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名古屋大学ナショナルコンポジットセンター(NCC)が、成功。材料供給から最終製品までの一貫自動生産が可能に カーボンシャシーのクルマ開発が大きく進展する! 世界初、熱可塑性CFRPシャシーの製作成功!

  • 2017/10/19
  • Motor Fan illustrated編集部
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製作に成功したオール熱可塑性CFRPシャシー

NEDOと新構造材料技術研究組合(ISMA)の組合員である名古屋大学ナショナルコンポジットセンター(NCC)は、熱可塑性樹脂と炭素繊維を混練するLFT-D工法を用いることで、熱可塑性CFRP(炭素繊維強化プラスチック)のみによる自動車用シャシーの製作に世界で初めて成功した。

NEDOとは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のことである。
新構造材料技術研究組合(ISMA)は、自動車を中心とした輸送機器の抜本的な軽量化に向けた技術開発および輸送機器の主要な構造材料である鋼材、アルミニウム材等の高強度化等に関わる技術開発の推進を目的とした団体である。
ISMAはさまざまな開発プロジェクトを行なっている。そのうちのひとつがNEDOの革新的新構造材料等研究開発として研究の委託を受けた熱可塑性CFRPの開発だ。

キーワードになっている「熱可塑性CFRP」とは、プラスチックの中で、温度を上げていくと柔らかくなって融解する性質があるCFRPをいう。
一方の「熱硬化性CFRP」とは、反対に、プラスチックの中で、温度を上げていくと硬化する性質を持つCFRPを言う。

これまで一般に知られてきた、いわゆるCFRPモノコック、カーボンモノコックは、熱硬化性CFRPによって成形されるものだ。オートクレーブと呼ばれる圧力釜で加熱加圧して成形する。これは非常に手間と時間のかかる工程で、それゆえコストの低減が難しかった。

今回、名古屋大学ナショナルコンポジットセンターが開発に成功した熱可塑性樹脂と炭素繊維を混練するLFT-D工法を使えば、熱可塑性CFRPのみで自動車用シャシーが造れるようになることから、その実現性、将来性に大きな期待ができる。

(以下、プレスリリース)

1.概要

世界的な自動車への環境規制を背景として、自動車の軽量化を目指した研究開発が世界で進行している。軽量化において有望視されている材料としてCFRP(Carbon Fiber Reinforced Thermoplasticsの略。炭素繊維強化プラスチック)があり、これまでは熱硬化性CFRPが利用されていたが、力学的特性に優れるものの成形性・融着性に課題があり、航空機や一部の高級車への適用に留まっていた。

これら課題の解決に向けて、NEDO事業において、ISMAの組合員である名古屋大学の石川 隆司(いしかわ たかし)特任教授らのチームは、成形性・融着性に優れる熱可塑性CFRPに着目し、かつ、LFT-D(Long Fiber Thermoplastics–Direct)工法を用いた開発に取り組んできた。

その結果、自動車のシャシー部材の成形をこれまでより圧倒的に速く、1分程度で完了させ、また、超音波融着法を用いたシャシー組み立て技術によって、熱可塑性CFRPのみによる自動車用シャシーの製作に世界で初めて成功した。
今回、材料供給から最終製品までの一貫自動生産が可能になり、部材コストの低減にめどを立てることができた。これにより、CFRPの量産自動車への適用の加速が期待される。

2.今回の成果

LFT-D工法の概念図

LFT-D工法(ドイツのフラウンホーファー研究機構で最初に着想された繊維強化プラスチックの製造方法)は、連続的に炭素繊維を供給して熱可塑性樹脂ペレットと混練し、比較的長い炭素繊維長を保って混練機から押し出される素材を高圧プレスに供給、短時間に所望の構造部材を成形する方法だ。

オートクレーブ法では必要となる中間工程が今回の方法では不要となるため、熱可塑性樹脂と炭素繊維の供給から最終製品までの一貫自動生産システム構築が可能となり、短時間成形を実現できる。
また、熱可塑性CFRPの融着可能な利点を生かしてシャシー部材を接合することで、オール熱可塑性CFRP製シャシーの製作に成功した。今回、ロボットを活用した超音波融着システムを構築したことで、複雑な実構造体の高速接合が可能になった。

超音波融着法とは、熱可塑性樹脂等を超音波振動と加圧力によって溶融させ、部材同士を接合する技術のことだ。

3.今後の予定

NCCでは、今後、LFT-D工法で製作される部材の力学的特性向上に注力するとともに、成形時の反りを抑制した高精度成形技術の確立を目指す。また、超音波融着技術においては、鉄鋼材料の接合で用いられるスポット溶接と等価レベルの高速接合技術を開発していく。

NEDOは、本成果と合わせ、他の構造材料の開発を推進するとともに、これら異種材料を統合するマルチマテリアル化技術に取り組み、輸送機器の抜本的軽量化を目指す。これにより、自動車によるCO2排出量の削減を進めることが期待でき、今後も世界の環境問題の解決に貢献していく。

なお、オール熱可塑性CFRPシャシーは、2017年10月24日から幕張メッセで開催されるIPF Japan 2017 (国際プラスチックフェア)【第9回】で展示する。

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