大切なポイント①
理想の視線は「連続的な線」
初心者ほど視線は固まりやすく、集中した1点を凝視してしまいます。
ありがちな例としては、「止める」ブレーキ開始時はクルマを止めることに意識が集中し過ぎて、直進方向のブレーキの終了地点を凝視。
そして、終了地点に到達してから、やっとクリッピングポイント方向(以下CP)に視線を向けるパターンです。これではハンドルの切り遅れとなり、CPに寄れずにインから大きく離れてしまいます。
また、CP付近を走行中に視線が出口方向に向かないため、ハンドルを戻せず立ち上がりのアウト側が余ってしまう人もよく見掛けます。これではイン側もアウト側もコース幅を有効に使えません。
理想の視線は「連続的な線」のイメージ(自車がコンマ数秒後に走るであろう理想の線)です。これこそが「視線を遠くに」となりますが、現実的にやろうと思ってもできない人がほとんどではないでしょうか。

そこで、まずは視線を「点」で捉えて、ブレーキ開始地点・ブレーキ終了地点・CP・出口・次のコーナーと点でイメージし、点を断続的に移動させていくことが練習方法としてオススメです。
具体的にはブレーキングの直前まではブレーキ開始ポイントに、「止める」ブレーキ開始直後はブレーキ終了ポイントに、「止める」ブレーキ終盤はCPに、CP付近は出口に、出口付近は次のコーナーに……と、意識的に移動します。
線ではなく点で捉えることによって難易度は大きく下がります。上達するにつれ、点の数を増やし、次第に線に近づいていきます。これが私の考える視線移動の極意です。
大切なポイント②
視線移動の障害
その1.街乗りの癖
普段の街乗りでは目の前に視線が集中しがちです。その普段の習慣で、サーキットに行っても、視線が近く凝視しがちなのです。街乗りでは、歩行者や落下物がないかの確認や、車庫入れや細かい道の運転もあるため必然的に視線が近く、1点を凝視しがち。
また、センターラインや白線の確認も、視線が近くなる原因となります。街乗りでも視線は遠く、そして移動させて視界を広げることによって安全に快適に走れます。都心部では2〜3個先の信号が見えるようになると運転がスムーズになりますね。
その2.シートポジション
女性や小柄なドライバーで、クルマの直前が見えないからとシートポジションを高めに設定している人を見掛けます。街乗りではある程度は高めのポジションはアリですが、高速のサーキット走行では、低めにして遠くを見渡せるほうがよいですね。
その3.力んでいる
人は過度に力んだり緊張状態になると視線が固まりがちです。怒っているときや戦闘モードのときをイメージすると、周りのものが何も見えなくなると思います。
最高のパフォーマンスを発揮するには、無駄な力を抜き適度な緊張感を持つことが肝になります。私は格闘技をやらないので実際のところはわかりませんが、ボクサーはライバルの目もとを凝視していても、視野は広そうですよね。
力を抜くコツは、ある程度は場数を踏むことです。できればハイスピード領域の経験を多く積むとよいです。ミニサーキットをメインで走る人も、時折は国際サーキットも走行しましょう。
大切なポイント③
眼球ではなく頭ごと移動
梅田講師の車載映像では頭ごと向きが変わる
正中視(眼球が真ん中にある状態)が最も視力が高い状態です。側方視(眼球を左右に移動した状態)は視力が落ちますし、正中視のほうが周囲から入る視覚情報(周辺視野)が多いのです。
視線の移動には頭ごと移動して、眼球は正中視するのがベストです。車載動画で頭が進行方向に動いているかのチェックが、このテーマの確認によいと思います。 周辺視野は年齢とともに狭くなってきます。年齢を重ねた人は、若い人以上により頭を動かすように心掛けたほうがよいです。
練習方法①
身体のセンサーを鍛える
視線を移動させると、視覚情報からクルマの挙動を感じにくくなります。そのため、挙動を視線のみから判断している人は視線の移動が難しくなります。 シミュレーターでは速いのに実車で速く走れない人は、目からの情報に頼り過ぎているのかもしれません。
挙動はGやハンドル、ペダルからのフィードバックなどからも感じられます。身体のセンサーを鍛え、意識は視線の移動に集中できるのが最高ですね。
練習方法②
視線の移動は歩行時から
かくいう私も、以前は視線が近く、視線の移動が苦手でした。先輩ドライバーからよく指導いただいたものです。 自身が克服したコツは「歩行時から視線を意識する」ことでした。
幼少時に犬の糞を踏んでしまった苦い経験から、下を見ながら歩く癖がついていました。それがドライビングにまで派生しており、私を苦しめたものです(笑)。歩くときから前を向いて、進行方向に頭を動かしながら意識して移動させましょう。

講師
梅田 剛
R 会受講者から送られてきたサーキットの車載映像から、ドラテクの改善点を添削している梅田講師。ヘルメットの向きから 、「先を見ずに近くを凝視している」ケースが多いという。







