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ホンダ・ビート(1991-1996)「運転が楽しいこと」に高出力は無関係だと証明した1台【週刊モーターファン・アーカイブ】

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NSXが発表された翌年の1991年5月、ホンダから90年代に入って2台目のミッドシップスポーツカーが登場した。その名は『ビート』。排気量660ccの軽自動車だが、走りの楽しさは類を見ないほどである。

週刊モーターファン・アーカイブでは、これまでのモーターファンの懐かしい秘蔵データから毎週1台ずつ紹介していく。

レポート=ウナミ哲也(90年代国産車のすべて より 2011年刊)

 ホンダ・ビートは1991年に何の前触れもなく登場した軽自動車規格のスポーツカーだ(ただしメーカーは一度もこのクルマを『スポーツカー』と表現したことはない。当時の運輸省へ配慮してのことだろう)。

【NAで64馬力を達成】3気筒のE07Aエンジンはアクティやトゥデイなどに搭載されているものと型式名だけは同一だが 中身はクランクからピストン、 カムやバルブに至るまで、ほぼすべてが専用設計。 自然吸気ながら64psを達成している。

 さてこのビート、何から何までもが新しい試みや考え方が投入されて製作されているためどこから説明していいものか迷ってしまう。が、逆に「商用車のアクティにおける特徴的なエンジン配置を利用して作ったお手軽スポーツカー」と簡単に言えてしまう構成のモデルである……はずだった。

【3連スロットルの採用】爽快に吹け上がるフィールを目指してスロットルは各気筒あたり1器の3連スロットルとなった。 これを低/高アクセル開度時に燃料マップを切り換える二重燃料マップ制御でコントロールし、低回転から高回転までトルクフルな特性を維持している。

 確かにエンジンとミッション、後輪の位置関係などはアクティ(アンダーフロアミッドシップエンジン車)とほぼ同一のものだ。ところが、たとえば搭載されているE07エンジンはスポーツモデル用に突き詰めていった結果、その部品の95%はビート専用設計になってしまった。またエンジン制御には、ホンダ初の二重マップ切り替え方式が採用される凝った造りになっている。

【やり過ぎ!? の高剛性ボディ】オープン専用設計のモノコックボティはホンダとして初となるため、 二重サイドシルや異常なほど高い強度のAピラ一周辺などやり過ぎ? とも思えるほど頑丈な造りのボディ。
【軽自動車初の4輪ディスクブレーキ】 前後ストラット式のサスペンションは軽自動車初の4輪ディスクブレーキを伴っていた。また前後のタイヤサイズは13/14インチの異径で、これはNSX同様の考え方だった。

 ボディもミッドシップ車としては世界初となるオープンボディ専用設計となった。世界初ということは当然ホンダでも初となるわけで、そのボディ耐久性テストの過程では幾度の亀裂が入って設計をやり直したという。結果、軽自動車としては異例の剛性を持つ頑丈なボディができあがった。

【逆アリゲーター式開閉フード】フロントフードは往年のスーパーカーのように前ヒンジで開く。立体感を持たすため「深絞り」技術が駆使されたフロントフードは見事な造形だが、生産現場での品質管理は大変だったという。
【世界最小のトランク】エンジン背後のほんのわすかな空間を使ってトランクも ”一応” セットされる。しかしその大きさは開発者自らが世界最小とうたうだけであって容量は非常に少ない。

 ほかにもNSX同様の前後異径タイヤで煮詰めた足回りや、ストロークをわずか40mmに詰めたマニュアルトランスミッションのシフトレバーなどなど、ありとあらゆる「スポーツカーに求められる技術」を注いだ結果、ビートは本物のスポーツカーになっていた。そこには軽自動車だからこんなもの、という「逃げ」と思われる箇所は見られない。

【インテリアにもコストが かかってます】独自設計となるインテリア。極めてコンパクトな空間ながら左右対称としたことで、助手席にも閉塞感がない。細いセンタークラスターに注目。
【バイクのようなメーター】バイクのようなケースに収められたメーターはホンダとして初の電気式。

 だからこそ発表から20年以上が経った今もビートには根強いファンが存在し、「またビートのようなクルマを」という声は途絶えることがないのである。

【実は「スバイダー風」も考えられていた幌】ビートの幌はビニールウインドウ部をジッパーで切り離してから1アクションで畳む方式となっていて開閉は簡単。実はこの幌、開発の終盤まではもっと薄い生地と細い骨組みで作られており、畳んだ上面をダブルバブル形状のハードカバーで仕舞うという前提で作られていた。

SPECIFICATIONS

全長(mm):3295
全幅(mm):1395
全高(mm):1175
ホイールベース(mm):2280
トレッド(mm)前/後:1210/1210
車両重量(kg):760

型式:E07A型直3 SOHC
ボア×ストローク(mm):66.0×64.0
総排気量(cc):656
圧縮比:10.0
最高出力(ps/rpm):64/8100
最大トルク(kgm/rpm):6.1/7000
燃料供給装置:電子制御式燃料噴射
燃料タンク容量(ℓ):24

1速:3.428
2速:2.166
3速:1.576
4速:1.172
5速:0.941
後退:4.300
ファイナル・レシオ:5.714

ステアリング:ラック&ピニオン
サスペンション前:ストラット/コイル
サスペンション後:ストラット/コイル
ブレーキ前:ディスク
ブレーキ後:ディスク
タイヤサイズ前:155/65R13
タイヤサイズ後:165/45R14

馬力荷重(kg/ps):11.87
最小回転半径(m):4.6
10モード燃費(km/ℓ):17.2
東京地区標準価格(万円・当時):138.8

第100弾 HONDAビートのすべて(1991年5月発売)

モーターファン別冊 その他のシリーズ 90年代国産車のすべて

■10~20年前のクルマに感動しよう!
 80年代という時代は、非常に興味深いクルマがふんだんに登場し日本の自動車史に名を残すモデルが目白押しでした。そこには80年代後半にむけて興ったバブル経済の影響も少なからずありました。逆に90年代はバブル経済の崩壊が代表的なキーワードとなることもあり、あまり良い印象がありません。同様にその当時のクルマもそれほどインパクトがあった記憶がないのです。しかし、情熱だけで押してきた80年代に対して、90年代は80年代に並行して行われていた技術開発が開花した時代でもあったのです。実は「クルマはこうあったらいいな」という思いが結実したのが90年代だったのです。そして興味深いのが、これらのクルマの多くは現在でも中古車市場で販売されている点です。程度は保証の限りであはりませんが、興味を持てたら自分のクルマにしてみるのも面白いかもしれません。

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