2ストは4ストよりも部品点数が少なく構造も簡単


かつては排気量を問わず、様々なバイクに採用されていた2ストロークエンジン(大昔は軽自動車などクルマにも採用)。環境保護の観点から、世界規模で年々排気ガス規制が強化。厳しい排気ガス規制に対応できない2ストローク車は2000年頃を境に、各メーカーが生産を終了して4ストロークエンジンに移行。2026年現在、国内メーカーの2ストロークエンジン搭載車(公道走行モデル)は皆無である。
2ストロークエンジンは、ピストン上昇・ピストン下降の2ストロークで「吸気」「圧縮」「爆発」「排気」の4つの作業をこなすのが特徴。同排気量の4ストに比べ、
◎構造がシンプルなために軽量
◎部品点数が少ないのでコスト安
◎ピストン一往復で一連の工程が完了。4ストの2倍の混合気が燃焼できるため、4ストよりもパワーが出やすい
◎吸排気バルブやカムシャフトがないためフリクション(抵抗)が少なく、レスポンスが良い。また高回転域での加速も鋭い
◎チャンバーの変更やポート加工等で大幅に。しかも安価でパワーアップが可能
などの長所あり。

ただし、
△パワーが出やすい反面、ガソリンの消費量が高くて燃費は悪い
△エンジンオイルと混合気を一緒に燃焼させるため、排気ガスの汚れの度合いが大きい
△工程が4ストよりも簡略化されているために未然ガスが発生しやすく、環境に優しいとはいえない
△マフラー(チャンバー)から白煙が出て、オイルが焼けた臭いも出る(周りが迷惑する)
△音質が高くて響きやすい
などの短所もある。
中古車市場で2スト車は人気急上昇! 中古車購入後は公道走行もまったく問題なし
昨今の中古車市場では、絶版となった2スト車の人気が急上昇。多方面から「環境に良くない。だからもう必要なし」と見なされたにも関わらず、近頃は一世を風靡した多くの2ストエンジン搭載モデルの価格が急上昇。もちろん購入後は公道走行もOKだ(※注1)。価格高騰の主な理由は、
①Z1やZ2、CBX400Fなど旧車の人気が今も高い
②4ストローク車が主流の中、2ストローク車の希少価値が高まった
※注1:排気ガス規制がクリアできないため、各メーカーは2ストエンジン搭載車の生産を終了。しかし中古車市場に出回っている絶版の2ストエンジン搭載車は、現行の排ガス規制の適用外となるため、公道を走行してもまったく問題なし。
今回のリサーチではミッション車やスクーターを問わず、程度の良い2スト車は全般的に新車販売時を大幅に超える価格に設定。
特に市販時に人気の高かったヤマハRZ系やTZR系、ホンダNS系やNSR系、スズキRG系、カワサキKR系などのスポーツモデル。またホンダDio-ZXやヤマハJOG-ZRなどの原付スポーツスクーターは、驚くほど高額な場合が多い。
価格高騰の理由は、上記①②以外にも様々な要因がある。下記ページで詳しく解説しているので気になる人は要チェック!
今も語り継がれる超過激な本格派2ストレプリカ ホンダNSR250R SP

ホンダNSR250Rは、バイクブームとレーサーレプリカブームに沸く1986年(昭和61年)に登場。レーサーレプリカブームの先駆者であるスズキRG250Γ(ガンマ)、ミドル2ストブームの礎(いしづえ)を築いたヤマハRZ250の後継モデルであるTZR250を打倒すべく、“4ストのホンダ”が満を持してリリースした2スト250ccモデルだ。
「寸分の妥協もない、他社モデルを凌駕する究極の2スト250ccモデル」を目指し、限りなくワークスレーサーに近い、“ここまでやるか!”というホンダの意気込みが伺える完全新設計の外装パーツ、フレーム、前後サスペンション、エンジンが与えられた。
エンジンは水冷2ストロークV型2気筒クランクケースリードバルブ249ccで、ボア径Φ54.0mm×ストローク長54.5㎜のセミロングストローク型を採用。最高出力は45ps/9500rpmの2スト250cc国内メーカー自主規制フルパワー(1993年モデルより国内メーカー自主規制で40psにパワーダウン)。NSR250Rの潜在能力は素晴らしく、社外スポーツチャンバーの変更+キャブレターのセッティング変更で、容易に大幅なパワーアップを実現した。
軽量な車体や瞬発力のある超パワフルな2ストエンジンを積んだNSR250Rは、高性能がゆえに乗り手を選び、街乗りはもちろん、峠やサーキットでも他社モデルを圧倒するポテンシャルを発揮。排ガス規制により1996年モデルを最後に生産終了となるまで、ロングセラーモデルとしてマイナーチェンジ&フルモデルチェンジごとに進化を遂げた。
写真は1996年式(MC28)の最終モデル。軽量なマグネシウム製ホイール、レーサーのような乾式クラッチ、当時のホンダワークス色であるレプソルカラーに彩られた、通常モデルよりも価値の高いSP仕様。
暴力的な加速で乗り手を選んだ“ナナハンキラー” ヤマハRZ350

