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「数字より心地よさにコストを掛けた」ホンダ新型フィットはコンパクトカーの新たな地平を切り拓いたか?

  • 2020/03/31
  • ニューモデル速報
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ホンダ新型フィット

四代目となる新型フィットは、表面の数字にはこだわらない。代わりに大切にしたのは、使う人の心地よさ。それは、見て、座って、走って心に染み入るはずだ。
REPORT●佐野 弘宗(SANO Hiromune)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)
※本稿は2020年2月発売の「新型フィットのすべて」に掲載されたものを転載したものです。

むやみに数値を追わずに追求した心地よさ

 新型フィットの運転席に座って最初に目を惹くのは、ステアリングホイールが今どき珍しい2本スポーク型であることだ。全体にスポーティ指向が好まれがちな昨今は、世のステアリングも3スポークが主流なのはご存じの通りである。

「新型フィットのインパネデザインには2スポークが似合うと考えました。もっとも、最近のステアリングは3スポークでも“心金”が入るのはだいたい左右の2本のスポークだけで、真ん中の1本はいわば飾りです」と教えてくれた新型フィットの開発責任者である田中健樹ラージプロジェクトリーダー(LPL)は「今回のフィットには、機能のないただの飾りは似合いません」と続けた。

 新型フィットは、この2スポークのステアリングに象徴されるクルマである。これまで一世代ごとに新開発されてきたプラットフォームを、今回はあえてキャリーオーバーしたという新型フィットのキーワードは「心地よさ」という。「1㎜でも広く、0.1㎞/ℓでも燃費よく……といった数字もあえてこだわりませんでした」とは田中LPLの弁だ。

 プラットフォームの新造や数字を追い求めた開発で必要となるコストを、あらゆる面で「心地よく」することに振り分けたのが新型フィットの特徴という。言われてみれば、先代でもいまだ圧倒的に広い室内空間をさらに広げて何の意味があるのか……との思いも理解できなくはない。

 ただ、日本では1.3ℓガソリンと1.5ℓハイブリッドの2機種が用意されるパワートレーンのうち、ハイブリッドは新しい。ほぼ日本専用となるという1.3ℓ従来改良型だが、新たに「e:HEV」と名づけられたハイブリッドは、これまでi-MMDと呼ばれてきた上級車用2モーター式の小型版である。

 しかし、そのe:HEVのカタログ燃費は、ほぼ同時発売となったトヨタ・ヤリスのそれに及んでいない。燃費はもちろん0.1㎞/ℓでも優秀に越したことはないが、そのわずかな燃料の節約と引き換えに、乗り心地や乗り味、質感、肌ざわりなどが犠牲になるのだとしたら、そこに多様な意見があるのは当然だろう。

 というわけで、クルマのほぼすべてにおいて、数字では語れない心地よさを優先したという新型フィットは、冒頭のステアリングホイールからして心地よい。運転席から自分の足もとがあからさまに見えるのも、今の目には新鮮だ。中央にあるエアバッグユニットも小ぶりだし、リムグリップが細めに仕立てられていることもあって、見た目でも、実際の操作性でも爽やかで軽やかである。

 この2スポークステアリングに象徴される心地よい開放感は、インテリア全体に貫かれている。メーターパネルとして7インチ液晶を標準化したことでダッシュボードからメーターフードが姿を消した。高い衝突安全性が求められる現代のクルマだから、実際のダッシュ高は絶対値としてはさほど低くないが、上面もメーターフードのないフラット形状になって、とにかく見晴らしがよく心理的にも爽快である。

BASIC:余計なもので飾り立てることなく、必要なモノだけをシンプルにまとめたグレード。新型フィットの素性の良さを際立たせる。
CROSSTAR:専用エクステリアが与えられたクロスオーバースタイル。車高も標準車より25㎜(FF車)高められ、見た目だけでなく実走破性も考慮されている。

 しかし、そのさらに前方のフロントウインドウの視界の広さは、お世辞ぬきでちょっとした驚きである。心地よく癒し系のデザインが売りというエクステリアだが、技術的な特徴はフィット伝統のワンモーションフォルムを継承したことにある。フロントピラーが前に出るワンモーションフォルムは視界には不利なモチーフだが、衝突安全性を担保するピラー本来の機能は前から2本目に持たせた。最前のフロントピラーには、ウインドウガラスを貼り合わせるためだけの機能しかなく、それによってフロントピラーを55㎜という極細化することを可能とした。

「左右の瞳孔間隔より細いものは基本的に死角にならないんです。小柄な女性の瞳孔間隔が57㎜といわれているので、それよりも細い55㎜を目標としました。バーチャル画像システムで検証しても、この細さなら人間の目では実質存在しないものと変わらないと確認できました」と田中LPL。もちろん、それを意識して目をやれば極細ピラーの存在はハッキリわかるが、運転席から無意識に前方を眺めているだけでは前方で約90度(先代は約69度)という水平視野角は、一枚ガラスのパノラマビューとしか認識できない。

 この視界性能は、さすが開発陣が声高に主張するだけのことはある美点というほかない。さらに、これまでのホンダにはあまりなかった明るい色調のインテリアもあって室内は明るく、なるほど心地よい。

 先代改良型のプラットフォームはホイールベースもこれまでと変わっていない。全幅はもちろん5ナンバーで、全長と全高も新旧でいわば誤差範囲程度の違いしかないから、絶対的な室内容積は先代比で拡大しているわけではない。

 その一方で、シートは前後とも新設計である。フロントシートは今後のホンダ車に横展開される立派なものであり、リヤシートは自慢の座面チップアップやダイブダウン機能はそのままに、クッションの厚みや着座姿勢を見直して、椅子としての機能を大幅に向上させている。フラットで固めだった先代のリヤシートとは一転して、新型のそれはふわりと身体を包み込むようでいて、ホールド性も向上。さらに前席のドラポジもより心地よくリラックスできるよう見直されたという。

 室内容積は変わらず、ドラポジや着座姿勢と椅子の座り心地を向上させた……となれば「室内有効空間が狭くなったのでは?」と思う向きも多いかもしれない。そして、それは正しい。新型フィットでは「○○ルーム」と表現される乗員の居住空間を示す各方位の寸法では、先代より減少しているところが多い。しかし、その代わりに視界やシート自体の座り心地、そして例えばセンターコンソールにあしらわれたニーパッドに柔らかいクッション素材が選ばれる(最も安価な「ベーシック」グレードを除く)など「心地よさ」のための手当てや工夫をふんだんに込めたのが新型フィットというわけだ。

 試乗前に田中LPLが語っていた「数字より心地よさにコストを掛けた」という言葉を、最初はよく理解できなかったのが本音である。だが、その具体例を聞いたり、または実際に使ってみると、なるほど膝を叩きたくなるものも少なくない。

 走り出すと、新型フィットはパワートレーンを問わずに静かなことがまず印象的で、これも開発陣の言う「心地よさ」なのだろう。ドアを開けると開口部とドアのゴムシールが二重になっている上に、サッシュやサイドシル部など、さらに追加された三重構造になっているのは、コンパクトカーとして異例の入念さ。事実、乗り心地のよさに加えてロードノイズの低さはかなり優秀である。

LUXE:「LUXE」はクロームメッキを配したエクステリアと、滑らかな手触りの本革シートを備えたインテリアが優雅で上質な心地よさを与えてくれる。
NESS:ライムグリーンを差したカラーコーデと、機能的な撥水素材をあしらうシートでアクティブなライフスタイルに寄り添う。

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