

案内人はこの方!
二輪ジャーナリスト
ノア セレン
これまでにも多くの250モデルを乗り継ぎ、その知識と偏愛で知られる二輪ジャーナリスト。
歯に衣着せぬジャッジに定評があり、辿り着いた愛車はトリッカー。
スーパースポーツから万能Vツインへ進化したVTシリーズ

VTはご存知RZを倒すためのスーパースポーツとして生を受けた、NRの技術を入れたスポーツバイク……という話は耳タコのハズ。
でもそのあと、80年代も後半になると実用的なモデルになっていった。VT250FGとかね、ピンクのカラーが展開されたりして、「あれ、スポーツバイクとしての役割は終えたかな?」感があったところに、今度はスパーダとVTZというスポーツ&実用重視の二本立てという戦法を展開。
2台ともそれぞれのニーズに良く応えたものの、2ストスポーツや4気筒勢が眩しさを振りまくレプリカブーム絶頂の中、VTではちょっと厳しいか……ってことになったのでしょう。
「じゃVTエンジンの実用的で使いやすい特性をアピールしましょ!」と91年にこのゼルビスが出たわけです。
16Lタンクに7L収納スペース! 本気で「使える性能」を追求
エンジンは最高出力をちょっとだけ削り、その分パワーもトルクも発生回転数を低く設定。
タンクはVT系モデル最大の16L。
VTは産まれてこのかたずっとモノショックだったのに、わざわざ2本ショック(というかフレームも新設計だし!)にしてまでシート下には7Lのユーティリティスペースを作り出した。
しかもシートは二人乗りを考慮して肉厚で長いという、ミニマル過ぎる今のバイクに爪の垢を煎じて飲ませてやりたい、本気で「使える性能」を追求したバイクなのですよ。
それに加えて、欠かせないのがあのカウルでしょ!
VTR250Fよりずっと先を走っていたハーフカウルスポーツ
後になってVTR250にハーフカウルを付けたVTR250Fというモデルもあったけど、コッチが先!
カウルがあれば長距離も楽々だし小物入れを設けてハイウェイカード(古!)もスマートに収納。
VTRでは5速になっちゃったミッションも、6速のままだから快適な巡行ができたことでしょう。
VTシリーズはここに極まれり。
優秀なツアラーとして有終の美を飾る……かと思いきや、この後マグナが爆裂ヒットを飛ばし、そのエンジンを載せたVTRでまだまだ生きながらえるとは……いやはや、元とったエンジン代表じゃない?
名車ゼルビスの敗因は色だと思う。
やっぱり赤は紫外線に弱いよ。
黒や後期型のブルー、あとガンメタっぽいヤツ、あれはなかなかカッコいい。
中古車相場チェック(2026年7月時点)
モトチャンプ編集部が2026年7月時点で国内中古車情報を調査したところ、ゼルビスの中古車は30万円台後半から50万円台前半が中心となっていた。
ツーリング性能の高さや扱いやすいVツインエンジンが再評価されており、ノーマルに近いコンディションの良い個体は年々減少傾向にある。
平均価格:約40万円
ボリュームゾーン:35〜45万円台
高価格帯:50万円オーバー
ホンダ ゼルビス 主要スペック
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発売年 | 1991年 |
| 当時販売価格 | 48万9000円 |
| 全長×全幅×全高 | 2095×720×1160mm |
| シート高 | 770mm |
| 車重 | 156kg(乾燥) |
| エンジン | 水冷4ストDOHC4バルブV型2気筒 |
| 総排気量 | 249cc |
| 最高出力 | 36ps/11500rpm |
| 最大トルク | 2.6kgm/8500rpm |
| 燃料タンク容量 | 16L |
| ブレーキ(前後) | ディスク/ディスク |
| タイヤサイズ(前) | 110/80-17 |
| タイヤサイズ(後) | 130/80-17 |
※この企画はモトチャンプ2023年4月号に掲載されたものを加筆修正しています。