Audi e-tron Ultra-high voltage@Berlin アウディ e-tron EVの成功の鍵は充電技術が握る@ベルリン Part2
- 2018/05/10
-
Motor Fan illustrated編集部 鈴木慎一

アウディは電動車両、e-tornを2025年までに30%以上にするという意欲的な計画を持っている。そこで重要なのが、充電技術とバッテリーマネジメント技術。ドイツ・ベルリンで行なわれた技術セミナーを取材した。
TEXT&PHOTO◎鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)FIGURE◎AUDI
EVの普及の鍵は航続距離 /充電インフラの整備/充電時間/価格の4要素
パート1とパート3はこちら
アウディ e-tronの電池容量は一般家庭の5日分 アウディe-tronの充電コンセプトとバッテリー技術@ベルリン
アウディ e-tron: EVのバッテリー技術で重要なのは熱マネジメントとクラッシュセーフティ@ベルリン Part3
アウディも、e-tronにおける充電機会の85%までは家庭で行なわれると想定している。標準となるのは最大11kW出力に対応するコンパクトチャージングシステムと呼ばれる交流(AC)充電だ。電源ケーブルは、230V・2.3kWの家庭用ケーブルと400V・11kWの三相ケーブルで、三相ケーブルを使った場合は、満充電まで8.5時間を要する。8.5時間は長すぎるとなると、オプションのコネクターチャージングシステムを用意する。これは最大22kWのAC充電ができ、満充電までの時間が4.5時間に短縮される。
欧州の街を見ると、クルマは自宅の前の道路脇に駐められていることが多い。どうやってEVを自宅で充電するのだろう?と思っていたら、コネクトチャージングシステムでは7.5m長のケーブルにPINコードでロックできる機構が付くという。なるほど。コネクトチャージングシステムのメリットは充電時間の短縮よりも、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)との連携だ。充電システムは家庭のWi-Fiネットワークを経由してHEMSに接続される。アウディは、SMAソーラーテクノロジー社とHagerグループをパートナーにして共同開発を進めている。
HPC(High Power Charging)と呼ばれる高電圧DC充電=急速充電

さて、次はHPC(High Power Charging)と呼ばれる高電圧DC充電=急速充電だ。ご存知のように、高電圧急速充電の主な規格は、日本発のCHAdeMO、中国のGB/T、テスラのSC(スーパーチャージャー)、そして欧州のCCS(Combined Charging System)の4種類ある。e-tronはもちろんCCSを搭載する。CCSの特徴は、AC/DCをひとつの充電口で行なえることだ。CCSの現在のスタンダードは50kW。これだと満充電までに80分かかる。アウディが見据えているのはさらなる充電器の高出力化だ。そのために、アウディとポルシェを含むVWグループ、BMW、ダイムラー、フォードによるジョイントベンチャーで、「Ionity(アイオニティ)」を設立した。Ionityは、最大150kWで1カ所平均6基の充電ポイントを備えたステーションを今年中に約200箇所、20年末までにさらに200、合計400カ所のステーションを高速道路、幹線道路に120km間隔で設置する計画だ。
150kW(500V・400Aで最大150kW)のHPCだと、充電時間は30分以内に収まる計算だ。CCSは、将来的に350kW(800~1000V・400A)までの高出力化を狙っているようだが、技術的には可能でも実現できるかはわからない。350kWのHPDが実現すれば充電時間はわずか12分以内。ほぼガソリン給油並みとなるわけだ。ちなみに、日本発のCHAdeMO(急速充電器の数では現在圧倒的に世界一である)も、規格を150kWに改定している。
Part 3に続く
アウディ e-tron: EVのバッテリー技術で重要なのは熱マネジメントとクラッシュセーフティ@ベルリン Part3
|
|

自動車業界の最新情報をお届けします!
Follow @MotorFanweb水平対向と星型とロータリーエンジン特集

スバル新型レヴォーグの新1.8ℓ水平対向4気筒ターボCB18 vs マツダ...
スバルの1.8ℓリーンバーンターボ「CB18型」とはどんなエンジンか...

1.8ℓ直噴リーンバーンターボ! 次期スバル・レヴォーグから始まる...

内燃機関超基礎講座 | 星型エンジン、その複雑で精緻な構造

内燃機関超基礎講座 | 直噴技術がロータリーエンジンを救う? DIS...

いま再びマツダの水素ロータリーエンジンへの期待「REは水素燃料...
ホンダエンジンの技術力は凄い|内燃機関超基礎講座特集

内燃機関超基礎講座 | V型5気筒という奇妙なエンジンの理由[ホン...

内燃機関超基礎講座 | ホンダが作った「本当のアトキンソンサイク...

内燃機関超基礎講座 | NA時代のタイプRが搭載していた2.0ℓエンジ...

内燃機関超基礎講座 | ホンダ F1 エンジンのコンロッド 高い燃焼...

内燃機関超基礎講座 | ホンダ初代NSXのエンジン[C30A/C32B]虎...

内燃機関超基礎講座 | ホンダのユニークな気筒休止システム[VCM...
会員必読記事|MotorFan Tech 厳選コンテンツ

フェアレディZ432の真実 名車再考 日産フェアレディZ432 Chapter2...

マツダ ロータリーエンジン 13B-RENESISに至る技術課題と改善手法...

マツダSKYACTIV-X:常識破りのブレークスルー。ガソリンエンジン...

ターボエンジンに過給ラグが生じるわけ——普段は自然吸気状態

林義正先生、「トルクと馬力」って何が違うんですか、教えてくだ...

マツダ×トヨタのSKYACTIV-HYBRIDとはどのようなパワートレインだ...
3分でわかる! クルマとバイクのテクノロジー超簡単解説

3分でわかる! スーパーカブのエンジンが壊れない理由……のひとつ...

3分でわかる! マツダのSKYACTIV-X(スカイアクティブ-X)ってな...

スーパーカブとクロスカブの運転が楽しいのは自動遠心クラッチ付...

ホンダCB1100の並列4気筒にはなぜV8のようなドロドロ感があるのか...

ホンダ・シビック タイプRの謎、4気筒なのになぜマフラーが3本?
