーシングだ。母体が大手タイヤメーカーなのに、ここまで攻めたラインナップを持つブランドは他にない。今年は新作のRZIIIやRC-4が公開されたが、RZ-DF2のサイズ拡大にも注目したい。RZ-DFはブランドとして初の金型鍛造製法を採用した10本スポークモデルだった。それをさらに研ぎ澄まして生まれたRZ-DF2は、当初19インチからスタートしたが、今年は待望の20インチが拡充された。4種類のコンケーブ形状を持ち、9.0J~12.0Jまでのサイズバリエーションとなる。
TWS
切削鍛造の魅力を引き出す厳選新作ラインナップ
2023 GTワールドチャレンジ・アジアに参戦したLMコルサ・フェラーリ488 GT3を持ち込んだTWS。モータースポーツカテゴリー久々の新作となるRS 339を履かせている。他の新作として、カーメーカー別に専用デザインを敷くExspur(エクスパー)シリーズEXセグメントからLX600専用が発表された。さらにエクスパーは既存の2モデルに新サイズが追加される。ユーロスポーティドレスアップラインとして定評のあるExlete(エクスリート)には、210M、205S、107Mの3モデルに新色ダークブロンズが追加された。
WORK
カスタムホイールの水先案内人
マルチピースホイールメーカーの代表格といえばワークだろう。サイズや色など細かな設定が可能になる。鮮やかなパープルが美しいBMW M4の足元を飾っていたのは、新作GNOSIS CVFだった。こちらは2ピースとなるが、太すぎず細すぎない5スポークを基調とするコンケーブデザイン。シンプルながら重厚感もある。豊富なカラー選択やリムアレンジで何通りもの組み合わせを楽しみたい。ブースには他の新作もずらりと並んでいた。
ANRKY
矢継ぎ早に展開される新しいデザイン
世界に765台しかないというマクラーレン765LTのリヤに組み合わされたのはAN20。2ピースのアメリカン鍛造ホイールがハイスピードマシンを足もとから支える。フロントには、ある顧客のためだけに特別にデザインされたというプレミアムホイールが装着されていた。ブース内には新たに登場した X-Series S3-X6を含め複数の新作展示があり、2017年の設立から急成長を遂げているブランドの勢いが感じられた。
ANRKY Special Interview
「もっとクリエイティブに斬新なスタイルをつくりたい」
Director of Sales Guy Atherton
かつては同じく南カリフォルニアにあるHREと工場をシェアして生産を行っていたANRKYだが、'23年4月に自社工場へ移動したという知らせを聞いた。「ありがたいことに、生産が追いつかなくなったので自分たちの工場を持つに至りました。これからはもっとANRKYらしい新たなスタイルをつくる体制が整っています。創業以降、我々の日本でのシェアは急速に伸びていますが、コロナ禍を経て今年はそれがさらに加速すると期待しています。今回ひさしぶりにオートサロンに来て、それを確信することができました。最高の品質でお届けするのはもちろんのこと、デザインやカラーバリエーションを増やして日本の皆さんの高い期待に応えられるようにしたい」最近はフィリピンやタイといったアジア圏からの注文が急に増えているそうだ。「アジアでは特に好まれるのかもしれないですね」そう言って彼は大きな笑顔とサムズアップで写真撮影に応じてくれた。
DYMAG
未来のクルマを支える次世代ホイールを
F1へのマグネシウムホイール供給からスタートしたイギリスの名門ホイールメーカーは今年で創立50年を迎える。東京オートサロンではヒョンデのNパフォーマンスパーツのひとつとしてDYMAGによるカーボンハイブリッドホイールが記念すべきワールドプレミアとなった。カーボンハイブリッドとはリム部分がカーボン製で、鍛造や鋳造のセンターピース部分とが組み合わされたものを指す。会場では多くの人が展示品に触れながらその説明に耳を傾けていた。
DYMAG Special Interview
「カーボンホイールの認知度を高めるのは我々の使命」
CEO Tom de Lange
President North America Bill Koenig
「我々はハンコックカーボンと協力して、ヒョンデNパフォーマンスのために軽量ハイブリッドカーボンホイールをつくりました。カーボンが軽量であることはよく知られていますが、ホイールに求められる剛性や強度にも優れています。柔軟にしなる素材なので、リム部分に衝撃が加わっても元の形状に戻る性質があるからです」と、下で紹介したヒョンデに供給したホイールについて詳細を聞くことができた。日本に存在する高級スポーツカーは、アメリカの鍛造アルミニウムホイールを履いているケースが多く、そのカーボンリムにはDYMAGのロゴが刻まれているのもめずらしくはない。しかし日本のホイールメーカーとの協業はまだないのだと言う。「我々の持つ優れた技術と日本の鍛造技術を組み合わせれば、間違いなく素晴らしいカーボンハイブリッドホイールを生み出すことができると確信しています。我々の技術をより知っていただくためにも今回のオートサロンに足を運びました」今後、日本メーカーとのコラボレーションが始まる可能性に期待したい。
BLACK RHINO
ミリタリーデザインをオフロードシーンに
クロサイの意味を持つブラックライノが日本で注目を浴びている。そのどれもがミリタリーデザインを貫くブランドで、無骨な表情を持つ。そんなブラックライノを見事に履きこなすラングラーがあった。ルビコンをベースにタイガーオートが製作したものだ。組み合わされるのはBR016“TUSK”という銘柄で、メカメカしいディスクとレーシングホイールのようなリムが特徴。40×13.5R17サイズのニットー・トレイルグラップラーの肉厚感にも脱帽である。
KMC WHEELS
最大手が突き進める“原点回帰”
