Q. なんでマフラーって虹色になったりするの?

投稿者:レインボー拓哉さん(兵庫県)

ステンレスやチタンの社外製マフラーを見ると、エキパイが金色っぽく染まっていることがありますよね。いかにも「熱が入ってます!」って感じでカッコいい。チタン素材なら青みがかったグラデーションです。でも、新品のマフラーは基本的に銀色(ステンレス)。それなのに、どうして走っているうちにカラフルになっていくのでしょうか?

その正体は表面にできた薄い膜

じつは、金属そのものに色が染み込んでいるわけではありません。

ステンレスやチタンの表面は、熱が加わることでごく薄い酸化皮膜が形成されます。その皮膜の表面で反射する光と、皮膜を通って内部側で反射する光が重なり合うことで、特定の波長が強く見える。これが、金色や紫、青といった“干渉色”の正体です。日本製鉄も、チタンの発色について薄い酸化皮膜による光の干渉で色が見えると説明しています。つまり、塗料で塗ったわけでも、金属そのものが青や紫に変質したわけでもないんですね。

そして酸化皮膜の厚さが変われば、見える色も変わります。ステンレスでは加熱温度の上昇に伴い、金色から赤、青、さらに濃い色へ変化していくテンパーカラーが知られています。

ただし、バイクのマフラーは溶接試験片のように一定条件で加熱されるわけではありません。排気温度、走行時間、管の厚み、エンジンに近いか遠いかなどによって熱の入り方はさまざまなため、実際にはグラデーション状に変化していきます。

新品時はステンレスらしい銀色の輝き。ここから走行を重ね、熱が入ることで表面の表情が変わっていく。新品ならではのこのピカピカ感が好き、という人も多いはず。

複雑に曲げられたエキパイも新品時はこの状態。溶接部などには製造時の熱による色味が見えることもある。

なお、取り付け作業をした新品マフラーは、エンジンを掛ける前に表面の指紋や油分を拭き取っておきたいところ。油分が残った状態で熱が入ると、その部分だけ色付き方が変わり、シミやムラのように見えることがあります。きれいな変化を楽しみたいなら、装着直後のひと手間も大切です。

焼け色は“味”でもある! ピカピカ派なら落とす楽しみも

この焼け色、必ずしも「汚れたから消さなきゃ!」というものではありません。

とくにチタン製マフラーでは、金色から紫、青へと連続して変化する独特のグラデーションが現れることがあります。チタン表面の酸化皮膜による干渉色は、陽極酸化処理でも意匠として利用されているほど。マフラーの場合も、熱が作り出した色そのものを“育ってきた証し”として楽しむライダーは少なくありません。

走行を重ねると、エンジンに近い部分を中心に金~茶系の色味が現れる。新品時とはまた違う、使い込んだ金属ならではの表情だ。

いっぽうで、「いやいや、オレは新品みたいな銀色が好き!」という人もいます。それももちろんアリ。ステンレスマフラー用には、焼け色を落とす専用ケミカルも販売されています。たとえばデイトナの「ステンレスマフラー焼け取り剤」は、酸と研磨粒子を使ってステンレス表面の焼けを落とす専用品です。

ここで注意したいのは、ケミカルなら何にでも使えるわけではないこと。同製品もステンレス専用で、チタンマフラーやメッキ面には使用できないと明記されています。素材や表面処理を確認せずにゴシゴシやるのはNGです。

また、「焼け色が濃い=劣化」と考える必要もありません。ステンレスのテンパーカラーは高温酸化によって生じるもので、工業的には皮膜状態によって耐食性への影響が問題になる場合がありますが、マフラーの見た目だけで強度低下を断定することはできません。

使い込むほど色味が深くなり、表面にくすみも出てくる。これを“味”として楽しむか、ケミカルで輝きを戻すかはオーナー次第。

ちなみに、色付きのチタンボルトも考え方は近いものがあります。こちらは熱ではなく、陽極酸化処理によって表面の酸化皮膜をコントロールして発色させています。薄膜干渉による色なので、塗装や染料とは仕組みが異なります。アルミのカラーアルマイトはまた別物。こちらは表面に作った多孔質の酸化皮膜へ染料を取り込ませて発色させる方法が一般的で、同じ「カラフルな金属」でも仕組みは違います。

そして、焼け色を見るクセを付けておくと、マフラー以外のチェックにも役立ちます。

たとえばブレーキディスクやベアリングなど、本来強い熱が入り続けることを想定していない部分に明らかな変色があれば、摩擦や潤滑不足などによる異常発熱を疑う手掛かりになる場合があります。

マフラーのきれいなグラデーションなら眺めてニヤニヤ。でも、違う場所に妙な色が出ていたら「ん?」と気付く。金属の色って、意外といろんなことを教えてくれるんです。

焼け色をそのまま育てるもよし、磨いて新品の輝きをキープするもよし。どちらが正解という話ではありません。自分の好みに合わせて楽しめるのも、マフラーカスタムの良さなのかもしれませんね。

POINT

・マフラーの焼け色は、表面にできる薄い酸化皮膜による“干渉色”
・焼け色そのものは必ずしも異常ではなく、“味”として楽しむのもアリ
・新品の輝きを保ちたいなら、素材に合った専用ケミカルでお手入れできる
・新品装着時は、指紋や油分を拭き取って焼けムラを防ぎたい

※この記事は月刊モトチャンプ2024年3月号を基に加筆修正を行っています

【モトチャンプ編集部】