マツダMX-30 EV MODEL | こう言っちゃナンだが、e-SKYACTIV G搭載モデルが一気に色あせて感じられるほど、EV MODELは走りがいい
- 2021/02/21
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世良耕太

マツダ初の量産EVであるMX-30 EV MODELに試乗した。WLTCモードで256kmという航続距離については、また別にレポートする。今回は、マツダがEVの走りをどう作ってきたか、そこに焦点を絞って見ていこう。MX-30 EV、走りがじつにいいのである。
TEXT & PHOTO◎世良耕太(SERA Kota)

マツダは2021年1月28日、同社にとって初めての量産電気自動車、MX-30 EV MODELを発売した。2020年10月8日には2.0ℓ直噴ガソリンエンジンにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせた「e-SKYACTIV G」搭載モデルを発売している。走り出す前にボンネットフードを開けて中を確認してみたところ、107kWの最高出力と270Nmの最大トルクを発生するモーターとインバーターは車両右側(写真では向かって左側)に偏って搭載されており、左側(写真では右側)はスペースがだいぶ余っている。こんなにスッカスカなエンジンルーム(いや、モータールームか)を見るのは久しぶりで、衝撃的ですらある。

内燃機関に比べて電動系コンポーネントがいかにコンパクトかを実感する景色だ。もっとも、EV(電気自動車)を動かすには駆動用のバッテリーが必要で、MX-30 EV MODELは総電力量35.5kWhのリチウムイオンバッテリーを床下に搭載する。バッテリーケースはボディと強固に結合することにより、効率良く車体剛性を向上させている。エアコンのシステムと共用する冷媒冷却システムを組んだのは、暑い夏を不安なく乗り切るためだ。
「MX-30 EV MODELはマツダにとって最初の量産EVなので、しっかりと信頼性を確保したい。空冷や水冷などさまざまな方式があるなかで、冷媒方式を選びました。室内のお客様は冷媒、バッテリーは空冷と分けるより、システムを一本化したほうが効率的だからです」と、開発主査の竹内都美子氏は説明した。


WLTCモードによる一充電走行距離は256kmである。現実的には200km前後だろう。MX-30はもう1タイプ追加されることが公表されており、2022年前半にはマルチ電動化技術を搭載したモデルが登場する。バッテリーに蓄えたエネルギーを使い切った場合は、ロータリーエンジンで発電し、そのエネルギーでモーターを駆動する。「3つのラインアップから、お客様の使い方に応じて選んでいただきたい」と竹内主査は話す。現状、エンジンルーム内でぽっかり空いた空間に、マツダの“御神体”であるロータリーエンジンが収まることになる。


EV MODELがe-SKYACTIV G搭載モデルと決定的に異なるのは、「モーターペダル」と呼ぶ電動モータートルク制御システムを採用していることだ。エンジンとモーターでパワーソースが異なるのだから当然だが、EV MODELは加速側だけでなく減速側も高応答に反応するモーターの特性を生かした制御を作り込んでいる。例えば、ドライバーがゆっくりペダルを操作しているときは車速管理がしやすいよう穏やかなトルク変化とし、素早い踏み込みに対しては加速意図を汲み取って力強い加速をレスポンス良く提供する。戻し側(トルクダウン側)も同様に緻密な制御ができるのは、モーターだからこそだ。
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