お便り 丸い穴の開いた「ワッシャー」ってなんのためにあるの?

投稿者:兵庫県/虚言癖の上田さん

チェンの回答

これはDIY整備を始めた人が一度は思う疑問だね。「ただの穴の開いた板じゃん」「無くても締まるんだから要らないんじゃない?」って思うかもしれない。でも実はワッシャーはかなり重要な仕事をしているんだ。

まずボルトを締めると、ボルトは引っ張られながら部品同士を押さえ付ける。この締め付ける力によって部品が固定されるんだけど、その時にボルトの頭やナットが直接部品に当たると“接触面積が小さい”から局所的に大きな力が掛かってしまう。例えばアルミ製のパーツなんかは比較的柔らかいので、締め付けた部分が凹んだり傷付いたりすることがあるんだ。

そんな時に間に入れるのがワッシャー。接触面積を広げて力を分散させることで、部品へのダメージを減らしてくれるんだよ。家具の脚が柔らかい床にめり込まないように板を敷くのと同じようなイメージかな。力を広い面積で受けることで、負荷が一点に集中するのを防いでいる。

さらにワッシャーには締結力を安定させる役割もある。ボルトを締めるとき、実は締め付けトルクの多くはネジ山や座面の摩擦に消費されている。座面が荒れていたり、部品の材質が柔らかかったりすると締め付け力が安定しないこともあるんだ。ワッシャーを入れることで座面の状態を整えやすくなり、より安定した締結ができるようになる。メーカーが指定している場所にワッシャーが入っているのは、単に傷防止だけじゃなくて、設計上必要だからなんだよね。

ちなみにワッシャーにはいろいろな種類がある。もっとも一般的なのは平ワッシャーで、今回説明しているのもこのタイプ。他にも緩み防止を目的としたスプリングワッシャーや歯付きワッシャーなどが存在する。昔は「緩み防止ならスプリングワッシャー」という考え方も多かったけど、最近のバイクではセルフロックナットやネジロック剤の普及もあって、使われる場面は少しずつ変化しているね。そして整備をしていて意外とやりがちなのが「ワッシャーを無くしたからそのまま組む」というパターン。たしかにすぐ壊れることは少ないかもしれない。でも長期間使うと座面が傷んだり、締結状態が変わったりする可能性がある。特にアルミ部品や樹脂部品が相手の場合は要注意だ。メーカーが最初から入れている部品には必ず理由がある。ワッシャーもそのひとつ。「ただの丸い板」と思わず、縁の下の力持ちとして大切に扱ってあげてほしいな!

まとめ

●無意味なワッシャーなんてない

●部品の傷付防止と性能維持のため正しく組み付けよう!

著者紹介 

チェン

元レースメカニックで、カスタムビルダーや二輪誌編集部員のキャリアを持つ。現在はスーパーモトのレースに参戦し、ハイエースで全国を飛び回っている。

※この記事は月刊モトチャンプ2023年11月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】