RZ350はRZ250発売のわずか半年後となる1981年(昭和56年)2月に登場。RZ350は水冷2ストローク並列2気筒ピストンリードバルブエンジンを搭載。基本構造は先行発売されたRZ250と共通だが、ボア経をΦ54mmからΦ64mmに拡大し(ストロークは250と共通の54mm)、排気量を347ccにスープアップ。
最高出力はRZ250の35psに対し、RZ350は45psまでパワーアップ。別名“ナナハンキラー(750ccモデルよりも速い)”と呼ばれたヤマハが誇る伝説の2ストマシンだ。
ミッションはスポーティーな6速。随所に市販レーサー・TZ250のテクノロジーを投入し、マフラーは2ストエンジンのパワーを引き出すチャンバー型を採用。ホイールはキャスト型を導入し、ホイール径は前後とも18インチ。
RZ350はヨーロッパでは「RD350」の名称でリリース。暴力的ともいえる鋭い加速力を発揮したRD350(RZ350)は、欧州で別名「ポケットロケット(小さいけれど速い)」と呼ばれ大ヒットした。
世界最速を目指した通称「じゃじゃ馬」 カワサキ 500SS マッハⅢ

海外仕様車は1968年、国内仕様車は19669年に登場した500SS マッハⅢは、まだZ1をリリースする前のカワサキが「世界最速車」目指して開発製造した2ストマシン。エンジンは空冷2ストローク直列3気筒498ccを搭載し、各気筒毎に配置されたVM35SCキャブレターを3連装。アメリカなど海外にも輸出された。
最高出力は60psでリッターあたり120psという当時としては驚異的なパワーを発揮。車両重量は202kg。前後ブレーキはドラム式を採用。強烈な加速力に対してフレーム・足周り・ブレーキがフォローできず、当時は「直線番長」「じゃじゃ馬」と揶揄されることもあった。
乗り手を選ぶ500SS マッハⅢは「3速まではウイリーの連続」「白煙を噴きながらホイールスピンする」など、数々の伝説を残したモデル。同車は市販時を知らない、旧車好きの40代や50代にも人気。趣味に大金をつぎ込めるリッチな層からの需要も高く、正常に走行できるフルレストア車は、500万円を超える高値で取り引きされている。
スズキ初のナナハンは水冷2ストエンジン搭載! スズキ GT750

1969年にホンダ ドリームCB750FOURが登場以来、国内は750(ナナハン)全盛時代に突入。1971年に発売されたGT750は、スズキ初のナナハンモデル。エンジンは当時では珍しい水冷式を採用した、2ストローク直列3気筒を搭載。放熱性に優れたアルミラジエーターや、電動ファンで冷却する加圧強制循環式水冷化により、熱量を抑制して738ccの大排気量を実現した。
最終型(1977年モデル)の最高出力は70ps/6,000rpm、最大トルクは7.8kgf・m。車名のGTは「グラン・ツーリスモ」の略称で、その走りはカワサキ 500SS マッハⅢのような過激さはなく、低速域から高速域まで扱いやすい加速性能が得られる、実用性と速さを兼ね備えていた。
海外にも輸出されたGT750は、風格のあるドッシリとしたスタイリングと余裕の走りで、アメリカでは「ウォーターバッファロー」と呼ばれた。
筆者がバイクに興味を持ち始めた1980年初頭、バイク雑誌の中古車紹介ページでGT750が2万円で投げ売りされていたのを今でも覚えている。写真の個体は車両代のほか、正常に走行する状態にするまでのレストア費用・各種パーツの交換費用・各種手間賃などが加算され、車両価格は298万円。
GT750といえば2026年4月初旬、バイク好き芸人のヒロミさんが知人からワンオーナー車を譲り受け、愛車の一台に加えたことがネットニュースになった。この影響でややプレミア感が高まった!?
今回のリサーチで車両価格が2スト最安値! スズキ チョイノリ

「ちょい乗り」をそのまま車名に用いたチョイノリは、2003年から2007年まで生産されたスズキの2スト原付スクーター。新車価格5万9800円という前代未聞の低価格でデビューした。
写真は今回グーバイクでリサーチ中、2ストロークエンジン搭載車で車両価格が最安値(3万9000円)だった個体。エンジンはオーバーホール済みで、前後は新品タイヤ付き。
「車両は外装に割れなどありますが、エンジンは全バラ洗浄して弱点のカムシャフトを交換してあります。消耗品も交換済なので、あとはオイル交換だけしっかりしてもらえれば永くお付き合い出来ますよ~」とはグーバイクに掲載された販売店のコメント。
「最近は中古のバイクも高額になった」と言われるが、原付スクーターのような“普段の足に使う大衆車”は、2スト車or4スト車を問わず、安価で普通に走行できる車両は中古車市場には大量に流通している。
原付スクーターは構造も簡単。しかも車体がコンパクトなので、最低限の工具や知識があれば、未整備・現状渡しの個体であっても自分でメンテナンスやオーバーホール、消耗部品の交換ができてしまうのがポイント。
ハウツーはウェブサイトやYouTubeなどでも公開されているので、「暇はあるけど予算があまりない」という人は、ぜひ挑戦してはいかがですか?
※注:記事中の個体はすべて2026年5月3日現在のものです
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