全米最大手のホイールプロ社の看板ブランドであるKMCホイールから新作が登場した。オートフラッグスが製作したタフなハイラックスの足もとに収まるKM552IMSだ。フィンタイプながらも力強い意匠はいかにもKMCならでは。近頃のKMCは原点回帰をしようと、よりレースやラリーで使われるスポーツホイール的な側面を強く打ち出しているが、そのひとつの回答だ。サイズは8.5J×17インチで、P.C.D.は5H×127、6H×135、6H×139.7を網羅する。
ENKEI
熟練職人が腕をふるうプレミアム鍛造ホイール
「WPS」はエンケイの鍛造切削ホイールシリーズ。ENKEI各製造部門の精鋭ばかりが集まって結成されたチームで、かつ同社の最新ファクトリーから紡ぎ出される。新作として発表されたNVR5は、過酷な耐久レースに参戦する日産GT-Rに向けて開発されたスペシャルモデル。長年のモータースポーツへの積極的な取り組みから得たノウハウがつまっている。さらには既存のRS05RRをWPSシリーズに加え、RS05RR FORGEDとして新たに発表した。
BBS GERMANY
ザ・BBSの姿カタチをその性能をアナタの愛車へ
ハブアダプターを介することでP.C.D.やインセットを自在に設定し、サイズやリム幅、フェイス面などを自由に選ぶことができる革新的なBBSアンリミテッドが注目を集めている。初発のCI-Rアンリミテッドに加え、今年はCH-RIIアンリミテッドが会場に現れた。ディスク面の“モータースポーツ”という切削加工や7本クロススポークに象徴されるように、より往年のBBSらしいデザインとなった。2ピース構造ゆえサイズ設定の自由度もより高そうだ。
MV FORGED
デザインと性能への飽くなき探求をカタチに
PS-30FRはクラシック系のデザインを現代流に落とし込むことで、ノスタルジーとモダニズムの融合が美しく際立つPROFORMA SERIESの新作となる。今年は3ピースのMV30をリヤに組み合わせて、今にも走り出しそうなほど軽快感のあるAMG GTブラックシリーズが完成した。ユニークなデザインだけでなく、軽量でハイパフォーマンスカーの性能を底上げするホイールをつくるMVフォージドは、今後ますます日本でのシェアが増えていきそうだ。
HRE
神は細部に宿る
HREはウルトラハイエンドなホイールを50年にわたってアメリカから世界へ贈り続けている。真っ黒に輝くGT3 RSを引き立てたのは、同じく黒に落とし込まれたVintage501GTM(フロント)とVintage501(リヤ)。このふたつは似ているものの、よく見ると違いが分かる。どちらも美しいメッシュデザインを基調としながら、モノブロックと2ピースとで違った表情を見せているのが特徴的だ。GT3 RS固有の魅力と相まって、カメラを向ける人が多かった。
HRE Special Interview
「HREの世界観をホイールに込めてお届けしたい」
Director of Sales Laurent Lebouder
「我々はホイールメーカーではなくブティックです。むしろオートクチュールと言っても過言ではありません。比較的値は張るのかもしれませんが、お客様にお届けする製品すべてに我々のフィロソフィーが反映されています」HREではデザインから納品にいたるまで一貫してすべてがインハウスで行われている。そしてその製造過程すべてにおいて徹底した管理がなされているため、万が一何か起きた場合、どこでそれが起きたのかを容易に把握できるシステムになっているそうだ。「おかげさまで日本での売上は飛躍的に伸びています。我々はこのホイール業界にあって唯一無二の存在でありたい。そしてそれぞれのお客様を唯一無二の存在として扱いたい。だからこそ梱包にもこだわります。お客様が箱を開けた時にまるで大切なギフトを開ける瞬間を味わうことができるように」一般的なアメ鍛ホイールの印象からはかけ離れた、彼らならではの世界観が垣間見えた気がした。
BC FORGED
台湾鍛造の底力
台湾鍛造という立ち位置で世界に打って出たBCフォージドは日本でも元気イッパイだ。アメリカに次いで日本が2番目に大きなマーケットだという。今年、MCCコンプリートとコラボしたブースには、BCフォージドの勢いを象徴するような488スパイダーがあった。いかにも切削鍛造の美しさを感じさせるHCA195S。フロント9.5J×21インチ、リヤ12.5J×22インチの堂々たるサイズが、イタリアンエキゾチックカーを強く美しく受け止める。さらにブースには多くのサンプルが展示され、デザインはおろか色やフィニッシュの豊富さを訴えていた。
Weds/WedsSport
モータースポーツ魂を製品に込めて
ホイールメーカーの中でもウェッズおよびウェッズスポーツブースはとりわけ賑わいを見せていた。SUPER GTシリーズに参戦中の「WedsSport ADVAN GR Supra」の実車展示が行われたほか、モータースポーツトークショーやレースクイーン撮影会があり、モータースポーツファンが数多く押し寄せた。さらにバリエーション豊かな新作が11種類が発表され、鍛造ホイールF-ZEROシリーズからは6作目となるFZ-6が登場した。
CRIMSON
アウトドアカルチャーを引き立てる名盤たち
SUVをサラリと着こなしてアウトドアカルチャーを楽しむ際に、クリムソンのホイールはいつも絶妙なヌケ感を持ってクルマを引き立ててくれる。今年は特に新作が目白押しだ。ディーンのBJメキシカンはエイジングを感じさせるレトロな味わいが特徴で、ジムニーなどに似合う。そしてプラドなどを対象としたMGアーマーにも注目したい。軍用車両などに採用されるビードロックホイールを彷彿とさせる力強いデザインで足もとを支える。
REPORT/中三川大地(Daichi NAKAMIGAWA)、上之園真以(Mai AGENOSONO)
PHOTO/中島仁菜(Nina NAKAJIMA)
MAGAZINE/GENROQ 2024年3月号